第30話 和風な相談
昼休み、皆に笑われながら結局ラーメンを食べる優芽の隣で、綴はお弁当を拡げる桜子に聞いた。
「桜子のお家って伝統工芸品のお店って、おばあちゃんが言ってたんだけど本当?」
桜子は上品に箸を使いながら綴を見た。
「そうやけど、いきなりなんで?」
「この前さ、お店に外人さんが来てね、金沢で買ったって言う漆っぽいペンを見せてくれたの。同じようなものが欲しいって感じだったからさ、スマホで調べて適当に漆のお店を紹介したんだけど、そう言うのって桜子のお家にもあるのかな」
桜子は一旦箸を休める。
「うん、たぶんあるよ。結構ええお値段するけど、インバウンドの人らは買うていかはるわ」
「それって可愛いペン?」
「うーん、可愛いって言うより厳かな感じ? 」
「そっか。見せてもらった金沢のペンはね、桜の花とか描いてあって、結構可愛かったのよ。ウチのお店にもそう言うのを置いたらいいと思うんだけど、おばあちゃんは工芸品は置かないって言うの。工芸品じゃなくてもさ、和風っぽい感じのペンだったらウケると思うんだよね。そんなの京都にはないのかな」
桜子は箸を置いた。
「うーん。お花が描いてあるのもあると思うけど、蒔絵とか螺鈿みたいな模様の中に描いたるように思うわ。花鳥風月って感じやな」
「そっか、ザ・ジャパネスク! って感じなのか」
「まあそうやな。その方が観光客にウケるゆうのもあるんやろな」
「そこにアニメっぽい絵とか入れたら変かな?」
「あかんことないやろけど、職人さんとか作家さんがいてはるかどうかやろな。細いとこに描くわけやから」
うーん、職人さんか。そんな知り合いはいないし、思いつくのは滝岡さんだけだけど、あの人は絵手紙だよね。
宙を睨む綴に倉良が、
「若い職人さんとかで今までと違うことをやりたい人っているんじゃない? ほら、大学にも伝統工芸専攻コースってあるじゃない。ああいう所にいる人」
それを聞いて桜子はハッとした。
「せや、綴。一人だけ思い当たる人、思い出したから聞いてみるわ」
「ありがとう!」
「なんか面白いこと出来そうやな。魔法のお店やし」
桜子が微笑み、優芽も笑う。
「ベンチャーみたいな話ちゃうん。クラウドファンディングとか使たら、まじイケるかも知れへんで」
おお、そこまで考えてないんだけど…。言い出した割に深い考えのなかった綴は焦った。
その日、綴は綴った。
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今日はめっちゃ笑った! 優芽って、お昼ご飯のメニューを鉛筆転がして決めてるのよ。そんな人、他にいないよねー。それで専用の鉛筆まで作っちゃってる。でさ、桜子が休み時間に転がしてってリクエストして、本当に転がしたら、おむすびころりん みたいに転がって机から落っこちて、そこにいた針先さんが拾っちゃった。もう爆笑よ。針先さんは悪くないんだけど優芽のお昼を拾われちゃったから! みんな笑いが止まらなくて、先生もニヤニヤしてた。こいつら、しょーがねぇーってきっと思ってたよ。結局優芽は針先さんの好みで渋い顔してラーメン食べてたの。こっちも面白かったんだけど、そうそう、この前来店した外人さんのJapan Penの話、もしかしたら上手くいくかも。桜子が作家さんに心当たりあるんだって。可愛い和風って最強だよね。金沢には負けられない。世界の京都なんだから!
それからペンを作る?だけじゃなくて、そのお金をクラウドファンなんとかでやったらとか、みんな意見くれたよ。四人集まれば文殊以上の知恵が出るんだ。お花畑にまた新しい花が咲くかも知れないよ。ドキドキ♡
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