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ゾンビ☆ファンタジー ~ゾンビがあふれるポスト・アポカリプス世界なのに僕だけレベルアップするとかジャンル違くない?   作者: 灰灰灰


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第16話 イキリオタク的には「あれ? なんかやっちゃいました?」は一度は言って見たいセリフだと思う件について


「ムンクーーー!!! 朝だぞ起きろぉーーー!!!」


「ムンク君っ! 朝だよーーー!!!」


 喧しい音と共に陽光が網膜を刺激した。


 えぇ、何。体感的にまだ早朝だが、こんな朝早くに美少女ボイスの目覚ましをセットした記憶もない。通常、おやつの時間まで惰眠を貪るのせいか、意識がぼんやりする上に何故か幻覚まで見える件について。


「何、寝ぼけてんだよ。朝飯前出来てるぞ」


「あはは、ムンク君寝坊助さんだー!」


 だってなぁ……。


 目の前には見事なツインテールが特徴のツンデレ美少女と、小柄で綺麗に切り揃えられたボブカットが特徴の天真爛漫風の美少女がいるんですもの。これを幻覚と言わず何と言うか。


「うーん、なんか幻覚見えるな。よし後一○時間ぐらい二度寝しよ」


「幻覚じゃねーよ、馬鹿!!」


「ムンク君、寝すぎだよっ!?」


 二度寝に着手しようと思ったら、思いっきり体を揺らされた。


 あ、そっか。


 揺さぶられて思い出した。目の前にいるのはツンデレが鉄槌血棘で、天真爛漫風なのが純真心。どちらも実在の人物であり、僕の脳内が勝手に作り出しているわけではない。驚く事に僕はこの美少女しかいない学校に少しの間だけ居候することになったのだ。何それ、自分でも何言っているのか分からない件について。


 その後必死に抵抗を試みるが、虚しい事に二度寝する事は叶わなかった。二度寝は人類が培ってきた叡智の結晶だというのに嘆かわしい。粗大ゴミの如くそこら辺にほうり出された叡智の結晶さんはさておき、純真達が僕を無理矢理に連れてきたのは調理室らしき部屋だった。


「……おはようございます、北原先輩」


「あらおはようムンク君。朝食はもう出来ているからどうぞ」


 中に入ると更に二人の美少女を目にする事となる。スタイルの良い金髪碧眼おっとり美少女が天草・キリストリア・アリア、やたら警戒心が高くセミロングぐらいの綺麗な黒髪が特徴の愛贄冬雪。愛贄に関しては僕の幼馴染にあまりにもそっくりすぎて色々と困る。ほんと困る。


「お、おはよう……へ、へへ」


 幼馴染似(ドッペルゲンガー)はさておき、消え入りそうな声で、しかもどもりながら何とか朝の挨拶を絞り出す僕。こんな豪華にもほどがあるメンツに囲まれながらも、今日も今日とて僕は隠キャというね。



 ◆



「ギブアンドテイクでどう……? 僕は陽乃やこの町の情報を知りたい。そして僕はゾンビの排除が可能だ」


 朝食も終わり一息ついたとこで、一つの提案を彼女らに切り出した。こういうのってどういうタイミングで切り出せば良いかよく分からないよね。かと言って食後の気の利いたトークなど出来るわけもなく、とっとと本題に入るに限る。何度も言うがそういうのはイケメンさんに頼もうね。


「なるほど……これはムンク君の誠意と見ても良いかしら?」


「そういうこと。一方的な関係は面倒だしね」


 話が早くて助かる。天草はこのメンツでの実質リーダーのようなものなのだろう。こちらの言い分を寸分の狂いもなく理解した。


 要は一方的な関係なんて大抵ろくな事にならないのだ。どちらかに寄り掛かるばかりの関係であれば、いずれ破綻する。そして今の世界でのそれは死に繋がりかねない。


 え、お前は引き籠っていたから親の脛かじっていただろって?


 それはそれ、これはこれ。


「それはいーけどよぉ。お前そんなに強いのか? あんまりそーは見えねーけど」


「あんまり無理しちゃダメだよ〜?」


「でも男手があるのは本当にありがたいわ。無理しない範囲でよろしくお願いね」


 彼女の声音はどこかこちらを心配するようなものだった。


 うーん、これは少し舐められてるな。まぁ、彼女らは僕の力を知らないわけだし、こうなるのも分からなくもない。イキリオタクばりに僕の能力を早口説明するのもやぶさかではないが、過去にドン引かれた事があるのでここでは自重しておく。


「じゃあ、ちょっと外に行こうか。僕の本当の力って奴を見せてやりますよ」


 さてとここからは僕のターンだ。隠キャだってやる時はやるって事を見せてやりますよ。



 ◆



「そおおおおおおおおおおい!!!」


 ズパアアアアアアンンン!!!!!


 ただ大剣を前に一振り。発生した剣戟は何故か津波のようにゾンビ達を飲み込み、そのことごとくは討ち滅ぼした。たった一振り。たった一振りでこれとは、もはや自分は人類の範疇に収まっているのか本格的に疑問視したくなるレベル。


「おっと撃ち漏らしか。普通のキック!! ……これで終わりかな? どうよ中々のもんでしょ」


 数体撃ち漏らしたゾンビも数発の蹴りで真っ二つ。


 振り向くと彼女達は僕を見てポカーンと口を開けていた。あれ? 僕またなんかやっちゃいました?


 なんちゃって。


「え、ええ、完璧だわ。実力があるのを疑ったわけではないけどここまで圧倒的なんて驚いたわ」


「ムンクすげーな! アイツらが赤子と変わらねーな!!」


「ムンク君すごーい!!」


「理解が追いつきません……」


 まぁ、当然こういう反応になるよね。僕も常々思っているけど、一人だけなんかジャンル違うもん。どこの世界にゾンビものなのに馬鹿でかい大剣振り回す奴がいるんだよ。


 この能力自体は大変有り難いけど、もう少しこう世界観ていうやつを大事にして欲しいね。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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