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ゾンビ☆ファンタジー ~ゾンビがあふれるポスト・アポカリプス世界なのに僕だけレベルアップするとかジャンル違くない?   作者: 灰灰灰


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第13話 何故かディーフェンスムーヴをかまされた件について

「悪いね。こんな状況なのに夕飯までご馳走になっちゃって」


 自己紹介も無事に終ると、タイミングを図りつつ僕はおもむろに椅子から立ち上がった。


「フフフ、こういう時こそ助け合いが大事だもの」

「へへへお前運がいいぞ。うちは結構備蓄もあるし食うのには困らないぞ」


 対する天草と鉄槌は僕に向けて何の含みもない純粋な笑顔を浮かべている。

 ……こいつら本当にいい奴なのかもしれないなぁ。普通、初回であんな粗相をした人間をここまで手厚く扱わないよな。しかも、この状況では貴重であるはずの食糧を何の躊躇も無く分け与える程のお人好しだ。案外、ここに居座るのも悪くない選択肢なのかもしれない。


 でも、僕にはやらなきゃいけない事がある。


「じゃあ僕はここで」


 なので淡々と言葉を告げて僕はクールに立ち去るぜ。

 幼馴染も探したいし、ぶっちゃけて本音を言えばこの女性だけの空間に居座るのが地味にキツい。もちろん美少女達がいる状況は嬉しくないと言えば嘘になるが、それよりも居心地の悪さの方が目立つ。友達ですらろくにいないのに異性一〇〇パーセントの空間とか無理にも程があるでしょ。ムンクお家帰る!


「え?」

「は? おい!?」

「……」


 ちっ、引き止められた。


「せっかく安全な場所に来れたのに出ていくっていうの!?」


 天草の声音は真剣そのものだったし、愛贄を除きその他の面々も困惑したような表情を浮かべていた。

 自分から出て行こうとする人間を案じているあたり、真性のお人好しである事が理解出来た。普通この状況で異性かつ、得体の知れない他人をここまで心配なんかするわけもない。ここまでお人好しだと何か裏があると疑いたくなるものだが、僕にしては珍しく彼女らは嘘をついているようには思えなかった。

 あれ? 僕の隠キャセンサー鈍ったかな?


「人を、幼馴染を探しているんだ。だからここにいるわけにはいかないんだよ」


「幼馴染……?」


 一瞬、天草の瞳に動揺が走ったように思えた。何か彼女も幼馴染関連であるんだろうか。

 うーん、彼女らの不安に漬け込むようで気が進まないけど致し方ないか。ここは押し切らせてもらおう。


「大体僕みたいな男なんていない方がむしろ安心でしょ? 何されるかなんて分かったもんじゃないし」

「そ、そりゃそうだけどよ……」


 とりあえず向こうが不安に思っていそうなことをぶちかました。やはり少なからず不安に思っていたのか、鉄槌の声には不安が混じっている。愛贄に至っては僕がいなくなった方が安心なんだと思う。頑なに視線を逸らしている辺り、内心はそんな感じだろう。

 そもそもこの状況。向こうだって下手に食い扶持が増えるのは好ましく無いはずだ。


「それと僕はここにいる理由もメリットもないしね。じゃあ、死なないように達者でね」


 会話を一方的に切り上げ外に向けて歩き出す。

 僕の今の目的は幼馴染を探すことだ。ここにはいないみたいだし、さっさと他を探しに行きたい。

 まぁここは外から見た感じ屋上菜園や太陽光発電等の設備が充実していた。拠点候補としては申し分ないが、それよりも今は足枷が増える方が面倒だ。


「純真、邪魔なんだけど」


 教室のドアに差し掛かったところで、小さい影が目に飛び込んだ。この中の面々でも一際小さい彼女は両手両足を限界まで広げて僕を通さないようにしていた。


「……」

「……」


 ただ僕も僕で譲る気は無い。脳裡に浮かぶのはあの名前すら知らない彼女。彼女のように手遅れになってからでは遅いのだ。

 しかし、彼女じゅんしん彼女じゅんしんで譲る気はないらしくお互いが睨み合う形になった。


「ディーフェンス! ディーフェンス!」


 はい?

 純真は何を思ったのか、両手を広げたままピョコピョコと反復横跳びを始めたんですけど。

 ス○ムダンクの読み過ぎかな?


「ったくアイツは。仕方ねえアタシも加わってやるか!」


 一瞬、鉄槌はポカーンとした表情を受かべるが、ニッカっと口端を釣り上げて純真の方へ歩き出した。え、なんで?


「「ディーフェンス! ディーフェンス! ディーフェンス!」」


 そして鉄槌も加わり二人揃ってバスケのディフェンスムーブをかましている。カオス過ぎてこれもう分かんねぇな。どうしてこうなったし……。


「どんだけお人好しだよ、見ず知らずの僕を受け入れようなんて」

「だってせっかく友達になれたのにすぐお別れなんて嫌だもん!!」

「と、友達!?」


 どうやら純真の中では既に僕は友達認定らしい。一瞬でもときめいた自分のボッチ具合が憎い。ボッチは友達と言う単語に弱いのだ。くぅ。


「と、友達は作らない派なんでそれはちょっと……」

「そ、そんな!?」

「なんだよー! 観念して友達になりやがれー!」


 そしてこんなどうしようもないセリフを吐き出すというね。まぁ、でもどこかの偉い吸血鬼さんも友達がいると人間強度が下がるとか言っていたしね。ボッチはボッチであることがアイデンティティでもあるのだ。クソみたいな価値観だな……。


「ふぅ……落ち着いて皆」


 僕らの煮え切らない状況に天草が前に出た。彼女の歩く動作は上品と思えるほど綺麗で、履いているのは上履きなのにコツコツとヒールの音が聞こえてきそうである。


「さっきメリットが無いと言ったわねムンク君。いいえ、あるわ。だって貴方は陽乃さんを探しているのでしょう?」

「えっ」

「だって陽乃さんは少し前までここにいたんですもの」


 えっ、ほんとにまじでどういうことだってばよ?


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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