第84話 ターカス帝国跡大決戦
ソーラーカーはどんどん進み、ターカス帝国の跡地に到着。
ハンドレッツは乗り物が無いので、自力で走ってもらった。
彼らの速度に合わせたから、ゆっくり移動になったぞ。
ターカス帝国付近は風光明媚。
風が作り出した不思議な形の岩石砂漠とか、内海に面した真っ白な街とか、古代文明のビルが風化したのであろう遺跡群とかを見たのだった。
観光しまくりだな。
ここ、人間が住めないのは大きな損失だ。
絶対に人間が生活できるように整備しなおして、勇者パーティが来た時に立ち寄る価値がある感じにしておかないと駄目。
だが、やって来た帝都は瓦礫の山。
それどころか、あちこちに蜘蛛のような姿の魔人が闊歩し、侵入者がいないか見張っている。
そして都市の八方向に黒い柱が立っており、これはなんとターカス帝国を滅ぼしたであろう魔人将、でっかい蜘蛛の足なのだ。
「ということで、あれを滅ぼしてターカス帝国をリサイクルしようと思う」
「あっさり言いますわね」
「もうファルメラ、呆れるだけで驚かなくなっちゃった!」
アニタがびっくりしてるな。
ファルメラは完全に俺のノリに慣れてしまった。
なお、ハンドレッツはなんか「うおおおおおおおお!! やりましょう!!」とかテンションが高い。
で、村長はずっと唖然としっぱなしだ。
「かの強大と謳われたターカス帝国すら滅ぼされるとは……。悪食王とはどれほどの存在なのだろうか……! だが、これを、この絶望を覆すと言うのですがリョウさん!」
「うむ……。俺、人間もリサイクルできるからね」
だが、ターカス帝国を人間(俺の手勢)の手に入れるためには、この魔人たちを排除せねばならないのだ。
どういう種類の魔人かは知らないが、とりあえずハンドレッツを強化するぞ。
「ハンドレッツあつまれー!」
わーっと集まるハンドレッツ。
俺は彼らの武器を一個一個パワーアップさせてやった。
フルプレートすら断ち割る、チェンソータイプのポールアックスとか、圧縮空気で撃ち出される杭がついたハンマーとかだぞ。
発動には本人の魔力を使うから、使いすぎたら敵に噛みついてエナジーを吸えと教えておいた。
そして派手にこう言う事をやっていたので、帝国を巡回していた蜘蛛たちが気づいてこちらに駆け寄ってくる。
「よし、では行けハンドレッツ! お前たちの実力を見せてやるのだ! 一体に対して三人掛かりで対抗し、一人は相手の正面から陽動して二人で蜘蛛の足をぶった切れ!」
ハンドレッツは大変優秀で、俺が命令した通り動く。
元々は凡庸だったり、人並み以下だった連中だ。
だが、そこに俺が魔人としての身体能力を与えればどうなるのか。
人間、有能無能なんて環境とテンションで決まるもんだからな!
俺の指示に絶対服従する彼らは、敵の魔人を袋叩きだ。
誰も単独先行しない。
手柄とかそういうの無いからな!
全部俺のためだからな!
このノリで一息に三百匹ばかり蜘蛛を血祭りに上げていたら、完全に向こうも気付いたようだ。
大群でやってくる。
巨大な帝国を滅ぼしたのは、千体近い蜘蛛型魔人だったのだなあ。
「リョウ様! どうしましょう!」
ハンドレッツの一人が質問してきた。
問題が発生したことを認識できていて偉い。
「よし、では俺とアニタとファルメラで食い止めるので、お前らは蜘蛛を吸血してパワーアップしてなさい!」
「はい!」
いいお返事が返ってきた。
そして、バラバラになった蜘蛛をみんなでガツガツ食べている。
おお、彼らの位階が上がるのが分かるぞ。
そろそろ一対一でも蜘蛛と戦えるだろ。
なお、戦場を風のように走るファルメラが、蜘蛛を数十体一瞬で寸刻みにぶった切っていく。
アニタは蜘蛛の糸が絡まろうが、何体かに組み付かれようが、全く構わずに次々に蜘蛛を引きちぎっていく。
俺はと言うと……。
「おい魔人将。ずーっと高みの見物をしているようだが、俺がガツーンと粉砕するからな」
帝都の空を覆う巨大な蜘蛛に話しかけた。
そうするとこいつが、体を揺らして笑うのだ。
余裕だなあ。
そして蜘蛛の腹から、新たな蜘蛛が生み出される。
なるほどなるほど、いくら蜘蛛の子を殺しても、こうやって次々に生み出されるわけだ。
勝ち誇って体を揺らす蜘蛛。
確かに、この大きさ。
全長1kmくらいあるから、普通ならどう攻略したらいいか分からない。
ゲームで言えば体内に入り込み、そこから核を破壊するとかそういうこいつ自体がステージになってるような、そういう敵だ。
だが、俺はまあ相手のスケールとか関係ないからね。
「よし、立ち上がれ帝都よ! リサイクル……リメイク! 名付けて帝都ロボ!!」
『グゴゴーン!!』
『!?』
大蜘蛛がギョッとした。
自分がまたいでいた帝都が、丸ごと超巨大ロボに再構成されて立ち上がりつつあるのだ。
そりゃあびっくりするよな。
村長が頭を抱えている。
ハハハ、これが魔王の力だぞ。
「よし、パンチだ、帝都ロボ!」
『グゴーン!!』
『ウグワーッ!』
巨大なパンチが、下から蜘蛛の腹を穿つ!
巨大蜘蛛が、腹から口からダバダバと体液を撒き散らし、海に向かってズドーンと倒れ込んでいく。
それを追いかけて、帝都ロボが飛び込んだ。
うひょー!
海が溢れて、大津波が発生したぞ!
「ハンドレッツ、お前ら軽く飛べるはずだから、空に打ち上げられた蜘蛛を狩れ! アニタ、ソーラーカー持って!」
「ほいほいーい!」
アニタが、村長と少年の乗っているソーラーカーを持ち上げて飛び上がった。
ハンドレッツも戸惑いながらジャンプすると飛行でき、飛べない蜘蛛たちは水に飲まれるか、空に打ち上げられたものはハンドレッツの餌食となった。
海では、大蜘蛛と帝都ロボがもみ合っている。
いいぞいいぞ!
やれ、帝都ロボ!
叩け、帝都ロボ!
ボカボカ、ドカドカと殴り合っているのをしばらく眺めていたのだが……。
これ、海が溢れて地形が変わってしまうな……。
「えー、俺がとどめを刺します。帝都ロボチェーンジ!!」
『グゴゴゴーッ!!』
「帝都ランサー!! シューッ!!」
槍形態に変形した帝都ロボが、大蜘蛛に突き刺さり……真っ二つに切り裂く。
『ウグワーッ!!』
大蜘蛛は断末魔をあげると、そのまま石化していった。
遺跡みたいになってしまったなー。
振り返ると、ターカス帝国の大地は水浸し。
半島がまるごと沈んでしまったかのようだ……。
これ、俺が今からリサイクルするの?
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