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エピソード6-9
「……まったく」
美桜は首を大きく横に振った。
「そりゃそうだよ。見張ってたのは、うちの幹部クラスだからな」
(幹部クラスって、ケンさんの幹部……それって……)
そのとき――。
「ケン、余計な話してんじゃねぇよ」
蓮の声が響き、美桜の問いも重なった。
「ケンさんは、ヤクザなの?」
ケンが一瞬、入口の蓮を見てから、再び美桜へ視線を戻す。その表情は、少し不思議そうだった。
「ケンは、ヤクザじゃねぇよ」
語ったのは蓮だった。
彼は美桜の横に腰を据えると、ゆっくりタバコに火をつけ、煙を吐いた。
「ケンはヤクザじゃない。このあたりを統一しているチームのトップだ」
その言葉に、美桜は言葉を失う。
この時点でそれが恋だとは、まだ言えない。
けれど、心の奥深くにひっそりと灯ったその感情は、確かに誰にも触れられたことのないものだった。
名前も、形もわからない。
ただ、静かに。息をひそめながらも確かに──彼女の中で芽吹いていた。
深愛1【完】




