27話 リベンジマッチ
キリを考えて今回は少し短めです。
次回は長くなるかも?
(これなら...いけるな)
ちょうど自分の体格に合う服を見つけ、そう呟く。
今は一応、場所は変わってまた誰かの住居。
ミルシャとの話し合いを終えた後、今は装備の調達の為に二人して村の家々を渡り歩いていた。
(すいません、これ貰いますぅ...)
誰に聞こえる訳でもない言葉が家内に染み込む。
ミルシャの衣服だったり装備は、弓以外はほぼ無傷だったので、服は背中にかけて酷く破けて、その他の防具もほぼ壊れてしまっていた俺の替えの装備を探す為に行動していた。
(はぁ~...やっと見つかったかぁ...)
この村のエルフ達は、誰もが高身長らしく、自分も確か174cmはあるはずだが、どれも見事に胴の長さも袖の丈も合わなく、この住居で6軒目にしてやっと見つけられた。
(ふぅ......色んなお宅を漁りすぎて、まるで自分が空き巣にでもなった気分だ...)
次から次へと無人の家を勝手に漁り、そして物品をしっかりと持っていく。
...う〜ん、これはいけませんなぁ...
「えっと、どうしました?ロクロー?」
(いやぁ......さ?人のいない家からこうして勝手に物を取っていくのがさぁ...なんかこう...ねぇ?)
前から思っていたが、人の住宅に不法侵入、それに加えて家財等の窃盗。
ここのところ曲がりなりにだが、どこぞの勇者達と同じ所作をしていた訳なのだが...これ、キッツい...
罪悪感ハンパなすぎるって...なんなのこれ?
この誰もいない住居から物を盗っていくのでさえもこんな嫌なのに、あの歴代の勇者達は堂々と次々に人が居ても取っていく....それが勇者と言われる所以の一つなのだろうな。
まぁ...プレイヤーがそうさせている訳なのだがね。
「ロクローはとても律儀なんですね?」
(んおっ...あっと...そうか?このくらいは普通なんじゃない?)
いかん、慣れてないことへのストレスで、ちょっとぶっ飛んでたな...
「結構人の物を拝借するのに抵抗ありますよね?」
(あぁ...人の物を盗るのは駄目なことだからな)
「でも非常事態であるなら、それは仕方がないことなんじゃないですか?」
(…非常事態...そうだな、うん、それでいこう!)
非常事態、なんと便利な言葉だろうか。
違法行為をしてもお咎め無しでいれる素敵な言葉。
お陰でちょっと気が楽になってきたぞ。
やっぱり物事への考え方って大事なんだな。
(よっしゃ!後は胸当て、剣、ズボン、手袋その他諸々だな!)
「はい!頑張って行きましょう!」
◇◇◇◇◇◇◇
(これで全部揃ったな)
防具類はどうせ武器庫にあるだろうと目星を付けて訪れたまでは良かったのだが、まさか肝心の中身はもぬけの殻だと思わず、一時はどうなるかと思って焦ったけど、色々奔走してどうにか見つかった。
色々なお宅に置かれていた少し使用感の漂う装備達だが、ボロボロだった時よりはマシだ。
中古品という物自体は日本にいた時にだってかなりお世話になり続けていたからな、使う事に関してはあんまり抵抗がない。
(よっし...それじゃ行きますか)
「はいっ、行きましょう!」
これでアーディと再戦の為の準備も万端になった。
前回は尻尾を巻いて逃げるしかなかったが、新たな奥の手だって思いついた。
今度こそ絶対に勝つ...いや、勝たねばならない。
(あぁそうだ、ミルシャ)
「何でしょう?」
だから一つ、ミルシャに言っておく事がある。
(アーディと戦うときなんだが――)
戦いに臨む前に、必ず勝利を収めるために、俺が言えるとっておきの方法。
「………それは...本当なんですよね?」
(もちろん。こんなこと、嘘なら言えない)
「………わかりました、元より遠慮などするつもりはありませんが、これで心置きなくできそうです」
これでミルシャが土壇場で迷う事は無いだろう。
さぁ、アーディとのリベンジマッチといきますか!




