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まだ使える!~可哀想は可愛いをモットーに、転生魔王はダークな異世界をリサイクル能力で蹂躙する~  作者: あけちともあき
リョウ&フレンズ軍、総攻撃!

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第96話 敵なき海を渡る

 ターカス帝国に到着!

 蜘蛛人間たちがわらわらと出てきて出迎えてくれた。


 彼らのほうが、うちの軍勢より少ないんだよな。

 何人かは赤ちゃんを抱っこしている。


 しっかり繁殖するんだぞ。


「ほう、これが主が生み出した新たな種族……!」


『よろしくじゃぞー!』


「ウボアウボア!」


「こうして見てると、人間にしか見えませんなあー」


 カグツチとラッシュとヘッドレスとクローバーで、なんか蜘蛛人間たちと握手して回っている。


「カグツチ的にはどうなの? こいつら、魔人の眷属を改造して人間と混ぜ合わせたやつなんだけど。俺としてはなかなかよく出来てるんじゃないかなーと思う」


「うむ、我としても、こやつらはなかなかの出来だと思いますな。一体一体は弱くとも、伸びしろがあるようです。つまり、戦闘の訓練を積むことでどんどん強くなる種の魔人ですな」


 マミーやキョンシーは、基本的には一定のレベルで強さが止まる。

 数百体に一体の割合で、その限界を突破するやつが出てくるくらいだ。


 だが、蜘蛛人間たちは全員が、種族限界を突破して己の位階を上げられる才能を持つ。

 カグツチは言っているのはそういうことね。


「せっかくなんで一泊して行きません?」


 クローバーがナイスな事を言うので、そうすることにした。

 みんなでターカス帝国を堪能し、蜘蛛人間たちに様々な技を教えるのだ。


 めいめい勝手に、炎の魔術やら目からビームを出す技やら棒術やら剣技やら空でのバランスの取り方やらを教えたので、そのうちバラバラの知識が持ち寄られ、蜘蛛人間たちの間で凄い技となって大成するかも知れない。


 楽しみだなあ。


「ちなみにこの国は、魔族の拠点の南西における端ということになる。だが、同時に人間の国とも交渉できる場ということにする予定だ」


「ほう、それはどうしてですかな?」


 カグツチが不思議そうだ。

 この疑問には、ファルメラが応えたぞ。


「リョウ様は、魔人による一方的な世界支配を望んでおられませんの。なぜなら、対抗する勢力を失った軍勢は、内に敵を求める事になるからですわ。魔人同士の内乱などバカバカしいとリョウ様は仰っておられるの」


「なるほど、確かに……」


 カグツチが感心した。

 もはやファルメラはアニタ、シンカイと並んで、カグツチと互角に渡り合える実力者になっている。

 なので素直に話を聞いてくれるのだった。


 うちの四天王って感じだね。

 こうして朝になり、昼になり、夕方になり。


「思ったより長居されますね」


 皇帝がやって来てそんな事を言った。

 ターカス帝国の皇帝として配置した、最も大柄な蜘蛛人間である。

 喋るようになっていたか。


「俺達魔人は暗いほうが調子がいいやつが多いんだ。だから1日半くらいここで待ったりして旅立つことになる」


「了解しました。何かお手伝いできることはありますか」


「いや特に。教わったこと、みんなで研鑽を重ねて強くなってくれよ!」


「かしこまりました」


 言う事をよく聞くいい子たちだな、蜘蛛人間よ。

 こうして俺達はターカス帝国を抜け、海に出た。


「シンカーイ!」


『かしこまりましてございます』


 どかーんと水面から飛び出してくるシンカイ。

 そしてシンカイ軍団。


「海賊王の軍勢が来たら頼むな」


『お任せ下さい。ですが、その必要はないようです』


「おっ?」


 俺はドラゴンゾンビに乗り、海の上まで到達している。

 シンカイが遠くを指さすので、じーっと見てみた。


 おや?

 船と船が戦っている……。

 片方は、海賊王側の船団だろう。

 もう片方は……。


「ツアーッ!」


 船を飛び蹴りで吹き飛ばす人影!

 マストの間を飛び回る、大剣を持った影。

 弓矢がびゅんびゅん飛び、海賊には攻撃を行う暇を与えない。


 あーっ、これは勇者パーティ!

 あいつらが来てますわ!


「どうやら海賊王サイドは彼らに任せておいても問題なさそうだ。だが、彼らの仕事をイージーにしてやってもいいな。シンカイ」


『はっ。人間たちを手助けしてやるとしましょう!』


「頼むぞ」


 シンカイと水魔軍団が、猛烈な勢いで海賊王の船団へと突っ込んでいった。


「よーしお前達! この海に最早敵はなし! 一気に渡るぞー!! あ、ちなみにここからパスティアン法国までのルートは今乗ってるビークルで行けるからな。全て水陸両用にしてある。のんびり行くぞ!」


 うおーっ!! と元気な返答があった。

 ターカス帝国から海に向かって、我が軍勢がどんどん飛び込んでいく。

 そしてプカプカ浮かぶ。


 どれもが、スイスイと海面を泳いで行くのである。

 小走り程度の速さだから、パスティアンまでは数日掛かるだろうな……。


 敵らしい敵はいないのだ。

 のんびり行こうじゃないか。


 こうして、遠くからドッカンドッカンと海戦の音が轟く中、俺達は悠々とクルーズを楽しむのだった。

 まあ、海戦はほんの一時間で終わってしまったようだったが。


 おお、遠くでシンカイとゼクウが何か喋っているな。

 ツワモノ同士、通じ合う物があるのかも知れない。


 シンカイはまた水中に去っていき、人間たちの船団が勝ち鬨をあげている。

 これは、内海での戦いは彼らに任せて良さそうだな。

 うちの軍勢の被害も抑えられるし、願ったり叶ったりだ。


「シンカイ、彼らを手助けしてやってくれ。人間たちとお前が大暴れするほど、こっちは地上で動きやすくなる」


『かしこまりました。おまかせを!』


 水中から声が響くのだった。

 よし、俺達はパスティアンに上陸してからが本番だぞ。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
蜘蛛人間だけ限界突破しやすいのはベースの蜘蛛がそれなりに強かったからかな。
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