74.騎士との訓練
海岸には簡易的な小屋が数軒建っていた。
ダルンが騎士達のために建てたんだろう。
僕は騎士に案内されて小屋に入る。
中にはランヴォックさんとスオンさんがいた。
「テツジ。本当にすまない」
出会った瞬間にランヴォックさんに謝られた。
「え?何がですか?」
「海流の話を聞いていたのに出発が遅れてしまい島から出れなくなってしまったことだ」
「あーそのことですか」
「食料もポーションももらっていて、テツジ達に負担をかけてしまっているのに」
ランヴォックさんは本当に申し訳なさそうにしていた。
「じゃあ交換条件はどうですか?」
僕がそう言うとスオンさんが口を開く。
「テツジさんも知っての通り、我々は国を追われているためお金や高価な物品などは持ち合わせていない」
スオンさんも申し訳なさそうに言った。
「お金とかは要りません」
「では何を?」
「僕達を海賊と戦えるように鍛えてください」
「え?」
ランヴォックさんは驚いていた。
スオンさんが口を開く。
「それはテツジさん達も一緒に海賊の拠点を攻めてくれるのですか?」
「そのつもりです。ちゃんと鍛えることが出来たらですが…」
「そうですか…」
スオンさんは考え始めた。
「わかりました。ランヴォック、この条件を呑みましょう。むしろありがたい提案です」
「そうですね」
ランヴォックさん達に訓練をしてもらうことが決まった。
「海流がいつ無くなるかわからないのでうちのテイムモンスター毎日様子を見に行かせます。なのでいつでも出発できるようにしておいてください」
「ああ、わかった」
「では明日から稽古お願いします」
僕達は別荘に戻った。
▽ ▽ ▽
別荘に帰るとプンが待っていた。
「テツジ様、海斬丸の操舵室の写真があれば船に移動できます」
「ん?」
プンにしては珍しく当たり前のことを言ってる。
「海斬丸が違う場所に移動していても、写真を使えると言うことです!!」
「え?そういうこと?」
「はい!」
プンは凄いことを検証していたみたいだ。
「ということは移動中に物資の補給もできるし、船と島を行き来できるということだよね」
「そうです!」
これで戦略の幅が広がった。
色んな可能性が生まれる。
帰還のポラロイドカメラは凄いアイテムだった。
▽ ▽ ▽
僕は一旦家に帰った。
スマホを見るとメッセージが何個か溜まっていた。
小町から明後日の朝には帰ってくるという連絡と大量の写真。
シゲ爺からは肥料を作る建物が必要だから木材を発注しておいてほしいとの連絡。
僕は小町に返信をして木材の発注をした。
お米以外の食料がだいぶ減っている。
僕は車に乗り込んで買い物に向かった。
▽ ▽ ▽
翌日。
騎士との訓練。
僕とザンとデルンだけが参加すると思っていたが、みんな参加することになった。
みんなはエアガンを持っているけど、近接で最低限は戦えるように鍛えたいらしい。
「ランヴォックさん、お願いします」
「ああ。使っている武器に合わせ訓練していこう」
ランヴォックさんには俺とザンとデルン。
大槌を使う騎士にはダルンとデルン。
そして残りの全員はスオンさんに魔法を教わる。
ランヴォックさんが言うには、スオンさんはデレメメ王国の魔法師団よりも強かったらしい。
「まずは素振りからだ。基本の動きができないとダメだ」
「わかりました」
「「はい」」
僕とザンとデルンは素振りを始める。
「テツジは動きが良いな」
「え?本当ですか」
ランヴォックさんに褒められて、少し驚いた。
確かに前に素振りをした時よりも身体がスムーズに動いている気がする。
▽ ▽ ▽
夕食を食べ終えた。
今日の訓練でのテツジ様の刀の上達には驚いた。
前にシゲ爺様との訓練の時よりも遥かに剣筋が良い。
私は別荘から真逆の砂浜に来ていた。
「ザン、待ったか?」
やってきたのはランヴォックさんとスオンさんだ。
「いえ」
「本当に良いのか?」
「はい。そのためにスオンさんとカーレを呼んでいるので」
私の脚にはカーレが巻き付いていた。
私は完全な『龍化』を使えるようになるための特訓をしたかった。
もし暴走しても止められるようにカーレとスオンさんを呼んだ。
スオンさんを呼んだ際、ランヴォックさんも自身の力を制御する特訓をしたいと言うので一緒にやることになった。
「2人共、暴走したと思ったらすぐに凍らせます」
「お願いします」
「大丈夫です」
カーレも巻き付く力が強くなった。
暴走したら抑え込んでくれるはずだ。
「じゃあ始めよう」
「はい」
ランヴォックさんも不安そうだ。
私も不安だ。
だがこの島を守るためにはやるしかない。
「龍化!」
身体がどんどん変化していく。
意識が飛びそうになるがまだ大丈夫。
「グラアアアアアア!!」
ランヴォックさんの身体も変化していく。
私は完全な『龍化』をした。
意識はギリギリだ。
先日の戦闘ではがむしゃらだった。
どう制御してたかは覚えていない。
「ランヴォック!!!」
ランヴォックさんは完全に変化すると暴れ出しそうになった。
「私が!」
私はすぐにランヴォックさんを抑え込む。
「ランヴォックさん!意識を保て!いつまでも仲間を傷つけることになるぞ!」
「グラアアアア!!!」
私は自分に言い聞かせるようにランヴォックさんに言葉を投げる。




