第83話 順に巡ろう、七王国(ほぼ滅亡済み)
復活させた戦士たちが、何やら俺の前に跪いている。
「どうしたの。お前らの国はあっちだろ」
「我々は肉の盾として選ばれ、鎧を着せられただけで外に追い出された者です」「我らに戻る場所などありません」「無念のうちに犬死した我々を助けてくださった、貴方様こそが我々の主です」
なんかドラマがありそう?
「そうかー。じゃあ俺と一緒に来る? 悪食王をぶっ倒すんだけど」
「お供いたします!」
ウオーっと盛り上がる復活した戦士たち。
思わぬところで俺の私兵ができてしまったぞ……!!
なお、眼の前の国の門が開き、現れた将軍っぽいのが大変戸惑っているのだった。
「カンジスタン王国を救って下さり、ありがとうございました」
「いやいや、通りかかったついでだ。多分、この国よりも西にある国々は全て滅ぼされたな?」
「仰るとおりです。我らはここより東に寄る辺もなく、死兵を絞り出して時間稼ぎをするのがやっとで……」
チラチラと俺の私兵になった連中を見てる。
あげないぞ。
こいつら、もう俺に従うって約束したもん。
百人の俺専用の兵隊だ。
ハンドレッツと名付けよう。
俺が内心で彼らに名付けた瞬間、組織図にハンドレッツが出現。
もりもりとランクを上げてきた。
なんだなんだ。
「リョウ様の親衛隊ということになるようですわね。あら、わたくしにもハンドレッツの指揮権がございますわ」
「ははあ、俺とファルメラ様の直轄部隊ということになりますねこれは。じゃあ仲良く指揮しましょう」
「仕方ありませんわねえ……」
「あの、あの」
カンジスタン王国の将軍が慌てている。
大丈夫大丈夫。
無視してはいないから。
「この先がどうなってるか教えてくれ。俺達は西方へ向かい、悪食王を倒すからな」
「なんと! やはり神の使い……! 頼りになります……!! ここより西には、カンジスタンを含む七王国が存在していました。ですがその全ては滅ぼされております。我が国に、各国の王族の生き残りが逃げ込んでおりまして……。食料的にもギリギリで」
それで口減らしで、死兵を繰り出したわけか。
俺の親衛隊になったハンドレッツ、どれもがこの国で身寄りがなかった男たちなのだ。
守るものもない国に、捨て石にされて犬死させられたんだから、まあ義理立てする気もなくなるわな。
「じゃあ、彼らはもらっていい?」
「いや、その、貴重な戦力が……」
「彼らは俺についてくるって言ってるよ。なあ?」
「はっ! 我らはリョウ様直轄、ハンドレッツ!」
なんか声を合わせてそう宣言するのだ。
うん、これはもう人間の世界には戻らないね。
「七王国か。そっちに向かう上で色々教えてもらっていいか? ほうほう、なるほどなるほど。ほほーん。西に行くほど、気候がどんどん変わってくると。北西に向かっていく形になり、そこから南西に下がって七王国の最後の土地に? 悪食王は七王国のどこかにいると」
良く分かった。
イメージ的には、トルコからヨーロッパへ向かうみたいな地形になっている。
ここから西にターカス帝国(滅亡済み)があり、内海を挟んでパスティアン法国(滅亡済み)、内陸のブルスト神聖王国(滅亡済み)と、ハイジス傭兵国(他王国との関係を断絶しているために存亡不明)。
北西のギロチノス王国と、そこから南下するダイコウカ太陽帝国。
これらにカンジスタンを足して七王国ってわけね?
そういう話を聞いていたら、ハンドレッツの一人がスススっと寄ってきた。
「嘘です」
「嘘なの!?」
「カンジスタンのような小国が七王国に加われるはずがありません。この他に、内海の中にある海賊王の拠点、オリュンポッサ海賊王国を入れて七王国と言います。カンジスタンは七王国ではありません」
それだけ告げて、スーッとハンドレッツに戻っていった。
俺、じっと将軍を見る。
あっ、赤い顔をして恥ずかしそうだ!
「君、見栄を張ったねえ……?」
「申し訳ありません……。もうなくなった国相手ならなんぼ盛ってもいいと思いまして……」
正直なので許す。
というかこの国の人間は、将軍に全部任せて出てこないわけね。
まあいい。
ちゃんとお話をしに出てきたから、そこは評価しよう。
俺は国を救った礼として、連れてきている村長たちの食事を要求した。
ここから先は乾燥した気候になるため、食料が腐ることもあまりない。
安心して持ち運びできるわけだ。
村長と少年の二人しか食事を必要としないので、量もそれほど必要はない。
水はその場その場で浄化すればいいしな。
「よーし、じゃあここから先は綺麗に平らげてきてやるから、また産めよ増やせよで地に満ちてくれよな」
彼らに告げ、旅を再開する俺達なのだった。
カンジスタンの人々が、呆然としながら俺達を見送っている。
「リョウ様のことですから、ああいう身勝手さのある方々は許さないと思いましたのに」
「人間の国があちこちに点在してたほうが都合がいいんだよ。RPGってそういうものだろ? むしろ、この先の人間が絶滅しているのはまずい。なんとか人間の行動領域を取り戻し、勇者パーティが旅をする喜びを感じられるようにしないと具合が悪い」
「また不思議なことを仰っていますわね……」
俺は一応、魔王という自覚が出てきてから、勇者パーティを育成することも考えているんだよ。
ゼクウは放っておいても強いけど、他の連中は育成されてこちらに匹敵する戦力になるタイプだ。
応援したい、勇者パーティの旅。
俺は趣味でこの世界を旅してるし、リョウ&フレンズ軍を従えているのも趣味だからな。
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