第74話 出征計画を立てよう
「では、また幹部会議です。みんな全員生き残ってて偉い」
俺の言葉に、リョウ&フレンズ軍の幹部全員がわあわあと盛り上がった。
うんうん、大変元気でよろしい。
戦力的にはこの世界でも超絶強いのがうちの軍団っぽいので、ゼクウみたいなのでも出てこない限りはやられないのだ。
「そうそう。ついにジェプティスが予言した勇者が出現した。本当にマジでヤバいやつなので、接敵したら退却するようにな。その際、プライドとかそれまでの成果をかなぐり捨ててでも命を最優先にするように」
「むう。主よ。それは我ら強きバルログであっても戦うことはならぬのですか?」
カグツチだ。
彼はグレートバルログなので、大変プライドが高い。
そもそも、この世界を侵略しに来たオーバーロードなる存在を単騎で撃破したほどの使い手なので、この扱いは不満なのだろう。
「そうだなあ。うちの幹部で最強であるカグツチなら、ある程度はやれるんじゃないか。無理だと思うまで戦っていい。無理だと思ったら撤退するようにな」
「ははーっ! 勇者とやらは、この我が叩き潰して見せましょうぞ!」
カグツチ死にそうだなー、と思う俺なのだった。
強いは強いのだろうが、バルログは弱点も多いし、強すぎるために世界観によってナーフされ、いいとこなしで退場する連中のような気がする。
ジェプティスが何か言おうとしたが、俺がシーッとしたので口をもぐもぐさせるだけに留まった。
「部下のやる気を削がないのも大事だからね」
『なるほど……人身掌握術』
そゆこと。
「次に、北方の湖地帯はアニタとシンカイとパパールによって征服された。偉い! みんなで褒め称えよう!」
俺が立ち上がって拍手すると、みんながワーッと拍手をしてアニタとシンカイとパパールを称えた。
アニタは嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ね、パパールがそれを鼻でひょいっと掴んで頭の上に乗せ、ぱおーんと鳴いた。
シンカイはスーッと水底に沈んだ。
シャイなやつめ、照れたな。
「ということで、彼らが征服してくれた土地へ挨拶に行こうと思う」
「行こう行こうー!」
アニタが元気に手を振り回した。
幽霊船、大いなるヒロピン号は湖に置いてきたらしい。
どうやら、湖を統率する役割を負うことになったようだ。
「じゃあ、湖を見に行くのは俺とアニタと……」
「またリョウ様が自ら出ますの!? たまにはサンドパレスでのんびりしていてもいいではありませんか」
「自分の目で何でも見たくなる性分なんだよな……。いや、我ながら魔王としてフットワークが異常に軽いのは分かっちゃいるんだが。じゃあ、これだ。西方に魔王を名乗る勢力が現れたという情報が届いているが」
『そうですそうです』『生意気な野郎ですよ』『魔王はただ一人、リョウ様だけ!』
バルログ三人衆が、大いにいきり立っている。
やる気じゃないか。
「なるほどなるほど。状況はよく分からないが、ではお前ら三人に偵察に行ってもらおうかな」
『がってんだ』『任せてくれ!』『俺達の凄いところを見せつけてやるぞー!』
うおおおお、と盛り上がる三人衆なのだった。
湖まではルートが同じなので同行し、途中から分かれる。
これで行こう。
「俺は今回、ファルメラ様に従って湖に挨拶したら、その足でサンドパレスに戻るよ。三人衆よ、偵察の報告を待ってるぞ」
「任せてくださいよ!」「俺等の凄いところを見せてやりますよ!」「別にそいつを倒しちまっても構わないんでしょう?」
「おいフラグを立てるのをやめろ」
バルログはどうしてすぐ死のうとするんだ!?
「絶対に戦うなよ? 絶対に戦うんじゃないぞ? 本当に、絶対に戦ったらダメだからな?」
よく言い聞かせておいた。
三人衆がなんかニヤニヤしていたのが気になるが、ここまで言えば無茶はしないだろう……。
「甘いですわよリョウ様。あまりにも部下を信じすぎていますわ」
「そうかなあ」
『リョウさん。そろそろ粒子砲建設の視察の時間になりますよ』
「あ、もうそんな時間かあ!」
会議を終わらせ、俺は外に出た。
まったりと作業は進んでおり、土台が組み上がっていくところだった。
いやあ、いつになったらできることやら。
こりゃ、数カ月掛かるな。
まあ、寺院にあった神聖粒子砲よりも倍くらいデカいから、射程だってぐんと伸びそうだ。
ファラオシティから持ってきた物資があってこそだな。
そしてこっちの方が、因子を集める効率も高い。
なぜなら、ここで暮らす魔人たちからちょっとずつ因子をいただいて発射するからだ。
連射すると魔人が干上がって死ぬので、一発撃ったら半日は撃てないシステムは踏襲しておくものとする。
マミーたちが台車を使って、資材を運んでいく。
ピラミッド建設のような光景だが、台車って辺りが進化を感じるな。
「あ、こりゃリョウ様!」「どうもどうも!」
「無理無く作業してるかね?」
「やってますよー!」「じわじわ出来上がってく感じで、まだ俺等全体像が見えませんが」「出来上がったら、どういう事になっちまうんですか?」
「うむ、それはな。サンドパレスを外敵の襲撃から守るための装備になるんだ。まあ、ここに攻めてくるようなやつはいないと思うんで、基本的には威圧効果を狙って設置する、巨大建造物になる」
「ははあ」「やっぱ頭がいい人の考えることは違うな」「見た目だけでもおっかねえ場所は、近づきたくないもんな」
納得したマミーたち。
俺に一礼した後、作業に戻っていった。
『このようにして、朝の部、昼の部、夕方の部、夜の部で四交代制で作っています。同じ時間帯では皆さん飽きてしまいますので、三つのグループを作り、これを四交代に入れて徐々にシフトがズレるようにしているわけです』
「一日に二回働く事があるわけね」
魔人の場合、疲れ果てて動けなくなるということはない。
問題は、反復作業に飽きてしまうということだ。
なので、仕事する時間帯が変わるようにして飽きを防ぐわけだ。
ジェプティスは考えているなあ。
そして外。
城壁外では、吸血鬼村の面々が緑化作業を進めている。
砂漠を一面の緑地にすべく、みんな燃えているのだ。
みんな、無理せず頑張るんだぞ!
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