第85話 帝国再生! ハンドレッツの乗り物も作る!
そう言えば。
向こうの国で同様、こっちでもバルログがやられてるんだろうなあ。
倒した大蜘蛛の腹からも、バルログっぽい力を感じるなー。
何体か食われちまってたな?
「よし、リサイクル! 素材になる蜘蛛がなんぼでもいるから楽ちんだな!」
バルログが全部で四体復活した。
彼らは俺にペコペコ頭を下げた後、指示に従ってサンドパレスへと帰っていったのだった。
「うーむ、完全な死体どころか、ほとんど跡形もなくなっているのに完全再生してしまうとは……。まさしく神の御業ですな」
村長が感心している。
「そう。俺は力を組み合わせると、ほぼ全能に近い。なのだが、こんな俺を脅かす存在もいてな」
「なんと!!」
勇者の話は今度語って聞かせてやろう。
今は帝国の再生をする時だ。
全長5kmの槍となって大蜘蛛を断ち割った帝国は、海に突き刺さっている。
これを解体し、リサイクルだ!
帝国を作り直すぞー!!
「リョウ様が手掛けた中で、最大の仕事になりそうですわね……」
「ああ。なんか神話級の作業をしようとしている気がするが、きっと気のせいだろう」
少年が俺の作業を、ワクワクしながら見守っている。
ハハハ、あまり前に出ると危ないからな。
アニタの近くで見てるんだぞ。
「こっちにおいでー」
アニタが少年を招き、彼の肩に手を回してがっちりホールドした。
おっ、少年が照れている。
アニタめ、初恋ハンターだな。
さて、俺は大蜘蛛を解体し、槍も解体し、ぐるぐると混ぜながらイメージする。
帝国の都市……。
ファンタジーっぽい帝国の都市……。
こんな感じかなあ……?
大地が裂け、運河が生まれる。
大蜘蛛の死体が真っ白な石材となって大地を埋め尽くしていき、そこを帝国の残骸が再生しながら彩る。
絢爛豪華な都が生まれていく……!
「おお……おおおおお! これこそ、まさに再生の神話……!! 私は今、伝説が生まれる様を目の当たりにしている……!」
村長、大感動。
なお、この作ってる都市は俺の曖昧なイメージに沿って作り出されているので、元の帝国のそれとは全く違うことにご注意いただきたい。
完成しつつあるのは……なんていうか、うろ覚えのトルコ。
ベネツィアとかサマルカンドが混じってると思う。
どれもこれも風光明媚な都なので、そりゃあ美しい仕上がりになる。
俺の能力の便利なところは、俺が意識できない曖昧な部分は、素材になる物が持つ記憶を利用し、それっぽいディテールにしてくれることなのだ。
以前のアダマンタイトとかは、そもそも記憶を持っていなかったので適当な造形になった。
今回は、あちこちに蜘蛛の意匠がある美しい都が出来上がりつつあるぞ。
流石の俺も時間がかかった。
都市を再生させるだけで、丸一日掛かった。
村長と少年は飯を食い、夜になったので寝てしまった。
色々あって疲れたのだろう。
ソーラーカーの中は、座席を倒せばベッドになるからな。
ゆっくり眠ってほしい。
「都市が再生しましたわね。思っていたよりも遥かに美しい都市で、驚きましたわ……。これに比べたら、わたくしの故郷なんかゴチャゴチャしてて物置みたい……」
「あれはファルメラ様の血族の方々が代々積み上げてきた歴史そのものでしょ? これは、俺が今なんとなく再生させた、それっぽい都市。がらんどうの都市ですよ」
しゅんとなるファルメラをちょっと慰めつつ……。
「主様、次は何をなさるのですか?」
ハンドレッツが聞いてきた。
こいつらなあ。
再生してから、ソーラカーに頑張って走って追走してて、その後はターカス帝国戦を文句も言わずやってくれたからな。
いじらしい奴らめ。
「お前たちの乗り物を作ってやろうと思う」
「えっ、我々の乗り物を!?」
「五十体作るから、二人で一体に乗ってくれ。蜘蛛型のビークルになるぞ。それっ!」
蜘蛛どもの死体をリサイクルする!
その上で、都市を作る時に余った資材を用いて強化改造。
たちまちのうちに、蜘蛛のように八本足で走るジープみたいなのが五十台完成した。
「おおお!! これは……!」「ありがとうございます主様!」「大切に乗ります!」
喜んでくれて嬉しいよ!
「さらにオマケだ。甦れ、帝国の住民! 素材は蜘蛛の体を使う! まあ、あんま数は用意できないから、三千人くらいで勘弁してくれな」
さっきまで無人だった帝都に、人気が戻り始める。
彼らが産めよ増やせよ地に満ちよしてくれれば、帝国も賑わいを取り戻すことだろう。
再生させた連中は、言うなれば蜘蛛人間だ。
一見すると普通の人間なのだが、腕から糸を飛ばして移動できる。
スパイダーなマンみたいな事ができるわけね。
だが、自認は人間。
常識も、俺が考える良識的な人間のそれを与えておいた。
話し合いには応じるが、裏切られたら敵を殲滅する程度の人々だぞ。
「帝国に人が戻ってきた!」
ハンドレッツが驚いている。
蜘蛛人間たちは、目覚めてからしばらくボーッとした後、めいめい住みやすそうな場所へと移動していった。
その中でも一際大柄な個体は、俺が作った宮殿へ。
あいつが皇帝の役を演じることになる。
これでターカス帝国は完全復活……ということにしておこう!
「俺達が悪食王をぶっ倒すまでの間に、まあまあな規模にはなっていると思う。蜘蛛人間は成長が速いので、十年くらいで大人になる。彼らが頑張って増えてくれれば、勇者パーティが訪れる頃にはもっと街っぽく賑わっているのではないだろうか」
「リョウ様は何を考えているのかさっぱり分かりませんわねえ……」
呆れるファルメラなのだった。
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