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まだ使える!~可哀想は可愛いをモットーに、転生魔王はダークな異世界をリサイクル能力で蹂躙する~  作者: あけちともあき
絶望の砂漠と、エルミジャッド王国

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第37話 将軍にインタビュー

「行くぞアニタ! 俺が切り開くからな!」


「えーっ! 私もいくよ~! 負けないんだから!」


 若者の元気な声が聞こえてくる。

 俺はトコトコと徒歩くらいの速度で接近しつつ、状況を確認した。


 大量にいたアンドロスコルピオが、半分までその数を減じている。

 空をローデスが駆け回り、アンドロスコルピオを次々に切り倒していく。

 さらにアニタは壁を蹴ったり、魔人の体を足場に使ったりしながら、斧を縦横無尽に振り回す。


 この二人の活躍が、イケイケな戦線を作っているようだ。

 アンドロスコルピオたちは全く捉えきれていない。


 そして気を抜くと、余った魔人をファルメラが狩る。

 アイハムもやるもので、後衛に向かって抜けようとするアンドロスコルピオを、双剣の素早い攻撃で防いでいる。

 決定力は低いが、相手に油断を許さない剣さばき。

 強いな!


 で、後衛はちゃんと仕事をしており、次々に魔人たちを射抜き、撃ち抜き、その数を減らす。

 圧倒的ではないか。


 とか言って俺が観戦を決め込んでいたら、近くにあった壁がブルブルと震えた。


「来るぞ!!」


 アイハムが叫ぶ。

 あ、将軍のお出ましか!


 俺はトテトテ走って、壁の前まで移動した。

 そして盾をドシンと構える。


「リョウ殿! 危ない! そこは将軍の攻撃が……」


『キュキキーッ!!』


 凄まじい咆哮が上がり、壁を突き破って巨大なものが盾にぶつかってきた。

 おっと、なかなかの衝撃だ。

 だが俺を吹き飛ばすには力が足りない。

 天井に向かって、何かが跳ね上げられた。


 巨大なハサミだ。

 後から現れたのは、サソリの怪物だった。

 アンドロスコルピオの親玉だと言うから、巨人の上半身が付いていると思うじゃない!?

 普通のバカでかいサソリなんだけど!!


『キュキィーッ!!』


 ハサミをガンガン叩きつけ、壁を砕きながら横に回り、俺を尻尾の毒針で突き刺そうとしてくる。


「なんのなんの。こうだ! こう! こう!」


「リョウ殿がたった一人で、将軍を食い止めている! なんという守りの力だ!!」


 俺は攻撃に、盾の方をぶつけて防いでいく。

 そして考える。


 こいつ、デカいだけのサソリなら、言葉とか通じなさそうじゃない?

 それとも、魔人なのはアンドロスコルピオとアルケニーだけで、将軍や女王はただのモンスターだったりしない?


「いやいや、交渉を諦めるのは早すぎる。まずは声掛けから言ってみよう」


 幸い、アイハムと後衛の連中はこっちに近寄れていない。

 将軍の出現と同時に、アンドロスコルピオがバーサーク状態になり、死を恐れずにひたすら向かってくるようになったからだ。

 将軍を守っているんだろうなあ。


「おーい将軍。お前、魔人か? モンスターじゃなくて魔人だよな? ちょっとお話しようや……」


『キュキュキューッ!!』


 サソリの頭部が展開し、そこから筋骨隆々の男の上半身が覗く。


「女王よーッ!! 今こそ迎えに行くぞーっ! 女王を我が手の中にーっ!!」


 それだけ叫ぶと、またサソリの頭部が閉まって上半身が消えてしまった。

 あっ、ダメだこれは!!

 本能があまりにも優位なタイプの魔人なのではないか?


 交渉するとか軍団に加えるとか、そういうのができるレベルではない。

 言うなればアホすぎるのだ!


「あんた……っ! さっき、化け物に何を言ってたんだ……!?」


 すぐ横にローデスが着地した。

 彼の糸使いは本当に凄まじい。


 虚空に固定された糸が巻かれてローデスを飛び上がらせ、上下左右、斜めに前後と自由自在な空間移動を可能にする。

 まさしく、ギフトと呼ぶに相応しいだろう。


「いやあ、魔人というから人みたいな姿をしてるのかと思ったら大きいサソリだったからさ。声を掛けてみたらちゃんと姿を見せたんだ。だけどあれはダメだね。全く話が通じない」


「そ、そうか……。俺、あんたがあの化け物に親しげに話しかけてるみたいに見えたからさ……。気のせいだったならいい」


 勘の鋭い坊っちゃんだなあ。

 だが、人がいい。

 それゆえに俺のことを疑いきれなかった。


 俺という人間そのものを怪しんではいるのだが、その俺は仲がいいアニタの保護者みたいな立場だからな。

 疑いたくないよな。

 分かる分かる。


 俺も君が敵対しない限り、手出しはしないからな。

 平和主義者なんだ。


「おっと、俺がこいつの攻撃を引き付ける。君は将軍の体が姿を現した時に一発くれてやれ!」


「分かった! それがこいつの弱点なんだな!? あらゆる攻撃を弾く装甲だって聞いてたけど、弱点があったんじゃないか!」


 振り回される将軍のハサミを回避して、ローデスが糸で飛び上がっていった。


「リョウさーん! 私も行くー?」


「アニタの斧だとちょっと分が悪いかも知れない。もうちょっと強くならなくちゃタイマンで叩き潰すのは辛そうだなー」


「えー! リョウさんローデスのことひいきしてない?」


 次々に叩きつけられてくる将軍の攻撃だが、俺はこれを真っ向から受け止める。

 将軍が俺を回避して、他のウォリアーに攻撃しようとしたら……。


「そーれこっちだ!」


 炎の槍でチクチク、サクサクとつつく。

 本体が隠れている頭部を狙うから、無視はできまい。


『キュキュ、キキキーッ!!』


 激昂した将軍が、激しく身を捩った。

 すると……。

 地底だと言うのに、砂嵐が巻き起こる。


 これが、バルログの炎を消す砂嵐か。

 なるほど、視界がゼロになるな。

 普通なら。


「リサイクルだ。お前の使った砂をゴーレムとして再利用する」


『!?』


 砂嵐が巨大な拳に変わって、将軍に叩きつけられた。


『キュッキーッ!!』


 衝撃にのけぞる将軍。

 その頭部が一瞬だけあらわになった。

 弱点を守る甲殻が歪み、ムキムキの上半身が見える。


「今っ!! うおおーっ!!」


 俺の頭上をローデスが飛翔した。

 空中で大剣を抜き放ち、加速しながら回転。


『キュキーッ!!』


 慌てて将軍が甲殻を閉じるより早く、ローデスの剣が将軍の胴体を叩き切っていた。


『ウグワーッ!!』


 絶叫が響く。

 将軍の巨体が、ゆっくりと前のめりになり、動かなくなった。


 あの人間っぽい上半身を破壊すれば停止するわけね。


「や……やった……! こんな少人数で、将軍を討伐した……!」


「なんだ君、ギフト持ちなのにタイマンで倒したこと無かったのか」


「お、俺はまだ若いからって、やらせてもらえなかったんだ!」


「そういうことか。俺は君、一人でも十分やれると思うなあ」


「そ、そうか?」


 嬉しそうなローデス。

 そこにアニタが駆け寄ってきて、彼の両肩をポンポン叩いた。

 照れるローデス。


 アンドロスコルピオは全滅したようで……。


「作戦終了だ! みんな、一旦外に出よう!」


 アイハムの声が響き渡るのだった。


お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
魔人たちってオルトファースの姿を見ないと分からない? 何か魔王色の魔力というか、そうでなくても自分より強い相手くらいは察知しそうだけど。
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