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能無し勇者は知恵とLV1魔法でどうにかする  作者: (^ω^)わし!!!


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ヘンなヤツ

トランプがSNSにAIで自画像を描かせてたから、試しにイリスを描いてっもらったが、なんとも普通な女の子が出てきた。イリスは額に角があって獣耳とエルフ耳という4つの耳があって、くらいは押さえてほしかったがAIなんてまだまだだね。

しかしそういえば習近平のSNSは見ないな。

あったら絶対フォローするんだけど。

 付与魔法を仕込んだ鉱石によって作業効率は格段に改善された。


 きちっと区画を分けた土地に回復魔法を付与した石を等間隔に配置すれば、公太郎が自身で土壌を肥沃に改善しなくとも畑ができあがる。木材を得るための伐採所も同様だ。収穫や伐採を除けば、水魔法を付与したスプリンクラーを配置することで、ほとんど自動的に育成作業が進んでいく。しかも育つ速度が速い。さすがに直接的に魔法を施した時のような即完了ではないにせよ、播種(はしゅ)から収穫まで長くて数日、モノによっては数時間といったペースだ。


 生活環境の質の向上も顕著になっている。


 団地の水道風呂トイレは令和の最新式に遠く及ばずとも、井戸から取水し、必要な水を甕に貯めておく日々に比べれば、いかに楽な暮らしになったかは想像に難くない。中でも人々に好評だったのはトイレだが、水洗であることにより衛生面が整った、という文明的に最も大事な点は意外にもそれほどではなく、ウォッシュレットという日本の叡智がすべてをかっさらっていった。


 とはいえ、まあ…それもそうだろうなとは公太郎は思う。ウォッシュレットは一度体験すれば手放せなくなる衝撃を受けるだろうし、公太郎自身、トイレ回りは異世界で辟易するいくつかの大きな問題の一つだったからだ。


 本当に、この鉱石様様といったところである。


 ちなみに。


 そのあまりの便利さは、ドンズたちが新たに『魔王石』と名を付けたほどだった。曰く、無力で無用な存在だった鉱石に秘められた可能性が、どこか小さな魔王イリスの姿と被るとかなんとか。


 しかし、いかな魔王石とて起こる難題をすべて片づけてくれるわけではない。




 「襲ってくる魔物が増えたー?」


 一棟の団地一階をぶち抜いて設けられた食堂にて、料理の得意なイリスが手ずからこしらえてくれた本日の夕食、そのメインディッシュ『鳥肉とトマトとチーズの香草焼き』に見とれていた公太郎が顔を上げると、同じ料理の乗ったトレーをリュナが隣の席に置くところだった。


 「実った作物を食べに来るのよ。イリスの領地(ここ)はエサになる木の実とか、あまり自生してないから。厄介なのは鳥ね。獣人たち皆で見回ってるけど、空を飛べるのはアタシしかいないもの」

 

 「害獣かー…」


 「別に、来たら来たで叩き落として肉にするからいいのだけど」


 リュナは着席すると、鳥肉をフォークで突き刺し、口に運んで「おいしっ」と舌鼓を打つ。


 「ただちょとね…頻度と数が多くて。今日なんて一日中ほとんど張り付きになっちゃったわ」


 「…どおりで、ここんとこ豪華な肉料理が続いてたわけだー」


 現在、食堂で提供される料理にメニューはない。その日に採れた食材で、その日にできる料理を、イリスが考えて調理するためだ。

 厨房は数名の補助が入っているものの、ほぼイリスが単独で切り盛りしており、提供される料理は例によって『魔王飯』と呼ばれて親しまれている。もちろん誰もが利用でき、獣人とドワーフの総数を考えれば、今でも凄まじい量となるはずだが、イリスは毎日涼しい顔で捌いていた。なお、夕食時に限り、酒も提供されるので、大衆酒場さながらに相当やかましくなる。


 「そういえば、一日中…ってことで思い出したんだけど」


 ちぎったパンにバターを塗っていた手をおもむろにリュナが止める。


 「アンタたちがドワーフのとこだった間、アタシ飛竜でグリモアの山に行ってたじゃない?残った財宝を回収しに」


 「うんー」


 「その時ね、上空の天候の関係で、この前とは別のルートを通ったんだけど、ヘンなヤツを見たわ」


 「変なヤツー?」


 リュナはろくにバターのついていないパンを口に放り込むと、記憶を探るようにしばらく黙って噛みしめた。


 「なんにもない広い荒れ地の真ん中で、じっと岩に座ってたのよ」


 「岩に…座ってただけー?」


 「そう。最初に見たのが()()で、まだ昼前のこと。それだけならアタシも『妙なヤツ』くらいにしか思わなかったんだけど、日が沈んだ()()もソイツまだ座ってたわ。…こう、キチッと」


 証明写真を撮る時のように、リュナは背筋を伸ばして手を太ももに添えてみせる。


 「夜になってたしアタシも早く帰らなきゃいけなかったから、ソイツに声をかけてもないし、話もオチとかないんだけど、一日中座ってたのかなとか、今になってちょっと気になるっていうか…」


 「ふぅんー…?」


 ついうっかり無意識で公太郎は気の抜けた返事をしてしまった。とはいえ、リュナ自身の言う通り、話にオチが存在してないので仕方がない。たしかに奇妙といえば奇妙だが、座ってるだけであれば、まあ…そんな人もいるんじゃないか、くらいの感想だ。


 しかし…せっかくリュナから話題を振ってもらった手前、それで済ますのも申し訳ない。


 「どんな人ー?種族とかって意味でー。獣人ー?」


 「…空から見ただけだけど、たぶんハムタロと同じ…人間。なんか、そこも引っかかるのよね。普通、こんな魔界の端っこの、人間にとって危険極まりない地帯に、すき好んで来るヤツなんているかしら。…アンタ以外で」


 「ははは…俺も成り行きなんだけどー。…で、その人は男ー?ハゲたおっさんとかじゃなかったー?」


 魔界の僻地に人間がいたとして、まず考えられるのは冒険者とかなんだろうが、一日中、ただ岩に座ってたとなるとそうではないだろう。冒険者がわざわざ危険地帯で、そんな暇で意味のないことをするとは思えない。

 だとすると頭を丸めた修行僧とか修験者の類ではなかろうか。岩の上で座禅を組むとか、修行の一環であるなら、ぎりぎりわからなくもない。…知らんけど。


 「若い女だったわ。外見で言うなら、アタシと同じか、ひとつふたつ下くらい」


 「女かー。若い女の人が魔界で一日座ってるのは…たしかに変だなー」


 腑に落ちたと公太郎は首肯したが、しかしリュナはなぜか首を横に振った。


 「いいえ、違うのよハムタロ。アタシがヘンだと思ったのは、ソイツが女だったからじゃないの」


 「んんー?…というとー?」


 「うーん…」


 公太郎の問いかけに、リュナはなんと表現したものかと考えるそぶりを見せる。それから数秒後、どこか言い辛そうに口を開いた。


 「…全裸だったの、その女。寒い中、裸でずっと座ってたわ」


 「ぜ…全裸ー!???」



 …なるほど、そりゃあ………妙だな…

TIPS:魔王飯はメインディッシュ以外にパンとサラダとスープまでついている。パンとスープはおかわり自由。食材は現在自給自足で事足りており、街づくりの者たちは代価を支払う必要もない。ただし酒はドワーフの飲む量が莫大なため、一日の提供に制限がかけられている。

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