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デュラハンが行く!! 〜異世界漫遊記〜  作者: 八嶋ユナ
第一章 クエルタム大森林編
27/31

26話 意志は折れず

更新遅れて申し訳ありません。いざ投稿と思ったのですが、もっと内容を良くできるといじりまくってこのざまです。本当に申し訳ありません。

アーディとの戦闘からざっと半日程度。

ずっと目覚めていなかったミルシャは、今は元気に起きていて、食事だってできていた。


「はむっ...んむんむ」

(どうだ?美味いか?)

「んくっ.....はいっ!美味しいです!」

(そうかそうか!)


デュラハンの弊害で味見とかはできなかったけど、どうやら問題なかったようだ。

目分量に関してはちょいと自信があるしね...謎に。


(勝手に人んちの囲炉裏を使って料理するとはな...前の俺じゃ、思いつきもしない経験してんなぁ...)


多分川魚の串焼きに野菜と魚の鍋、謎に硬いパン。

ミルシャが目覚めるのを待っている間、とりあえず起きた時に飯はいるだろうなと今いる住居を漁ってみたら、まだ新鮮であろう魚だったり野菜、壺入りの調味料もあったのでありがたく頂戴しておいて、今しがた囲炉裏っぽいのでまとめて料理したのだ。

ちなみに味付けは塩のみでやらせてもらってます。


「ロクローは料理もできちゃうんですね!このお魚なんて、お塩の加減が絶妙で...!」

(フッ...まぁ、これも独身男の嗜みってやつよ✧)


嘘ときどき本当である。

独り身だったのは否定しようもないが、料理なんて気まぐれでしかやんなかったし、味付けに関しても調味料だろう物が入った壺を見つけたのはいいが、塩なのか、砂糖なのか、はたまた別のナニカなのか全くわからず、とりあえず炒ってみて塩っぽかったやつで賭けに出たところもあった。

ごめんよ...ミルシャ、許しておくれ...こんな俺を...


(ロクローはえっと...ニホン?という場所では独りだったんですか?)

(ん?あぁ、まぁ..そうね...)


ミルシャが純粋に質問を投げかけてくる。

いやぁ...そこに食いついてきたか...

ゲームや漫画にラノベ、趣味中心に生きて26年。

「3次元より2次元」という思想を抱えて、他人と関わる事より自分の好きなモノを優先してた結果、彼女いない歴=年齢のデュラハンが爆誕した訳だが...


(悔いは無い...無かったんだ...!)


そうだ、俺は望んであの人生を歩んだのだ。

誇れよ俺、彼女いなかったから何だってんだ!!


「...そうですか...独り...」

(なんか言った?)

「いえ...何も!ただ意外だなぁって」

(そう?)

「料理もできて戦える、それだけでエルフの女の子達からすると魅力的ですよ?」

(うっそマジで?)


どうやら俺は、エルフの女の子達からすると良物件らしい。

気まぐれに料理してた甲斐があったものだな...!


(あ)

「ロクロー?どうかしました?」

(あぁ、ちょっとな)


そうだった、俺はミルシャに確認しておかなければいけないことがある。


(ミルシャと話したいことがあったなと思って)

「そうなんですか?」

(あぁ、とりあえず飯食っちゃってから話そう)

「わかりました、あむっ!」


ミルシャに残っている料理を食べ切るように促す。

正直、これから話し合おうと考えている内容の結果はもう予想できている。

しかし、それでも聞いておかねばと思う。

これは俺の意志を決める事も兼ねているから。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「ご馳走様でした、とっても美味しかったです!」

「おぉ、こんな綺麗に...」


串焼きの川魚は見事に骨だけ、野菜と魚の切り身を入れた鍋は汁まで飲み干されており、自分の料理をこうまで完食してもらえると嬉しさが込み上げる。

しかし、その感情は一旦置いて、早速本題に入る。


(よしっそれじゃ、ミルシャに話したいことがあるって訳なんだが……ミルシャはこの後どうする?...いや、()()()()()?)


ミルシャに今後の身の振り方を問いかける。

しかし、俺は知っている。

この質問に少女はどう答えるか、俺は知っている。


「…無論です。もう一度あの大樹の下へ行きます。この大森林を...救う為に」

(……やっぱりそうだよな)


ミルシャがこう答えるのはわかりきっていた。

ただ、はいそうですかと言うわけにはいかない。


(諦めないのか?)

「はい」

(アーディには勝てるのか?)

「……勝ちます。そうしなければなりません」

(……本気で思ってるのか?)

「…はい、本気です。投げ出す訳にはいきません」

(……そうか)


ここまでは予想できていた。

だから、その覚悟が揺るぎないか問わねばらない。


(正直に言えば、かなり厳しいと思う)

「……」

(俺達は、アーディに手も足も出ずやられていた...死んでいたって何もおかしくなかった)

「...はい」

(次また挑めば、生命の保証は無いぞ)

「...はい」


厳しいことを言っている自覚はある。

ただ、大森林を救う為にはあの変異したアーディを打倒しなければならない。

しかし、本音を言ってしまえば、勝てる望みは薄いと思っている。

事実、一度は殺されているのだから。


(それでもミルシャは行くんだよな?)

「……ロクローの言う通り、確かに次に生命は無いかもしれません...ですが、私は―」


ミルシャは逡巡する事も無く、言い放つ。


「このクエルタム大森林、ミルディア氏族が護り手のミルシャです。この生命が続く限り、私は大森林の平和の為に足掻き続けます」


ミルシャの意志は固い。

わかっていた...わかっていたがどうしても確認しておきたかった。

そうしないと、俺も覚悟を決められなかったから。


(ミルシャ)

「はい」

「俺は...これ以上ミルシャに傷ついて欲しくないと思ってる」

「……」

(アーディと戦った後、ボロボロになったミルシャを見て...怖かった)

「……」

(救うと約束した少女が...自分の手から零れ落ちていくのがどうしようもなく怖くって...自分が無力で情けなくて...)

「ロクロー...」

(言っちゃえば、アーディに勝てるとは思えない。途方もない実力差があるって俺でもわかるからな)

「......」

(だが、ミルシャはそれでも行かなきゃだもんな)

「…はいっ..!」

(なら、俺は―)


俺が少女の為にするべき事。

俺が本当にしたいと望むこと。


(君を護る。一緒に歩む。君が進む道を切り開く)


今まで戦いとは無縁の人生を歩んできた俺がこんな傲慢とも言い切れる事、言って良いはずがない。

ぬるま湯な人生を歩んだ俺と、己に課された使命を果たす為に生きてきた少女。

そんな彼女を護るだなんておこがましいと思う。

現実が見えてないと言われてもしょうがない。

ただ、それでも俺は、この少女を心から救いたいと本気で思えるから、


(今度こそ君を救ってみせる)


これは自分への誓い。

無力である事を許さない為の誓い。

もう二度と失わない為に。


(だから、俺もついて行く。この身体が動き続ける限り、俺も大森林の為に戦い続ける)


どんな事があっても、少女と共にあると誓う。


「ロクロー...ありがとうございます。どうかまた私と共に、大森林の為に一緒に戦ってください!」


ミルシャが手を差し伸べる。


(あぁ、もちろんだ!!)


ミルシャの手を取り、がっちりと握手する。

首無しの男と護り手の少女は、一度は死を経験したとしても決して諦めることは無く、また戦いに身を投じることを選んだ。

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