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教えと学び  作者: ラム肉
3/7

学び

鳥居の方へと戻ると


「おーい、そろそろ帰るぞー」


と、呼ばれた。どうやら片付けはもう終わったようだ。

老人と一緒に階段を降りていると


「どうだい?神社の周りだと何も無かったかもしれんが、何か発見でもあったか?」


と、聞かれたので私は


「ええ、神社の裏の方で先程話していた、この水筒を下さった女性と会えました」


「はっはっは、そりゃまた随分気に入られたんだな。」


そう言いながら、笑って私の肩に二回、ポンポン、と手を当ててきた


下へ降り、少しの間他の老人達と話をしてから車に乗った。


「そういえば、家は一本松のところでいいんだよな?」


「はい、そうです」


そういえば私は彼女に家の事を話したっけな…田舎の情報網ってやつか。私は一瞬疑問をもったが田舎の情報網は凄いな、と勝手に納得した。


次の日は朝からてんやわんやしていた。それは何故か。貰った苗を植える為の畑が出来ていなかったからである。


幸いにも、元々住んでいた人が使っていた畑が、耕せばすぐにでも使える状態らしい。これも偶々近くを通りかかった老人に教えてもらった。

そうと決まれば、と、使えるように直したクワを使い耕しているのだが、全く進まない。

土は硬いし、雑草の根っこにすぐに引っかかる、そして何より体が痛い。やり方が間違っているのか、普段使わないからなのか分からないがクワで畑を耕すというのは大変な重労働だ。


「こんにちは」


疲れて座っていると突然目の前から、そう声をかけられた。顔をあげて見てみると、声の主は彼女だった。


「畑仕事ですか、精が出ますね」


「苗を貰ったので朝からやっているんですが…中々進まなくて」


「クワを振り下ろす時ってどうしてます?」


「持ち上げてそのまま力いっぱい落としてます」


「あーそれだと大変なんですよ。クワを落とす時はあまり力を入れ過ぎずに、上げてそのまま落とすと意外とすんなり土に入りますよ」


そう言い、彼女が実際にやってみてくれたのだが、本当にすんなりと入っていった。


「むしろクワが土に刺さってから力が必要なんですよ」


彼女はそう言いながらクワを私に渡してくれた。


「クワの上の土を持ち上げるイメージで力を入れてみてください」


「おぉ、凄い。一気に土が掘り起こせた…ありがとうございます」


「いえいえ、田舎は助け合いで成り立ってるんですよ。そしたらまだまだ畑仕事はやる事がありそうなので、台所をお借りしてもいいですか?」


「はい、それは大丈夫ですが…」


「どうかしましたか?」


「いえ、その。竈ですし、鍋とかも無くてあるのは釜位なので。」


「それなら大丈夫ですよ、私も使えるので。因みに薪や調味料はありますか?」


「薪は台所の外と竈がある土間の方にも少し置いてあります。調味料とか食器や、菜箸程度ならある程度置いてあるので使って貰って大丈夫です。」


「そしたら持ってきた山菜を揚げ物にでもしますね、出来たら呼ぶので畑仕事頑張って下さい」


彼女は私に親指を立て、家に入っていった。さ、畑仕事頑張ろう。いや何、美女に応援されたからとかでは無いよ、決して。


もう昼は過ぎただろうか、私はようやく使う分の畑を耕しきった。とその時


「山菜の天ぷら、用意出来ましたよー」


お腹が空いていて、作業がちょうど終わった時。まさに完璧なタイミングに彼女は私を呼んだ。

畑側の縁側には大皿に乗った山菜の天ぷらと、小鉢用の皿に入った塩が用意されていた。


「旬の採れたての山菜はやっぱり塩だけで食べるのが一番ですよ。耕す作業は終わりましたか?」


「ちょうどさっき、何とか終わりました。クワの使い方を教えて下さったお陰で早く終われました」


「ふふ、それは良かったです。明日は全身筋肉痛ですね」


「えっ」


そんなこんな話しているうちに、いつの間にか山菜を食べ終わっていた。


「あら、もう無くなっちゃいましたか。今度はもっと沢山持ってきますね。」


「ありがとうございます、とっても美味しかったです」


――皿を洗い終わる頃


「そういえば貰った苗は何の苗なんですか?」


「確かミニトマトだったと思います」


「そうですか、簡単なので初心者にはオススメですね。因みに植え方は分かりますか?」


「そのまま植えるのではダメなんですか?」


「そうですね…一度畑の方に行って説明しましょうか」


私は苗を持って彼女と一緒に畑へ戻った


「まずは畝を作ります。畝は分かりますか?」


「土がちょっと盛り上がってるやつですよね?」


「そうですそうです。トマト等は無くてもある程度育ちますが、虫の対策や水捌けを良くするためには必要なんです。畑の基本ですね」


そのままやり方を教えてもらい、家の倉庫にあった紐を使って大まかな大きさを決め、少しずつ土を掘り、畝にする場所に盛っていった。だがその作業が終わる頃にはもう日が沈みかけていた。


「今日はここまでですかね。また明日手伝いに来るので、明日続きをしましょうか」


「ありがとうございます、明日もお願いします」


彼女が帰った後、一人で外に出したクワや苗等をもう一度しまっていたのだが、どこか寂しかった。

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