成長
その後、この子達が起きるまで彼女と会話をしながらゆったりとした時間を過ごした。
しばらく経つと3人とも起きて勉強を再開した。
「やった!書けた書けた!」
ようやく全員が鉛筆を使えるようになった頃には、外ではひぐらしが鳴き始めていた。
「そしたら今日もありがとうございました。オムライス美味しかったです」
「お口にあったようで良かったです」
「「「ありがとうございました。さようなら」」」
「はい、さようなら」
やはり、帰る人を見送る時は少し寂しいな…
「さてと、夜ご飯の準備でもするか」
――静かだな…
昼ご飯の時を思い出すと、夜ご飯があまり美味しく感じない。
「やっぱり私は子供達と接している時が一番幸せなんだろうな」
食事を食べ終え、のんびりと今日あの子達とした事を振り返る。
「やっぱりこの子は一番上手く書けているな」
この子は最初こそ鉛筆を上手く持てず、どうすべきかと悩んでいたが、持てるようになると一気に上手に書けるようになった。
褒めると恥ずかしそうにしてはいるが、3人の中で一番喜んでいるのが分かって嬉しかったな。
「ふふ、この字を見れば誰が書いたかすぐに分かるな」
この子は最初から力が強かったな。まさか力を入れすぎずに字を書く書き方を教えるのがここまで大変だとは、私は知らなかった。
しかし、鉛筆の芯が折れる度に泣きそうになっていたのは可愛かったな。
「となるとこれはあの子のか、よく半日でここまで上達したな」
この子は最初こそ1番上手だったが、いざ書こうとすると全然書けなく、色々と試したりと書けるようになるまで苦戦した。最初の少しだけ見て先入観で上手だと決めつけてはいけないと私は学んだ。
私はこの子が書けた時の達成感と喜びを忘れることは、絶対に無いだろうな。
「んー」
「いつの間にかもうこんな時間か、早いな」
私は今日はこのまま寝る事にした。
――「は?え?なんでですか?」
今日は朝から予想外の電話がかかって来た…
「おはよーございます」
そんな元気な声も、いつもは聞こえると嬉しいのだが、今日は少し複雑な気分だった。
「よし、そしたら今日は五十音のひらがな全部書いてみよう」
いつもは楽しい勉強の時間も今日はいつもほど素直に楽しいと思えない。
いつの間にか昼が過ぎ、午後になっていた。
そして
やっと3人ともひらがなを全部書けるようになった!
まだ綺麗な字とは言えないものの、書けるようになった、その事実が大きな成長だ!
「3人とも上手に書けてるね!おめでとう!」
「「「ありがとう!」」」
この子達がひらがなを書けるようになったことはとても嬉しい。
いや、むしろこの子達の成長の一部に携われたのだ、元教師としてこの感動に勝るものは無いだろう。
3人を褒め、一緒に喜んでいた時、突然彼女が口を開いた
「気のせいだったらすみませんが、もしかして何かありましたか?」
そう私に聞く彼女の顔は今までの笑顔ではなく、初めて見る真剣な顔であった。




