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林田藩  作者: 林田力
林田藩の志士
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114/142

大高兄弟は安政六年に萩へ行く。

「どちらへ行かれるのですかな?」

「はい、萩へ行きたいと思っております」

「はい、実は私たちも熊本城へ行く途中なのでございます」

「ほう! それなら一緒に参りませんか?」

「よろしいんですか?」

「ええ、構いませんとも。それにあなた方は勤皇の士とお見受け致す。ならば我らの仲間も同じ事だと思いますぞ」

「ありがとうございます」

「ところで皆さんはこの辺りの人ではないようですが何処から来たんですか?」

「我々は京よりやってまいりました」

「京から!?」

「はい」

「すると都の方達なのか?」

「出身は播州林田でござる」

「おおっ!! それは凄いなぁ!!」

相手は目を輝かせた。

「そんな事はありませぬ。ただの田舎侍ですよ」

「何を仰るか。林田藩にはどれほど立派な方が居られることやら……」

又次郎は謙遜したが、内心はかなり嬉しかった。やはり自分の生まれ育った土地の人々が褒められるというのは嬉しいものだ。


やがて萩城が見えてきた。

「あれが萩城か……」

「大きいですねぇ~」

「綺麗なお城ね」

「うむ、見事じゃ」

「立派でござるな」

皆はその雄大さに圧倒されているようであった。萩城は山麓の平城と山頂の山城とを合わせた平山城である。毛利輝元が慶長九年(一六〇四年)に長州藩の本拠として指月山麓に築城した。ここから萩城には指月城の別名がある。輝元は防府か山口に府城を置きたいと考えていたが、徳川幕府の意向で山陰側の萩が本拠となった。築城中には石垣の築造に使う石の盗難事件「五郎太石事件」が発生した。


指月山しづきやまは標高一四三メートル。山林はシイノキ・タブノキ・クロガネモチ・カゴノキ・イスノキ・クスノキが混生する。過去には戦国時代に津和野城主・吉見氏が指月山に出城を構え、のちに吉見正頼の隠棲所となった。


萩城は松本川と橋本川のデルタ地帯に築かれている。デルタの根元を横断し外堀とし、その内が城域となり、外が城下町であった。萩城は本丸、二の丸、 三の丸、詰丸から構成される。外堀の内に三の丸、中堀の内が二の丸、内堀の内に本丸が設けられた。指月山頂には詰丸を配した。本丸には五層五階の天守閣があった。萩城は日本城郭協会選定による「日本100名城」の一つである。


萩城は明治七年(一八七四年)に解体され、萩城跡指月公園になっている。国の史跡に指定されている。天守閣跡、花江茶亭、梨羽家茶室、旧福原家書院、万歳橋、東園などがある。二の丸入口近くに旧厚狭毛利家萩屋敷長屋(国の重要文化財)がある。毛利輝元像もある。公園内のミドリヨシノは山口県の天然記念物に指定されている。春は花見スポットになる。夜桜ライトアップも行われる。


萩市は現在でも江戸時代に形成された町割や街路、武家屋敷や町家などが多く連続して存在している。萩の夏みかん集団栽培は明治維新後の失業武士の救済事業として明治九年頃から始まった。大河ドラマ『花燃ゆ』(二〇一五年)のゆかりの地である。


「さて、着きましたよ」

兄弟達は萩城下へと入った。萩城の中に入ると大勢の人が行き交っていた。

「おおっ、賑わっているなぁ」

「はい、ここは長州藩の城下町ですからな」

「なるほど……」


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