第95話 カンジスタンは接収だ!
この速度の進軍というのは、前代未聞ではないだろうか。
どれくらいかというと、時速70km程度で休み無く24時間の進軍である。
4日ほどで湖に到着した。
ここでクローバーを回収する。
「わ、忘れられたかと思ってましたよー!」
「ハハハ、覚えてた覚えてた。それでヒュドラはどう?」
「あ、はい。反逆しました」
「やっぱり!」
奴を拘束してた支配力みたいなものがあったのだが、俺がシンカイを呼び出したタイミングでそれが薄れたんだと。
そこで反旗を翻したヒュドラ!
幽霊船と真っ向からのぶつかりあいになり、ともに再生するもんで三日三晩の戦いになった。
今は休戦状態らしい。
「幽霊船ならなんとか拮抗できるか。よし、じゃあシンカイ」
『はっ』
湖にグレーターマーマン現る!
「ヒュドラをこっちまで引っ張ってこい。再生力が高すぎて殺せないなら、作り変えてしまえばいいんだ」
まあ、多分俺なら滅ぼせる。
だがもったいないじゃないか。
休憩がてら、湖で全軍を待機させていると……。
湖上空に暗雲がたちこめ、雷雨が発生する。
おお、凄まじい雨、大地を叩く雷。
俺はあちこちに避雷針を立て、そこに雷を落とさせた。
我が軍のダメージはゼロだぞ。
三時間ほどしたら、絶叫が響いた。
ヒュドラだな。
そして、首が一つずつこっちに放り投げられてくる。
『ぎえええええ』『ぎゃあああああ』『ウグワアアアアア!』
「よーし、片っ端からリメイクリメイク! お前らは! 今から! 知能を持たぬ! この湖を守るクラゲ型生命体! 俺がよしとした者だけを自動的に見逃すぞ」
『どうか! どうかそれだけはお許しを! まだ! まだ死にたくなぁぁぁぁい!』
「ハハハ、何を言うんだ。お前らは永遠に生きるんだぞー。お前らを滅ぼせるほどの力を持った敵に当たるまで、自動的に湖を守り続けるんだ。人道的!」
『意思を持たぬ化け物に変えられるなんて嫌だ! 嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!!』
とかヒュドラが申しておりましたが、全部クラゲに変えてやりましたよ。
はい、終わり。
「うーん、殺すよりも残酷な処罰ですわねー」
しみじみ呟くファルメラ。
君も慣れてきたね。
では、湖を後にしてカンジスタンへ。
「戻ってきたぞ!」
「あっ、これは神の使いよ!」
将軍が走ってきた。
俺はおもむろに彼をリメイク!
「ウグワーッ!? おっ、なんか生まれ変わりましたぞ」
「君は俺のことを崇めてくれたから、自意識は残したまま魔人化させてやったんだ。あ、これからカンジスタンは接収するから。ここまでの領域は、リョウ&フレンズ軍の領地とすることが決定したんだ。何せ、ここを残してたら、魔人たちの領域にぽつんと人間が暮らすことになるからね。それは可哀想だ」
「なるほど、以前ならばわたくしめの良心が痛んだことでしょうが、今は神の使いのお言葉が何よりも正しいと心から思えます! どうぞどうぞ……!」
「よーし、じゃあ全員人間やめてもらうぞー。夜明けには一人も生者が残ってないからよろしくな!」
俺の言葉は、カンジスタン全土に響き渡った。
そういう力を使った。
パニックになるぞ。
なった。
「何を考えていますの、リョウ様? 人間がいるというなら、湖に暮らす方々は友好的な人間ではありませんの?」
「彼らは別腹ということで。カンジスタンはここにあるのが良くない。戦争をするとなると、この辺りがボトルネックになる。そこが人間の国というのはよく考えたら駄目だからね。ただ、うちは魔人の数が足りてなくてここを占領できないので……」
「国民を丸ごと魔人にしてしまうのですわね?」
「そういうこと!」
「主よ!」「我らの力をお使い下さい!」「カンジスタンを我らの国に!」
ハンドレッツが大変やる気なのだった。
ということで、パニック状態に陥り、次々人が逃げ出していくカンジスタンを前に、俺はハンドレッツ用の槍を作ってやった。
先端が針のようになっており、これで刺した人間をマミーに変えてしまうぞ。
もちろん、人間としての自我は消え、マミーとしての新しい自我を得ることになる。
「ではハンドレッツ! 一晩与える。全員魔人にしてこい」
「かしこまりました!!」
ハンドレッツ出撃~!
かつての自分たちを捨て駒にした都市を、今度は彼らが蹂躙……いや救済するのだ。
全員魔人になってしまえば、いわゆる魔王領になったとしても心地よく生きていけるからね。
俺の采配を見て、マミーやキョンシーたちがわいわいと騒いでいる。
「なんか言ってる?」
「師父の選択が半端ではないということで、キョンシーたちはリスペクトしています」
オトハ将軍が総意を伝えてくれたぞ。
「吸血鬼村のみんなもね、遊びに来れる場所が増えるのは嬉しいって!」
そうかそうか。
アニタをはじめとして、吸血鬼村の面々は根明だからなあ。
一回殺されてから、怖いものなくなったもんね。
なんか良く分からないが、こいつらもハンドレッツの観光案内してるうちに階梯が上がったんだよな。
何が起こってるんだ。
『マミーたちは恐れおののいていますね。ちょっとマスターを舐めていたらしいのですが、これで全員心の底からブルったので服従しますよ』
「マミーめ俺を舐めてたのか」
ヘルガーディアンは言葉選びが独特な時があるな。
とまあ、ハンドレッツを待つ時間がたっぷりとあるので、ここからの予定をみんなに話すことにした。
「ここからはだな、西方の七王国を経由していく。途中でターカス帝国があるが、こいつは俺が創造した種族が暮らしてるから安心だぞ。仲間だ仲間。そこから海をみんなで渡る。海賊王がいるが、まあシンカイをぶつけとけば問題ないだろう。でだ、パスティアン法国は今後は人の領域にする予定だから放置な。横を抜けていくぞ。ブルスト新生王国は俺が手下にした連中が暮らしてる。ここで一休みし……」
俺は空中に巨大な地図を作り出した。
これは、土や石を空に飛ばし、それを超高速で動かすことで発熱、発光させているのだ。
これで、空中地図を作り出すという力技だな。
夜だからこそできる技だと言えよう。
「残りはギロチノスとダイコウカの二国。ここを一気に駆け抜けて滅ぼす。どこかに悪食王がいるはずだ。こいつをぶっ殺せば、黒幕登場というわけだ。分かったかな?」
はーい、という大きな返事が戻ってきた。
うんうん、物わかりが良くて何より。
そして明け方になった頃……。
とても爽やかな表情になったハンドレッツが戻ってきたのだった。
おお、一国の住人全てを刺した槍がどれも、かなり摩耗してしまっているではないか。
使い込んだなあ。
カンジスタンからは、マミー化した住人たちが並んで手を振っている。
ここは俺の領域となった!
そもそも王族が侵略しようとしてたからな。
人間同士で争う暇なんぞなくなるんだぞ。
時代は魔人VS人間。
これ。
新時代についてこれないものは俺が粛清するのだ!
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