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デュラハンが行く!! 〜異世界漫遊記〜  作者: 八嶋ユナ
第一章 クエルタム大森林編
26/31

25話 隠しごと

嬉しいことにこの作品の累計PVが1500を超えました!!ブクマをつけて追ってくださっている方、この作品に興味を持っていただいた方、見て下さる皆様に深い感謝を!!

(...まずいぞ)


手は震え、集中力が目減りしていく。


(ここはグッといく感じに...)


少しのミスで全てが台無しになってしまう。

慎重に、それでいつつ豪快に流れていく感じを意識して力を込める。


(そいで反りを......できたぁっ!!)


神経をすり減らした先、首無しの男の手には蒼い炎を纏い、煌々と輝く白焔の刀が納まっていた。


(いやぁ、魂の炎でここまで作れるか!!)


適当な住居に入って、ミルシャを寝かせてから体感数時間。

自分にやれることもなくなり、ミルシャが目覚めるのを待つ間、魂の炎で色々な形を作ったりして暇を潰していた。


(よしっ、次だ次!!むむ......よし...いいぞぉ...)


丸、三角、四角などの図形、親指から順番に指先へ炎を灯していく、螺旋を描く、渦を巻かせる。

自在に動いてくれる炎をたっぷりといじくり回し、今は剣や刀を形作ることに凝っていた。


(…おっ!コレは良い、かなり上手くいったぞ!)


何回も重ねた試行錯誤によって、炎の操作は格段に上達し、こだわらなければ剣を瞬時に、刀は短ければそんなにかからず形作れるところまできていた。


(うむ...センスあるよな、俺!!)


自分が納得のいくクオリティを安定して出し続け、炎の操作に関してはかなり自信がついていた。


(……全然起きないな...)


それでも以前変わらず少女は寝息を立てているだけ。


(あんな怪我だって全部治ってるんだ、後は起きるだけだぞ...ミルシャ..)


身体は万全、後は意識のみ。

こればっかりは魂の炎でもお手上げであり、火遊びに夢中になっていなければ、心に薄く広がる不安に囚われてしまいそうだった。


(………起きる。起きるさ..大丈夫..)


このまま植物状態なのかもしれないという不安に。


◇◇◇◇◇


「......んぅ...」

(―ッ!?ミルシャっ!!)

「ロク...ロー..?」

(あぁ...よかった...よかった...!)

「えっ...え!?」


あれからまた数時間。ついに目を覚ましたミルシャを抱きしめ、言葉にしようがない程の喜びと安堵に浸る。


「ロクロー!?あの..えっと..何を―」

(ずっと不安だった...)

「……!」

(怪我が治ったとしても、意識はずっと消えたままなんじゃ...?もう目覚めないんじゃないか?って)


魂の炎は外傷を完璧に治せる。

実体験をもって、理解しているこの炎の特性。

しかし、だからといって死人の意識まで取り戻してくれるのかは、まだまだ未知数であった。


「......すごく心配をかけてしまったみたいですね...。すみませんでした、この通りもう大丈夫ですから」


ミルシャが俺の背中に腕を回し、慰めるように伝えてくれる。


「ただいまです、ロクロー」

(あぁ...おかえり、ミルシャ)


それからしばらくの間、ミルシャは俺が立ち直れるまで、ずっと優しく抱きしめてくれた。


◇◇◇◇◇


(なんか...すいませんでした...)


そこそこの時間ミルシャとハグしてしまってかなり気まずい...。

しかも、大人の男が同意も無しに少女を抱きしめるなんてセクハラもいいところだし、これは明らかな過失、しょっぴかれても文句言えない案件である。


「全然大丈夫ですよ?それよりも私の方がたくさん迷惑をかけてしまったようで...」

(いや、そんなことないって)

「いえ、迷惑かけてます」

(いやいや)

「いやいやいや」


バチバチと意地がぶつかる音がしている気がする。

あの擬音って的確なんだなとうっすらと思う。


(………キリが無くできる自信あるからお互い水に流しませんか?)

「……ロクローがそう言うのなら...」


セクハラ案件は痛み分けの形でどうにかうやむやにできた。

冷静になった今、あれはまずかったと未だに思う。


「それでは私が意識を失った後、何があったのか...聞いてもいいですか?」

(あぁ、わかった)


こうして話すのも久々な気がして、もう少し他愛もない雑談でもしたい気もするが、やはり情報共有は大事である。


(それじゃ大まかに話すけど―)


それからミルシャにアーディとの戦闘のあらましを話した。

ミルシャが気絶した後に俺もやられたこと、焚べる者の力で復活できたこと、アーディに見逃されて、この場所にミルシャを連れて来たこと。


「……大体理解出来ました、本当に不甲斐なくて、すみませんでした...」

(いいや、俺も何もできなかった。ミルシャだけのせいじゃない)

「……ロクローは、絶対に怒ったほうが良いと思うんです。あんまり優しすぎても駄目なんですよ?」

(いや、本当にそうなんだ。俺は、本当にあの時に何も...何もできなかったんだ...) 

「……?」


事のあらましを話す時、意図的に隠したこと。

意識を取り戻した護り手の少女への隠しごと。

少女が経験してしまった死を内に秘め、首無しの男は一人苦悩を抱えていた。

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