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デュラハンが行く!! 〜異世界漫遊記〜  作者: 八嶋ユナ
第一章 クエルタム大森林編
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24話 逃げた先で

(ここで...大丈夫そうか)


アーディとの戦闘から敗走し、未だに意識が戻っていないミルシャを安静にするため、クエルタム氏族村の適当な住居を見繕っていた。


(誰の家かわからんけど、少し使わせてもらおう)


同じ様な住居が立ち並び、正直何処に入っても同じだろうなと思いつつ、比較的綺麗めに映った住居に決めた。


(お邪魔しまぁ〜す...)


引き戸を開けて入ってみれば、中は村と同じように生活感だけを残し、住人だけ消えてしまったような状態だった。


(どこもこんな感じだな...。まぁ、今はありがたく使わせてもらおう)


居たであろう住人に感謝の念だけ飛ばし、ミルシャを寝かせられそうな場所を探すと、


(………なんかめっちゃ和風っていうか...江戸?)


内装は土間と板の間で別れており、竈門の様な物に加え、囲炉裏まで揃っている有様だった。


(たまたま似てる...?いや、魔法なんかが存在する世界で日本と同じ建築思想とかあるのか...?)


異世界の森で生きるエルフ達と、日本の建築士達が編み出した技術が一致とか奇跡なんじゃないか?と思考がはみ出しかけ、


(……やべっ、ミルシャ寝かせるのが先だ!)


今の最優先事項を思い出し、板の間に失礼して背負っていたミルシャを下ろして床に寝かせる。


(ふぅ、なんかかけるものとか無いかな)


床に直は駄目だろうと少し家の中を漁ると、布団の変わりになりそうな敷物があったので、その上へとミルシャを寝かしなおす。


(よしっ、後は待つしかないな...)


一応やれる事はこれぐらいだろうとミルシャの意識が戻るのを祈りつつ、近くで待つことにした。


◇◇◇◇◇◇


ミルシャが目覚めるのを待つ間、アーディとの戦闘を思い出す。


(……あの時、多分何度もHPが無くなったんだろうけど、勝手に魂の炎で蘇生を繰り返してたんだよな..)


自身に起きた現象を深堀って考えていく。

魂の炎でHPの回復ができるのは知っていたが、勝手に使われる仕様があるのは驚きだった。


(……ん?ならLPどうなってるんだ?)


余裕のあったLPが目減りしてるのではと急いで確認する。


EXスキル

焚べる者〈65〉


(あれっ?全然減ってない)


予想に反し、LPはあまり減っていなかった。


(俺の今のHPが70くらいあって、全回復に7〜8pは使うはずだぞ...?)


復活がタダ?そんなうまい話があるわけ無いと疑問だけが募っていく。


(う〜ん...)


スキル

鑑定Lv3 瘴気変換 瘴気吸収Lv3 俊敏Lv1 

突進 剣術Lv9 魔力操作Lv4 弓術Lv3


EXスキル

焚べる者〈65〉


何もわからず、とりあえずスキル欄を出してみたりする。


(おっ、鑑定と剣術のレベルが上がってる...ん?)


もしかしたら上がってるんじゃないかと思っていたスキルは予想通りだったが、一つ、見に覚えのない事がある。


(瘴気吸収なんて使ったこと無いぞ)


今まで使ったことのないスキルのレベルが上がっていたのだ。


(え..これいつ...あれ?)


突如起こった謎の現象に混乱してしまう。


(えっと...何か詳しく見れないか)


焚べる者の説明欄を見た時のように、この瘴気吸収というスキルについて知りたいと意識を向ける。


瘴気吸収:瘴気を吸い込める


(う〜ん、まんま!!)


そのまますぎて見る意味が全く無い。

少し期待した自分が馬鹿だったと後悔する。


(だけどそうできるって事は俺って瘴気に耐性あるってことだよな......すごくね?)


吸い込めるということは、瘴気に触れても瘴異化も起きず、無事でいれるのでは?と考えを変える。


(んじゃぁ、ついでにこいつも見てみるか。こいつレベル表記無いんだよな...)


瘴気つながりもあり、何かあるだろうと瘴気変換のスキルも確認してみる。


瘴気変換:瘴気を魂の炎へと変換する


(……えっ!?マジか!?これッ!!)


持っているだけで今まで確認してこなかったスキルがむちゃくちゃぶっ壊れスキルだったと今更やっと気づいた。


(瘴気さえあれば魂の炎使い放題?やばすぎるってそれ!!)


魔法も防いで何もかも燃やせる攻防一体のチートが使い放題できると狂喜乱舞する。


(俺の復活のリソースこいつらだったのか)


やっと謎の現象の正体を突き止め、かなりの達成感が身体に染みる。


(あの女神、厄災をどうにかするまで俺を死なせるつもりが無いってことじゃないか)


この瘴気吸収、変換はこのニルヴァリスという世界に来る前に、焚べる者などと一緒に機械的な女神に与えられたスキルであった。

自分が死にそうになれば勝手に発動し、動けるまでに自動で回復させるという仕様なのだろう。


(そっかぁ...逃げれそうにないなぁ...)


自らに与えられた使命に気づき、これから戦いとは切っても切れなくなることを悟る。


(だけどミルシャが息を吹き返したのもこの仕様のおかげっぽいし...まぁ、しょうがないな)


あの時ミルシャは......死んでいた。

瞳孔が開いていたり、かなりの出血もあった。

しかし、何よりもこの少女は死んでいるのだと直感で理解できてしまっていた。

そして、アーディの攻撃から庇っている時、何度も何度も意識を無くしては復活を繰り返していた時、おそらく腕の中に抱えていたミルシャも巻き込んで治っていたのだろうと思う。


(……ミルシャ、ごめん。君の師匠を救ってあげれなくて...君を死なせてしまって...)


傷跡一つ無く、安らかに眠っている少女を見つめ、ぽつりと呟く。


(俺は諦めない。俺なんか死んだ方がいいと思ったりしたけど、それじゃ駄目なんだ。生きている限りは足掻き続けなきゃ駄目なんだ)


死ぬことは贖罪ではない、この罪を贖うには生きていなければいけない。


(今度は君を死なせない。必ずミルシャも大森林も救ってみせるよ)


首無しの異邦人は眠る少女の傍らで、誓いは二度と違えぬと静かに決心をしていた。

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