第97話 ギロチノス王国へ
パスティアン法国の横をスーッと抜けていくぞ。
ここ、せっかく人間に譲ってやったんで、人間の領域にしておいてやりたい。
人間たちは海路を確保し、魔人の領域と相対してくれ!
そうだな、北部が魔人のものだから……。
ギロチノス王国の北半分まではもらって、ダイコウカ太陽王国はくれてやろう。
そうしようそうしよう。
俺は脳内の地図を見ながら皮算用。
そしてちらっと横目で法国を見ると、アシアライトライデントだった連中が足りない人数で必死に頑張っているようだ。
街のあちこちに灯りが灯り、なんか活動をしているのが見える。
人口も増えたな。
近隣に避難してた元法国の住人みたいなのを取り込んでいるに違いない。
大きくなれよー。
「ほう、人間どもが生意気にも美しい都に住んでいますな」
「これ、俺が再生させたんだ。何もかも新品にしてしまったからピカピカでな」
「なるほど、道理で……。使われている材質が、今の人間どもには扱えない素材ですからな」
「そうだったの!?」
どうやら俺は強化セラミックみたいな素材を作り出し、パスティアン法国を復活させてしまったらしい。
これはまとまっていると土に還らないから、後世まで綺麗なまま残りそうだなー。
次は再生可能な素材でやっていこう。
俺のスタンスはエコなのだ。
パスティアン法国を抜けたところで、ブルスト神聖王国辺りが騒がしいではないか。
これは、悪食王の軍勢から侵略されているな?
「しょくーん! いざ戦争だ! 友軍であるブルスト神聖王国が襲われているぞ! 味方はみすぼらしい外見の鎧をまとった獣人! 敵はもっと士気が高くてやる気に満ちた魔人だ! では突撃! ゴーゴーゴー!」
俺の号令とともに、うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!とリョウ&フレンズ軍が全力突撃を開始した。
全員が本気になれば時速100km出せるやつである。
俺が進路を綺麗な道路で舗装しているから、フルスペックで移動できるだろうし。
果たして、ブルスト神聖王国は攻撃されていた!
我軍の獣人魔人たちが大ピンチだ。
元々士気が高くなかったからなー。
裏切ったら俺に殺されそうだし、どうしようと思ってまごまごしていた彼らの背後から、一斉に出現するリョウ&フレンズ軍!
総勢五万を超える大群が、一斉にブルストへとなだれ込んだ。
敵は樹木の姿をした巨人の群れと、これを操るダークエルフたちだ。
ダークエルフの長らしき奴が遠くで指揮してるねー。
「どれ、敵将は我が仕留めて参りましょう」
「おっしゃ、カグツチ任せた!」
「バルログの恐ろしさを見せつけてやりましょうぞ」
カグツチはそう宣言すると、激しい戦いの最中へとトコトコ分け入っていった。
その姿が、巨大なグレートバルログに変わる。
樹木の巨人たちが、カグツチに睨まれただけで次々に燃え上がり始めた。
慌てて、氷の魔法で攻撃するダークエルフ。
だが、カグツチがてをかざすと、氷の魔法が燃え上がる。
「馬鹿な! バルログがこんなに強いなんて!」「バルログへの必勝の魔法を備えてきたはずだぞ!」「なんだこいつはー!!」
オーバーロードを単身で仕留めた、最強のバルログだぞ。
カグツチは敵陣を真っ向から直進してすりつぶしていく。
正面切っての力での制圧なら、うちの幹部で最強だろう。
張り合えるのはシンカイくらいじゃないか?
そして、ダークエルフを次々に焼き払い、最後にダークエルフの長と対決。
そいつが放ってくる無数の精霊の群れを正面から叩き伏せ、ついには呼び出された精霊王すら倒し、最後は魔力を使い果たしたダークエルフの長を握りつぶした。
うーん、横綱相撲!
もうこの時点で勝負が決した。
残る敵軍を、うちの軍勢がうわーっと叩き伏せていく。
「死んだやついる? 復活させるぞー! 死体を並べろー!」
うおーい! と返事があり、この戦いで死んだ仲間がずらりと並べられた。
俺はこれを、次々に「リサイクル! 甦れ~!」再生再生、また再生!
よし、これで我が軍の損耗はゼロである。
ついでで復活させたダークエルフがヴァンパイア化したので、これはアニタの部下につけておこう。
ちょっぴり部下が増えちゃったな。
「カグツチお疲れ! やるもんだなー」
『はっ。お見苦しいところをお見せしました。我としたことがむきになってしまい』
反省している。
まあ、こいつくらい強いと傲慢でもいいんだな。
つまり他のバルログは弱いのに傲慢だったからいけなかったと。
「大したものでしたわねえ。あれほどの力押し……!」
「残念、あたし届かなかったー!」
ファルメラとアニタも敵将の首を狙っていたらしい。
だが、今回はカグツチに花を持たせてくれたんだな。
気遣いができる職場だ!
「よし、じゃあ死んだ獣人も復活させて……。お前ら、ちゃんと守ってろよー」
彼らに言い聞かせる俺なのだった。
こうして俺達はひたすら西へ西へ。
ギロチノス王国へと到着したのだった。
「トーカー、ギロチノス王国はどんなところ?」
『はい。かつて王家が支配しておりましたが革命が起き、民が王家を処刑しました。その後、内戦が起こって国民の半分が戦死した後、革命を主導した幹部を全て処刑した末端の兵士が、武力によって王を名乗って即位。当然のように国は統率されておらず、悪食王によって真っ先に滅ぼされました』
「しょうもねええええええ」
本当にしょうもない国だった!
俺たちの眼の前に広がっているのは、あちこちが焼け焦げ、ぼろぼろになった都市の姿。
もしやこれ、悪食王にやられたんじゃなくて、セルフで焼いたやつ?
アホな国に到着してしまったのだった。
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