第57話 神造兵器が超遠距離射撃してきたぞー!!
全く。
旅立つ前にジェプティスの予言でハラハラしてしまった。
なんか明らかに俺を倒すためだけに、世界が勇者を召喚したような話ではないか。
俺はまだ遊び足りないのだ。
討伐されてしまっては困る。
ということで、善は急げと、ヒマラヤみたいなところにある寺院へ向かった。
ドラゴンゾンビの背中にコテージみたいなのをくくりつけ、みんなで中に入って空の旅を楽しむ。
雲と同じくらいの高さであり、周囲気温は大変低い。
驚くべきことに、ヒマラヤっぽい山脈は雲の上に頭を出していた。
でかいなー。
麓から登ってたら、何日も掛かるじゃないかこれ。
「いつまでもヒマラヤっぽいという呼び名では良くないな。イチマンジャク山脈と名付けよう」
「またリョウ様が不思議な名付けをしていますわ。でも今は、それはリョウ様がいらっしゃったあの不思議な世界の名付けなのだと分かりますわね。みんなそんな名前でしたの?」
「そうですぞ」
実際は違うけどね。
ファルメラがなんか、俺に対する理解を深めてくれていて嬉しい。
この世界における正ヒロインみたいなもんだからね。
彼女が存在すること自体が俺のモチベでもある。
「またわたくしを見てニコニコして! 意味が分かりませんわ」
「ファルメラ殿は師父のお気に入りだからな」
「ええ? そんなことはありませんわよ? わたくしよりも、この方はラッシュとヘッドレスがお気に入りでしょう?」
『えっ、わしら!?』
「ウボ?」
「こいつらは別の意味のお気に入りかなあ……。と、そう言えば、ラッシュたちの属性を変化させるんだった。ちょっと外に出るぞ。二人とも来い」
『分かりましたぞー!』
「ウボウボ」
「イチマンジャク山脈はあまりにも寒い。炎系の属性であるお前たちは消えてしまうかも知れない」
『い、今にも消えそうですぞ~!!』
「ウボア~!」
「いかんいかん。じゃあ行くぞ……! リメイク! 周囲の雲を使い、お前たち二人の性質を大きく変える!」
雲が俺とラッシュとヘッドレスを中心に渦巻き始める。
すると、燃え上がる炎のようだった彼らの姿が、変化した。
炎の色が真っ白に変わり、煙が吹き出しているようになったのだ。
これは何かと言うと、ドライアイスみたいなものを纏っている状態だな。
バルログたちに会った時にお互いダメージを受けるのも良くないので……。
「よしっ! お前たちの意思で、炎モードと氷モードをスイッチできるようにしておいた! 頼りにしてるぞー!」
『ふおおー! 力がみなぎりますぞー!! やりますぞー!!』
「ウボボアー!」
名称 :ラッシュ
種族名:アイススケルトンヘッド
階梯 :第七
能力 :飛行能力 物理攻撃への高い耐性 精神攻撃耐性 状態異常耐性 闇視 目からビーム 氷と風への耐性 不眠 氷と風を吸収しての再生
弱点 :炎属性の武器や魔法
名称 :ヘッドレス
種族名:フリーズレブナント
階梯 :第七
能力 :アイススケルトンヘッドとの合体による超パワーアップ 怪力 再生能力 闇視 不眠 肉体状態異常耐性 氷と風への耐性
弱点 :炎属性の武器や魔法
位階は順調に上がってるから、かなり強くなっているはずなのだが……。
あんまりそう言う感じがしないんだよなあ、こいつら。
『この恐ろしく寒いところにいても、全く問題ない感じになりましたな』
「ウボアー!」
「氷属性への完全耐性を得たからな。イチマンジャクに存在するモンスターからは、お前らは一切ダメージを受けなくなることであろう」
そんなやり取りをしていたら、ヘルガーディアンがコテージからちょこっと顔を出す。
「どうしたの」
『ジェプティスからの通信です。因子に大いなる乱れあり。彼の地……イチマンジャクより発生せり』
「つまりどういうことなんだい」
『神造兵器が使用されました。こちらの接近に気付かれています。攻撃が来ます』
「あ、そういう……。な、なんだってー!!」
俺は慌てて、アダマンタイトの盾を呼び寄せた。
そしてパタパタと突っ走る。
目の前で、雲海が光り輝いていた。
その光が収束する……!
「なんか来るぞーっ! ドラゴンゾンビ! 俺を鼻先に載せろ!」
『もがーっ!!』
ドラゴンゾンビはよく言う事を聞く。
骨格の中から腕がワキワキ持ち上がってきて、俺をポンポンっと前に運んでいく。
いいぞいいぞ!
あっという間に鼻先に到着だ。
それと同時に、雲海に巨大な穴が空いた。
遥か下方に見える、寺院っぽい街。
仮にイチマンジャク寺院と名付けよう。
そこから、緑色に輝く光が昇ってくるのだ。
「おらあ!」
俺は光目掛けて飛び込んだ。
「リョウ様!? 無茶ですわー!!」
「師父! 私たちのためにーっ!?」
『神様ーっ!』
「ウボアーッ!」
『いえ、彼は勝機を見出して行動しています』
ヘルガーディアンは冷静だなあ!
そして、その通りだ。
神造兵器からの対空砲撃。
これがドラゴンゾンビに着弾する前に、俺が受けてしまおうという算段なのだ。
「アダマンタイトシールドをうすーくひろーく!! リメイクーっ!!」
大きく広がったシールドはまるでバリアのようになり、緑の輝きを真っ向から受け止める!
バリバリ、バキバキと音がして、シールドは神造兵器を食い止めた。
衝撃がそれなりにあるのだが、俺は相当馬力があるらしく、これを空中で食い止める。
問題は、アダマンタイトの盾が持たなかったことだ。
「あっ! 盾が砕け散る~!! いかーん!! せっかくガランドーに改造してもらったのに!」
敵の攻撃を食い止めたはいいが、こちらも失ったものがあった。
あの砲撃が連発できるなら、こりゃとても空から行くなんて無理だぞ。
アダマンタイトの盾はホイホイ手に入れられるものじゃないからなあ。
「退却! 退却だー!! こりゃダメだ! 麓に行くか、山を迂回して裏側から行くしか……。裏側……裏側!? それだ! ドラゴンゾンビ、迂回だ! イチマンジャクを迂回していくぞ!!」
『もがー!!』
かくして作戦は転換。
イチマンジャク寺院へと別ルートでの接近を目指すことになるのだ。
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