75.vsシゲ爺
小町達を駅まで迎えに来た。
「哲ちゃん、ありがとう!」
「おかえり」
小町達はたくさん荷物を持っていた。
「2人共、楽しかった?」
「「うん!」」
ドグドもアデスも楽しそうにしていた。
シゲ爺が助手席に乗り込んだ。
「哲治くん。海賊問題の進展は?」
「色々ありました。あとで報告します」
小町達には口頭で伝えたかったので報告はしてなかった。
僕は車を出発させた。
▽ ▽ ▽
家に到着した。
ドグドとアデスはすぐに別荘に向かって行った。
僕はリビングで小町とシゲ爺にここ数日の話を全てした。
「え?哲ちゃんも異世界に行ってたの?」
「らしい。高校生の時に。記憶はまだ全然ないんだけどね」
「そうなんだ…」
小町は驚いていた。
「海賊達がモンスターの力を使うんだよね」
「うん。正直、やばかった」
「そっか…。でも倒せたってことだよね?」
「うーん。撤退させたが正確かな?」
「その海賊の拠点を制圧しに行くの?」
「うん。そのつもりだよ」
「一緒に行く騎士の人達もまだ島にいるんだよね?」
「うん。元デレメメ王国の騎士と王女」
「その人達に戦い方を教わってるの?」
「昨日からだけどね」
小町は何か考えている。
「哲治くん。記憶が戻ったから今までと考え方が変わったのか?」
「そうですね。それもありますけど、これを使ったらみんなを危険に晒さないと思えたんです」
僕は聖盾のブレスレットを触れる。
「そうか。ならあとで試そう」
「え?」
「あっちの世界で殺さないで戦うことは非常に難しい。その生半可な考えが通じるか見てやろう」
「わかりました。お願いします」
シゲ爺の目はとても真剣だった。
▽ ▽ ▽
島に移動した。
騎士達がいる海岸の反対側に行く。
シゲ爺の身体がうっすら光り、若い頃の姿に変わる。
「じゃあ哲治くん。攻撃を全て防ぎなさい」
「はい。展開、起動!」
聖盾が2つ、宙に浮く。
「じゃあ行くぞ。白焔刀」
目の前からシゲ爺が凄い速さで動き出す。
今までなら見失っていたが、今なら見える。
キン!
シゲ爺の白い刀での攻撃を聖盾で防ぐ。
「ほう。これはどうじゃ?」
若いシゲ爺はニヤッとして、刀先を僕に向ける。
僕は危ないと感じた。
「白弾星!」
「籠盾!!」
半球状のシールドが僕を守る。
バチバチバチバチ!
シールドの外側では火花が激しく舞い続けている。
「ほう。これも防ぐか」
「すごいですね」
「ははは。昔取った杵柄じゃ。白焔斬」
シゲ爺が刀を振るたびに、炎の斬撃が飛んでくる
それを聖盾で防ぐ。
僕は自分が想像以上に動けていることに驚いた。
根拠のない自信が確信に変わってくる。
「攻撃はできるんか?」
「はい。一応できるとは思います」
「じゃあわしに1発入れたら終了にしようかのう」
「わかりました」
「では攻撃再開じゃ。白焔渦」
シゲ爺が刀を振ると炎の竜巻が3つ現れた。
「はは。なんですかそれは…」
「防げるかの?」
3つの炎の竜巻が僕に向かってくる。
「殴盾!」
聖盾がグローブように変形し、僕の拳に装備される。
「多分これで戦えるはずです」
僕は炎の竜巻に拳を向けると、拳の形のシールドが飛んで炎の竜巻が消える。
「おお。こう使うのか」
「それは盾なのか?」
「みたいです」
僕はシゲ爺が繰り出す攻撃を殴盾で防ぎながら向かって行く。
「動きも良くなっているのう」
「スキルの影響ですかね」
僕の攻撃をシゲ爺が刀で防ぐ。
「ほほ!今後の稽古が楽しみじゃの」
「よかったです」
なんとか拳がシゲ爺に届いた。
殆どダメージはない攻撃だが、攻撃をすり抜けて何とか当てることができた。
「哲治くん。そろそろ戻るから身体を頼めるか?」
「わかりました」
シゲ爺の身体は光り、元の姿に戻った。
僕はその身体を支える。
「まあ合格じゃな」
「ありがとうございます」
「攻撃は少し稽古をしないとじゃが」
「わかりました」
僕はシゲ爺を連れて別荘に戻った。
▽ ▽ ▽
「ズラヴィク、その報告は本当なの?」
「はい。エルシナ船長」
俺の報告を聞き、エルシナ船長は何かを考え始めた。
「困ったわ。ザリナタちゃんからデレメメ王国の管理を頼まれてるのよねー」
「またあの女からの指令ですか?」
「うん。将軍様なんだから従うしかないのよ」
「ですが、なぜデレメメ王国の管理を俺達がしなくちゃいけないないんですか!」
俺がそう言うと、エルシナ船長はめんどくさそうに口を開く。
「なんかバレミスク連邦国と大きな戦いをするみたいなの」
「なるほど。とうとうあの連邦を潰すんですね」
「うん。そうみたい。だからザリナタちゃん達も呼ばれてるみたいなの」
「じゃあ島は一旦放置ですか?」
「どうしようね。ズラヴィクとデュドドが回復したら行ってくれば?」
「え!?」
エルシナ船長はニコニコしている。
「手負いの騎士と奴隷なんてすぐに倒せるわよ。そんな場所にある島にまともなポーションがあるとは思えないし、それに例の魔石を吸収した騎士団長が暴走してたんでしょ?いくら龍人族でも簡単には倒せないはずよ。もしかしたらもう全員死んでるかもしれないわね」
「そうですね……。わかりました。デュドドが回復したらすぐに向かいます」
「うん。よろしくねー。私は部下を連れてデレメメ王国に向かうわ」
「わかりました。拠点の管理も任せてください」
「さすがズラヴィクね。任せたわ」
「はい!」
俺は船長の部屋から出た。
「龍人族か騎士団長のどちらかは生き残っているだろう。生き残っている方は俺が仕留める。それに俺の目を潰したあのエルフとクソ王女が生きてたら弄って殺してやる」
俺は自室へ戻った。
▽ ▽ ▽
夜になり、みんなで食事。
シゲ爺はポーションのおかげで動けるようになっていた。
ブラックポーションの効果は強い。
完全に社畜専用だ。
食事をしながらドグドとアデスにも僕の話をした。
アデスは驚いてはいたが、ドグドはあんまり理解してないみたいだ。
アデスは僕をジーっと見ている。
「どうしたの?」
「記憶って戻るの?」
アデスも記憶を無くしている。
多分戻す方法を知りたいのだろう。
僕はザンを見る。
しかしザンは下を向いた。
僕に任せると言うことだろう。
「多分戻ると思うよ。アデスも」
「…うん」
思っていた反応と違う。
「記憶が戻ってほしくないの?」
「うーん。今が幸せだから…」
「なるほどね」
僕がそう言うと小町が口を開く。
「アデスは記憶が戻っても戻らなくてもうちの子だから」
「うん!!」
アデスは嬉しそうだ。
こういう時の小町は頼りになる。
「明日は午後から訓練だっけ?」
「はい。私とプン達は船での戦闘をどうやるかを考えようと思います」
「あ!回収した船は?」
僕は思い出した。
「修理を進めてます」
「修理が終わったら、マジックアイテムにできるか試してみる?」
「お願いします」
プンは海での戦闘を重要視しているみたいだ。
「オイラ達は肥料作りの小屋を作ろうと思います」
「俺も手伝う」
「私も手伝いましょう」
ダルン達とザンとドグドは小屋作り。
「わしは午後の稽古まで休んでいようかのう」
「私はブッちゃんの様子を見に行こうかなー」
「私もそうする!!」
「じゃあ僕もそれに付き合おうかな」
僕達は全員での食事を久々に楽しんだ。




