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まだ使える!~可哀想は可愛いをモットーに、転生魔王はダークな異世界をリサイクル能力で蹂躙する~  作者: あけちともあき
対決、西方の悪食王

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第81話 ゴーウエスト!

 西方へ向かうに連れて、気候が変わってきた気がする。

 ちょっと涼しくなってきた?


 ビューンと突っ走る車は、どんどん西へ西へ。

 道の凸凹はマシになってきたな。


 途中、広大な平野が見えてきた。

 おや?

 塀で囲まれた国みたいなのがあり、そこから黒煙が上がっている。


 国を囲むのは、青い色の集団だ。

 軍隊が国を攻め落としているところかな?


「ふむ、ちょっと見て参りましょうか?」


 ファルメラが助手席の扉を開いた。


「気をつけて下さいよ。危なそうだったらすぐ戻ってきて下さいねー」


「もちろんですわ。わたくし、身の程知らずではありませんもの。では」


 地面に降りたと思ったら、ファルメラの姿が消えた。

 姿を消す魔法を使ったとかではなく、走ったのだ。


 彼女の足は、エコカーよりも遥かに速い。

 瞬間的には時速500kmくらいで走れると思う。


 無論、この速度についてこれる存在はこの世界にはいない。

 攻撃を回し受けできるゼクウくらいのものだろう。

 あの勇者本物の化け物だな。


 ファルメラが超高速で走っていってから、俺達は通常の速さでもりもりと国に向かっていく。

 段々軍隊が見えてきたなー。

 甲冑を纏った連中に見えるけど、よく見たら下半身が馬だな。

 ケンタウロス?


 魔人の軍勢じゃないの。


「これは、魔人VS人間の国なのかなー」


「なんですと! 悪食王の軍勢がここまで迫ってきていたとは!」


 村長が驚いている。


「何かご存知ですか村長! あなた凄く周辺知識に詳しいし、知的に解説してくれるから本当に助かるんだけど」


「はい。悪食王は西方で他の魔人たちと覇を争っていたと聞いたことがあります。だからこそ、遠大の湖まで手を伸ばしては来なかったのです」


「ほうほう。そっちでいっぱいいっぱいだったと」


「ええ。だからこそ、こちらに来る余裕は無いはずでした。内海の海賊王との小競り合いもあったはずです」


「その海賊王とかにも詳しそうだな村長……! でも、それは今度聞くね」


「悪食王の軍勢がここまで来たということは、西方の魔人を平定したということでしょう。大きな勢力となり、こちらまで攻めてくるつもりだと思われます! あの旗を見て下さい!」


「旗……? おお、大きな歯が獣を噛み砕いている意匠のやつだな。あれが悪食王なのか。なるほどなるほど……。おや? 旗の上に何かくっついているような。大きな頭のような……。あれは……バルログの頭? うお」


「あっ、リョウさんが怒ったよ!」


 アニタは分かったか!

 顔はちょっと笑ってる感じだけど、こいつら、うちの仲間をぶっ殺すだけでなく晒し者にしてるわけだからな。


 うーん、滅ぼす。


 そこにファルメラが戻ってきた。


「偵察してきましたわ」


 走っているエコカーの助手席に、当たり前みたいに乗り込んできた。


「どうだった?」


「あ、リョウ様、どんな返答であれ彼らを殲滅するおつもりですわね?」


「分かっちゃう?」


「わたくしに対して砕けた口調ですもの。取り繕っている気がなくなったのでしょう? では説明しますわね。このまま彼らを見過ごせば、半日で国は落ちますわね。かの国は西方で唯一残った人間の国ですわ。かの軍隊はここを落とし、次の土地を目指して進軍するつもりのようですわね」


「なるほどなるほど。じゃあ……やっちゃおう!」


 俺はエコカーを走らせながら、力を使った。


「リメイク! 大地よ立ち上がれ! エコカー武装! モンスターエコカー!」


 巨大な車体が出現し、直径5mくらいある車輪が四つ生まれる。

 そして土煙を上げながらドドドドドッと突っ走る、光纏うヒロピン号。


 あまりに存在感がデカくなったので、流石に軍隊もこっちに気付いた。

 連中が身構え、何か号令が発されたのか、大量の槍が降り注いできた。

 俺は運転しながら、窓から片手を出す。


「手加減抜きで行くぞ。全部リサイクル。リメイク。ドリルランスの雨を返してやる」


 大量の槍が変異した。

 それは螺旋を描きながら空中でターン。

 全てが俺の支配下になり、軍隊目掛けて降り注ぐ。


『な、なんだとーっ!?』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』


 断末魔が響く軍隊。

 百を超える死者が出たな。

 そこに、エコカーは突っ込んだ。


「リサイクル! お前らの死体を使って光纏うヒロピン号を強化だ! 車輪の横に、巨大なゾンビアームを生成して……薙ぎ払えー!」


 直径3mの腕が生成され、それが軍隊を薙ぎ払っていく。

 もう戦場は阿鼻叫喚だ。

 人間の国を余裕で落とせると掛かっていたのが、突然後ろから俺が来たんだからな。


 そして軍隊の一割ほどをほんの十秒で粉砕し、その全てをこちらのリソースに変えて今度は敵軍の二割を削り取る。


『何者か!! はあーっ!!』


 一回り巨大な甲冑ケンタウロスみたいなのが駆け寄ってきた。

 全身の鎧が青く輝いている。

 魔法の装甲だろう。


「アニタ、やっちゃって」


「はーい!」


 扉から飛び出すアニタ。

 どこからか、巨大な斧が出現した。


「アニタ、がんばって!」


「うん、がんばるぞー!」


 少年の声援を受けて、翼を広げて飛び立つアニタ。

 巨大なケンタウロスは跳躍し、手にした槍を運転席に叩きつけようとする。

 だが、その眼の前にアニタが来た。


 槍と斧がぶつかり合う。

 小柄なアニタは、ケンタウロスの爪先ほどの大きさしか無い。

 だが、彼女のパワーは巨大な相手と、正しく拮抗した。


 双方が跳ね飛ばされる。


『なんだとぉぉぉっぉ!?』


 ソーラーカーの前に着地するケンタウロス。

 その頃には、瞬時に空中で態勢を立て直して加速したアニタが、眼の前に迫っている。


『なっ!?』


 慌てて槍を立てて防御しようとするケンタウロスを、振りかぶられた斧が襲った。

 恐らく魔法の業物であろう槍が、折れた。

 鎧が張った魔法の障壁は、斧で砕かれた。


「えいやーっ!!」


 頭頂から股下まで。

 魔法の鎧ごと両断される巨大ケンタウロス。

 着地したアニタを、ゾンビアームがヒョイッと拾って座席に放り込んだ。


「お疲れー」


「あんま強くなかった!」


 ケロッとしているアニタを見て、村長が目を丸くしているのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
リョウはお世辞でカグヅチをNo2みたいに言ってたけど、 実際は最速のファルメラか、技術のオトハか広域殲滅のシンカイっぽいなぁw アニタは人材集めで超有能だしw
斧でやられた巨大ケンタウロス「オー!ノー!」
うーんこれは名も無き少年の性癖がいい意味で歪みそうだぞー!?
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