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まだ使える!~可哀想は可愛いをモットーに、転生魔王はダークな異世界をリサイクル能力で蹂躙する~  作者: あけちともあき
対決、西方の悪食王

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第79話 話が通じる人間って素晴らしい

 人間の集落の代表が出てきた。

 白髪で痩せたメガネの男だ。


「こんにちは、村長さん!」


「やあ、アニタさん。また戻ってきたんだね? そしてこちらがあなたたちのリーダーというわけだ」


「どうもどうも。リョウです」


 俺は村長に握手を求めた。

 彼も応じる。


「ちなみに、俺達が魔人であることはご存知で?」


「存じ上げています。アニタさんが最初に話してくれましたからね。偏見で対話を拒絶せず、言葉を交わせる人間に対しては友好的に接してくれる知的な方だと聞き及んでいます」


「正しい」


 アニタの俺への評価、正確だな~!

 そして、俺が魔人、しかも魔王みたいなもんだと知ってても握手しようとしてくれた村長に敬意を抱くぞ。


 大体、こういう意識高い勘違い系みたいな人物は無惨に殺され、そこから惨劇の幕が開くとかがよくある展開だが……。


 俺は別に、虐殺がしたいわけではない。

 始まってしまったら仕方ないが、避けられるなら避けたいのだ。

 ウィンウィンの方が気分がいいからね。


 なので、多分俺はこの世界で、誰よりも話が通じる男であると自負している。

 全ての話し合いに、俺は応じる用意がある!


「では奥へどうぞ。我らは、前文明の知識と技術を継承しております。五百年前までは、旧人類の生き残りもいたのですが」


「なにっ、人類はその時まで滅びてなかったのか!」


「はい。ですが彼らは我らと交配することができず、血が濃くなり、やがて最後の一人となって滅びました」


「悲しいねー」


 なお、新人類である今の人間たちだが、俺の知る一般的な人間と何が違うかと言うと……。

 因子との親和性だと思う。


 つまり、生まれながらにしてちょっとした訓練で魔法が使えるのだ。

 そういう遺伝子を持って生まれてきた人間ということになる。


 で、ただの人間はどう訓練しても魔法は絶対に使えない。

 新人類は因子との親和性が高いが故に、俺の力による侵食を容易に喰らってしまう。

 生きながらゾンビに変わるし、死体は一瞬で俺にリサイクルされる。


 これが通用しないのは、この世界ではゼクウくらいのものだろう。

 あいつ、旧人類だろうし。

 まさに俺の天敵じゃあないか。


「お茶でもどうぞ。我らの村をヒュドラの危機から救ってくれた恩人です。ささやかながら、歓迎させていただければ」


「ありがとうございます。いや……話が通じるというのは本当に素晴らしい。あなた方と出会えて良かった。砂漠緑化の技術ですが、大いに使わせてもらっています」


「それは何よりです! 我々はこの湖を離れたことがありませんが、機会があればぜひ、拝見したいものです。見渡す限りの砂漠と、そこが緑に覆われていく様を……」


「おや、ご希望とあらばいつでもご招待しますよ!」


「リョウ様が村長様と意気投合してらっしゃいますわね。ポジティブな話をする方との相性は本当にいいんですのよねえ……。つくづく、この世界の一般的な人間には合わないお方ですわ」


「リョウさんと村長、仲良しになれるって思ったんだよね! だって村長って色々たくさん理屈を喋って分かんないことばっかり言ってるもん。リョウさんも不思議なことばかり言ってるでしょ?」


「確かにそうですわねえ……」


 俺は茶を頂いた後、村長が保管しているという旧文明の資料を色々見せてもらった。

 ほうほう、なんか良く分からない、ガラス板みたいなのの中に資料が刻み込まれているのね。

 で、板は経年劣化が少ないと。


 光を当てると……。

 おおーっ、見える見える!

 資料が見えるぞ!


 指で板をなぞるとページをめくれる。

 なるほどなあ。

 これは未知の技術だ。

 そして、電力によらず、劣化する媒体を使わずに情報を保管しておけるわけだ。


 見た所、資料一つにつき、300ページの書籍に相当する情報量だろうか。

 なかなかみっちりと書き込まれている。

 まあ、電子媒体の容量から考えると全然少ないのだろうが。


「ちょっとしばらく滞在して読んでも?」


「構いません。ただ……村の食料もあまり余裕がないもので」


「ああ、その点は大丈夫。俺達は食事をとりませんので。そういう魔人です」


 資料室を使わせてもらうだけでいい。

 資料は光が当たるところに持ち出し、ひたすら読む。


 夜になると光が足りなくなるので、そこは外に出て湖を眺めたり、ほとりを散歩しながら暮らすのだ。

 ここで気付いたのだが、湖畔の集落は一つだけではなかった。

 この遠大の湖を囲んで、十を超える数の集落が点在している。


 人々は集落と集落の間を渡り歩き、人がちょこちょこ入れ替わっているのだと言う。

 村長が言う、湖から離れたことがないというのは、このコロニー的な集まりから出たことがない、程度の意味だったのだ。


「なるほどなあ。これなら、血が濃くならないで済むだろう。古い時代の人々の知恵だ」


 俺は大層感心した。

 なお、ヒュドラはオーバーロードが外から連れてきた怪物で、ほんに二百年とかそこら前に現れたらしい。

 近隣の集落に悪さをし、生贄を要求するので、人間たちは大変困っていたのだ。


 そこに、我がリョウ&フレンズ軍が侵攻してきた。

 抵抗する水魔を幽霊船と吸血鬼村と戦象軍団が一瞬で蹴散らし、向こうの強いのもうちの幹部が粉砕し、最後はシンカイがヒュドラを八つ裂きにして力を完全に奪った。


 そりゃあ、俺達が救いの神にもなろうというものだ。

 よし、帰る時に、村長をサンドパレスに招待してやろう。

 人間が少人数で食べる分くらいはなんとかなるだろ。


 この脆弱なゲストを盛大に迎えてやろうではないか。

 死なずに観光させて送り返す。

 こりゃ大仕事になるぞ!

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ヒュドラはグレートバルログに負けたオーバーロードの配下だった? その時点でなぁw
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