第91話 かくして街道が生まれた
帰り道なのだが、低速でタラタラ走ってなどいられない。
俺は最後の手段を選択することにした。
それは……。
「地面の岩と土をリサイクル! そしてリメイク! 前方にひたすら広い街道を建造していくぞ!!」
「リョウ様! このハンドルとアクセルとか言うもの、ただ握って生まれてくる道なりに走ればいいのですわよね!?」
「そうですそうです。いやあ、ファルメラ様は運転のセンスがある。初めて運転するとはとても思えない」
「全然余裕なんかありませんわああああああ!!」
「ひいー」
「きゃあー」
村長と少年が悲鳴をあげている。
うんうん、時速100kmを超えると怖いよね!
俺がつるりとした凹凸の少ない街道を作り続けているとは言え、こんな速さを感じたことがある人間は彼ら二人くらいのものだろう。
あるいはあのロケットカラテを使う男くらいか。
だがひたすら走るのも彼らの健康に悪い。
俺は2時間走っては30分休憩を取る……くらいの感じで移動することに決めたのだった。
なお、最初の1時間目くらいでハイジス傭兵国があるであろう山脈を見ることができた。
旗が立っているな……。
よく手入れされたきれいな旗だ。
ハイジス傭兵国、まだ人間の国として持ちこたえているな、これは。
どうも、籠城したりして戦う術に長けた国のようだ。
それに今は、俺がブルスト神聖王国を支配し、パスティアン法国も人間の手に取り戻させたので、悪食王は簡単にはこちらに出てこれないはずだ。
魔人将も四体倒したしな。
俺達がこっちまで進軍してくるまで、ハイジスは普通に持つだろう。
こうして車をガーッと走らせて、カンジスタン王国まで到着した。
ここで一泊するものとする!
今回は、カンジスタン王国の王族も出てきた。
「悪食王の正体が分かったぞ。アルハングラーという人間が、太陽の大海から引き上げた魔王マロングラーセの一部を使って強大な魔人となったものだ。つまり真に脅威なのは悪食王ではなく、その力を再び現し始めているマロングラーセということになる」
「ひぃ~」
王族が震え上がった。
さっすが王族、マロングラーセの伝説にも詳しかったらしい。
なお、将軍は俺達が走ってきた方を見て目を丸くしている。
「道が……。完全に舗装された道ができあがっている……!! ま、まさか神の使いよ。あなたがこれをやられたのですか!?」
「おう、そうだ。俺が一旦地元に戻り、自軍を引き連れて悪食王……はどうでもいいや。マロングラーセの一部を討つからな。進軍しやすいようにしておいた。ちなみにだ。俺の軍隊は補給を必要としない。戦争にありがちな徴発はやらないから安心してくれていいぞ」
「や、やはり神の使い……!! 陛下! このお方こそ我が国をお守りくださる神の使いなのです!!」
ということで、また村長と少年のぶんの食料をもらった。
よしよし。
「そ、そうか……。平和になれば我が国もこの道を使い、七王国へと手を伸ばすことが……」
おっ、今から滅びた七王国を侵略する計画を立てている!
ハングリーでいいぞ!
カンジスタンはこの将軍が俺を神の使いだと思っていて、ひたすらペコペコしてくれているから無事でいられるのだ。
この国の救い主は将軍だからな……!
こうして俺達は翌朝から、再び旅に出た。
二日ほど行くと、湖に到着だ。
村長と少年は、一旦ここでお別れ。
ずっと車に揺られていたので、フラフラになっていた。
だが、村長は疲れ切りながらも目をギラギラ輝かせ、
「すっ、素晴らしい旅でした!! 私の人生がひっくり返る、何もかも価値観が入れ替わってしまうような、そんな旅でした! 今度は是非……私の寿命があるうちに、是非にもリョウさんの国を拝見させていただきたい!!」
「おう、楽しみにしてるぞ。色々片付いたら迎えに来るからね。少年もな」
「はい!」
こうして人間たちとお別れ!
なお、ハンドレッツはこの周囲を見てポカーンとしている。
「なんて大きな湖なんだ」「内海じゃないのか?」「僕らの知らない世界が広がっているんだなあ……」
ハハハ、純粋な奴らめ。
これからお前たちを、リョウ&フレンズ軍が大歓迎してくれるからな!
こうしてまた、ガンガン道を作りながら時速100km超で突っ走る。
人間を下ろした今、24時間走り続けられるから……。
一日で大体2000kmは踏破できるな。
お陰で、三日でサンドパレスに到着した。
最後の方、ファルメラはすっかり運転がうまくなっていたもんな。
ブルスト神聖王国から、およそ十日間。
時間にして94時間ほど運転したんだから、そりゃあ上達するというものだ。
「もうわたくし、手足のようにこの車を扱えますわ」
「いかん、ファルメラ様の目が据わっている」
「リョウさん! 見て見て! ちょっと葉っぱが出てきてる!」
アニタが率先して行った、砂漠緑化計画がきちんと効果を発揮しているようだ。
これはきっと、ジェプティスによる古代の技術も協力しているのだろう。
ハンドレッツはサンドパレスを包む、巨大な城壁を見て呆然。
城壁の向こうに見えるタワーを見て騒然。
さらに形が出来上がりつつある邪悪粒子砲を見てどよめいた。
「うーん純朴な男たちだ。これはかわいい」
俺は大満足である。
するとだ。
城壁の上からマミーがにゅっと顔を出し、「あっ、魔王様!! おーい! 魔王様のご帰還だ! リョウ様が戻られたぞー!!」「なんだって、リョウ様が!」「戻られた!?」「扉を開けろ開けろ!」「我らが王をお迎えするぞ!」
巨大な門がゴゴゴゴゴ……と音を立てて開いていく。
「ふわあああああ」「す、すごいところに来てしまった……」「我らの主はとんでもないお方だった」「ばっか数々の戦いを見てりゃ分かるだろ」「やっぱすげえや主様!」
わあわあはしゃぐハンドレッツ。
今まで感情を殺し、俺の親衛隊として振る舞っていたが……元の若者っぽさを取り戻したな。
「ということでだ! ようこそサンドパレスへ! 総攻撃する前に、存分にこの世界最大の魔人の都を楽しんでいってくれ!」
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