第53話 管理者現る
博物館に行った。
無人の街を闊歩……と思ったら、向こうからガッシャガッシャと白い守衛ロボみたいなのが来るじゃない。
下半身が車輪で、上半身がT字型のユニット。
正面にカメラアイがあって、腹の辺りから何かを打ち出すランチャーがある。
腕は触手っぽいが、これ、先端がスタンガンになってるな。
『施設への侵入は犯罪です。拘束します』
「意味の分からない言葉で話していますわね」
「あ、みんなには伝わらない系か。これは古代の言語らしいな」
俺はあらゆる言葉が通じる能力があるらしいので、普通に会話できる。
「守衛ロボ、聞いてくれ。俺達は外の世界から来た次の世代の人間なんだ。この世界の人類は滅んでいてだな。ということでちょっとくらい略奪しても見逃して欲しい」
俺は誠心誠意、守衛ロボに呼びかけを行った。
『略奪!! 犯罪的侵入者と判断します!! 拘束! 拘束します!!』
カメラアイが赤く点滅した。
「明らかに剣呑な雰囲気になったようですね。師父、やってしまいましょう! はあーっ!!」
オトハが行った!
放たれる、トリモチランチャーらしい攻撃だが、これをオトハは受けること無く、全て回避。
背後でラッシュが命中して『ウグワーッ! なんじゃこりゃー!』と拘束されているな。
美味しい奴め。
触手を棍で弾いた後、オトハの綺麗な足がスパーンとロボを蹴り飛ばした。
重さ数百キロあるであろうロボが跳ね飛んだな!
だがなかなか頑丈。
転倒した先で、触手を使って立ち上がる守衛ロボ。
さらにトリモチランチャーを放ちつつ、触手でオトハを狙う。
「奥義……車輪撃!!」
オトハの根が超高速で回転する。
これで触手とトリモチを弾き、接触した守衛ロボを超高速連続打撃!
ロボの躯体が一瞬でベコベコになったと思ったら、そのままひしゃげて破砕した。
『ピガー!!』
動かなくなる。
やるなー。
「じゃあ、こいつはリサイクルして仲間にしちゃおう。謎の動力だな。自律行動できるようにするぞ。アパラチャノモゲータ!」
『ピピー! 目覚めました。私はヘル・ディフェンダーです』
起き上がる守衛ロボ。
俺の趣味から、人型に作り直しているぞ。
白いボディを黒く染め直し、カメラアイも赤く発光するようにした。
トリモチランチャーは両肩に、腕部は通常のマニピュレーターだが、相手を掴んで猛烈に放電する、ヘルコレダーを放つぞ!
「味方にしてしまいましたの!? リョウ様の能力は本当に恐ろしいですわねえ……」
『助けて~』
おっと、トリモチされてるラッシュを忘れてた。
『お任せ下さいマスター』
ヘルディフェンダーがガシャガシャと軽快に歩き、トリモチを不活性化させた。
おっ、回収してる。
器用だなあ。
「ディフェンダー、説明してくれ。なんか手頃なものとかある?」
『はいマスター。こちらの博物館には、人類が時空を超えて収集した危険な物が多数保管されています。まずこちらにありますのが、侵食魔槍モールドスティンガーです。刺した相手を同化し、巨大化する槍で、計算上無限に巨大化します』
「うわーっ、いきなり凄いのがある。この地下都市、俺達の宝物庫にしよう」
決めた、今決めた。
とりあえず、不壊の黒杖なるものをゲットし、オトハの武器としておいた。
メインウェポンの自在根は伸ばして殴ったりする用として、黒杖はガチンコ勝負用だ。
なんかアダマンタイトを殴って一方的にボコれる硬度の、人類では傷つけることができない謎の杖らしいぞ。
ラッシュにはちっちゃい羽、エンゼルウイング。
これで飛行時に光の盾が生じ、攻撃を防げるようになる。
ヘッドレスには、体内保管ポケット。
これで体内に無限に武器をしまっておけるぞ。
『わしらもパワーアップじゃー!』
「ウボアー!」
君等は偵察と賑やかし要員だからね。
「わたくしはこのブレスレットですか。へえ……。周囲に攻撃を弾き、あるいは相手を打撃する武器となる十二のボールが出現すると」
これで、相手の攻撃を避けるだけでなく、防ぐ、崩すなどの様々な攻撃手段が増えたね。
俺は空を素早く走れるローラースケートをゲットした。
なんか装着者の生命力を消費して飛ぶらしいが、俺の場合はノーコストになるっぽい。
おもしろーい。
そんな事をしてたら、博物館の天井に何かが映し出された。
無機質な顔が俺達を見ている。
「おお、なんだなんだ」
『マスター。これはファラオシティの管理を行っているAI、ジェプティスです』
「ガーディアンが全部説明してくれるから便利だなー」
『ビジターよ。あなたを歓迎しません。ここには危険なものばかりが保管されています。外に持ち出すことで、世界に大きな被害が生じる可能性があります。すぐに展示に戻して下さい』
「いやです」
『では、これより五分後にそちらにファラオシティの全戦力が向かいます』
「五分もあるなら、みんな脱出して帰れちゃうよ」
『……』
あっ、困ってる!!
『少し待ってもらうわけには……』
「いかないなあ。やっぱり人間がいる前提のシステムでしょ。警備が機能しなくなってるじゃない」
『一番安いのは人間のコストですので』
「だよねー」
「リョウ様、何を会話してますの? 案外話が通じる相手でしたの?」
「ああ、そうだぞ。人間たちよりもずっと話ができる。おいジェプティス。俺達は人間ではなく、リョウ&フレンズ軍というものなのだが」
『なんだかファンシーな名前の割に物々しい見た目ですね』
「ナイスなツッコミだなー!! 俺ジェプティスのこと結構好きだわ」
『それはありがとうございます。それで、危険な保管品を置いていってもらうわけには』
「いかないなあ。便利だもの。だが、俺にいい考えがある」
『悪い予感がします』
「おもしろ! いや、あのさ、君が俺の軍に来たらいい。間近で監視できるだろ? 俺は君を軍団に迎え入れる用意がある」
『なるほど。あなたはただの犯罪者ではなく、ある種の権力を持った存在であると判断しました。そして同行という形で、私の要望を叶えようとしている。ユニークな考えですが、あなたの友好的な態度がよく分かります。いいでしょう。私も同行しましょう。ですが私の本体は地図で言うここに格納されているので……』
「了解。迎えに行ったうえで、移動しやすい形にリメイクしてあげるよ」
『感謝します、リョウさん。親しみを込めてそう呼ばせてもらいます』
交渉は成立した!
交渉は!
成立したのだ!
俺は感動していた!
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