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「ふ、ふ、ふふふふっ……」


 来た……獲物が私の元に来たよ。


 私は縄を後ろに隠し、獲物もといジャンに近づく。


「ジャーン、久しぶりだねー」


 にこにこと笑みを浮かべる私と顔をひきつらせるジャン。その顔色は心なしか青い気がする。だがしかし、逃がすわけにはいない。


「最近どうしたの? 家に帰ってないよね?」


「え……あ、ああ、ちょっと用があってさ」


「へえ、そうなんだ」


「じゃ、俺はこれで」


 去っていこうとするジャンに向かって縄を投げれば、意外にも上手く輪に通すことができた。そして突然のことに驚いて動けなかったジャンを捕まえることに成功した私。


 さあ、どうやって聞き出そうか。


 ……あれ、今の台詞ってなんだか悪役っぽいかな。いやいや、気のせいだ。だって私一人がのけ者状態だもの。その私が悪役って、酷いよね。だから私は悪役じゃない。


 心の中でそう思いながら頷く。


「リラ。今はなにも聞かず縄をほどいてくれ」


「それは縄ではない。糸だ」


「じゃあ糸をほどいてくれ」


「それは糸に見せかけての糸こんにゃくだ!!」


「うん! とりあえずなんでもいいからほどいてくれ!」


「断る! しばらくの間私一人だったんだぞ! 久々の人間なんだ! 簡単に逃がすもんか! ああ、そうさ! 逃がしてやるもんか! お前は私のそばにいるんだ! いいな?」


「リラが壊れてる……リラ、俺たちが悪かった! だけどこれには深い事情があってだな! 今はなにも聞かないでくれ!」


「私を避ける事情に深いも浅いもあるかああああああ! 私一人でご飯とか淋しかったんだぞ! お店開いても誰も来てくれないし! 寂しすぎるでしょうが!」


 そう言い終わると、ぜえはあと息が荒くなってしまって呼吸がしづらい。


「リラ。話の途中悪いがジャンは返してもらったぞ」


 聞きなれたシュルトの声が聞こえ縄の方を見ると――。


「あ、あああああああっ! シュルトの馬鹿! 縄を切るなんて酷いよ! あ、もしかしてジャンと愛の逃避行か?! そうなのか?! だけど応援はしてあげられない! だって今愛の逃避行されたら、また私一人ぼっちになっ……」


 シュルトとジャンがいたところを見ると、二人の姿はもうなかった。


 ……今度から熱弁するときはよそ見せずにしよう。


「うん、それがいい」


 ああ、なんかもうため息しか出ないや。


 でもわかったことが一つある。それは今日も一人ぼっちのご飯ってこと。そうだ。今日はちょっと豪華にしよう。

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