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まだ使える!~可哀想は可愛いをモットーに、転生魔王はダークな異世界をリサイクル能力で蹂躙する~  作者: あけちともあき
聖地の山脈へ

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第62話 我々は難民だぞ!

 真夜中の難民キャンプに入り込んだ。

 どうせこいつら、あちこちから集まってきてるから互いの顔なんか覚えちゃいないだろう。


「リョウ様、堂々と入っていきますわね。恐れというものがありませんわ」


「なに、難民が騒いだらゾンビに作り変えてやればいい」


「我が師父ながら物騒過ぎる」


『穏便に行きましょう、穏便に』


「牛にまで言われてしまった」


 俺達は当たり前みたいな顔をして、難民キャンプの隅っこに陣取った。

 その辺りに落ちているゴミをリサイクル!


 テントみたいなものを作り上げるぞ。


 そうすると、深夜だというのにその辺りをうろついていた人相の悪い男がこちらに気付いた。

 ファルメラを見て、ニヤニヤ笑いながら近づいてくる。


「おうおう、新入りかぁ? ここはなぁ、新入りは俺様に女を献上する事になってんだぁ」


「なんですの? あなた。難民に上も下もないでしょう?」


「そんなこたぁねえよ。俺が一声、お前らのことを魔人の手先が入ってきやがったって言ったら、周りの奴らは揃ってお前らをぶち殺すだろうよ! みんな、魔人や戦争にやられて逃げ出してきた連中ばかりなんだ。怒りのぶつけどころを探してるんだよ。だから新入りはよ、俺の言う事を聞いてりゃ」


「アパラチャノモゲータ!」


「ウグワーッ! ウボアー」


「全く、生意気な難民だったな。だが従順なゾンビに変えたからもう安心だ」


「リョウ様、躊躇無く一息にやりましたわね?」


「そりゃやるだろう。俺達を魔人の手先なんて言ったんだぞ? 魔人の首魁だっつーの」


『神様が怒ってますな』


「ってことで、早速だが真夜中のうちに難民キャンプを探っていくぞ。みんな、正体を知られないようにしてキャンプをぶらついて、適当なところでここに戻ってきてくれ」


 仲間たちに指示を出し、俺はぶらぶらと歩き始めた。

 ヘルガーディアンが同行する。

 なぜなら、彼は牛に偽装しているからだ。


 牛なんか、難民どもの中にいたらすぐに狩られる対象になるぞ。

 そして岩と土でできた牛だから、刃も立たず、噛みついても味はせず歯は折れ、こりゃ異常だという話になる。

 よく考えたら、なんで俺はこいつを牛に偽装したんだろうな……。


「そういうことで、俺とヘルガーディアンがメインとなり、キャンプを調べ尽くす。いいな?」


『マスターだけでは頼りないですからね。私に任せて下さい』


「俺が頼りないだってー!?」


 とんでもないことを言うロボだな。

 ロボット三原則はどうしたんだロボット三原則は。

 うちの軍団で一番毒舌なんじゃないかこいつ。


 俺が戦々恐々としていると、牛は勝手にずんずん先に進んでいた。


『難民たちは寝ているようですね』


「だろうな。深夜だからな。だが、魔人に追い立てられたトラウマでこいつら、眠りが浅いぞ。ほれ、あちこちのテントから俺達に向けられる視線があるだろう」


『確認……。その数は十七あります。この程度で起きてしまうのでは、まともに眠ることもできないでしょう。判断力も曖昧になっているものと思われます。脅威ではありません』


「怖いこと言うなー」


 お前一番人間を見下してない?

 守衛ロボットだったのに?


 まあ、俺も同じ考えだけど。


「あ、炊き出しのでかい鍋がある。ここで朝、難民用の粥かなにかを作るんだな」


『栄養成分が足りていませんね。長い間難民をやっていても、長くは生きられないでしょう。寺院は何を考えているのか。気になりますね』


「これは朝になったところで難民たちにインタビューするのがいいんじゃないか? しかしヘルガーディアン、お前分析能力が高いから本当に便利だなあ」


 こんなもんだろうということで、俺達はテントに戻った。

 おお、戻ってすぐ、テントに入り込んで家探ししている難民がいるではないか。

 なんたる治安の悪さだ。

 ゾンビを置いてきて良かった。


「ウボアー」


「ウグワーッ!?」


「騒ぐな騒ぐな。ほれ、お前もゾンビもしてやろう」


 静かになったのだった。

 いきなりゾンビが二匹に増えてしまったな……。

 こいつら、いても今は大して役に立たないんだよな。


 うーむと唸っていたら、ファルメラとオトハが戻ってきた。


「色々話を聞いてきましたわ」


「私たちと言葉が通じる者も何人かいたのでな」


 彼女たちが、難民から直に集めてきた情報はこうだった。

 どうやら寺院は、難民の中から力のあるものを選別しているらしい。


 難民たちに与えている粥は聖餐であり、素質がない者にはただの穀物の粥だ。

 だが、素質がある者はこれを口をすることでパワーアップする。

 そうなった者を戦力として、寺院は迎え入れているのだ。


「なーるほど、難民キャンプはスカウト施設でもあったわけか」


 ここで俺の脳裏に電撃が走る──!!


「俺達がその聖餐とやらを食って、能力を発現したように見せてやればいいのではないか!!」


「あっ! 流石は師父!」


「ずる賢さでは右に出るものはいませんわね……」


 さらにラッシュが戻ってきて、聖餐を作る準備が始まったことを告げる。

 寺院から出てきたローブ姿の連中が、謎の穀物をドバドバ入れ、これを薬草と豆と水で煮込み始めているという。


『呪文を唱えながら粥を作っておりますな。あれは魔法を使っているのではありませんかな』


「ウボボア」


「なるほどなるほど。これはチャンスではないか。よし、みんなで聖餐を食べに行くぞ! ちょうどゾンビ化して二人減ったからな。炊き出しの量にも余裕が出てるだろ」


 さて、いかにして我々を、突然現れたギフト持ちみたいに見せかけて寺院に招かせるか……!?

お読みいただきありがとうございます。

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聖餐っていかにも魔人が食べたらうぐぁーってなりそうなw
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