第28話 偵察完了! 行くぞ行くぞ行くぞ
三日三晩ボードゲームをしていたら、ラッシュが帰ってきたのだった。
流石にこれだけ待ってると普通にやって来るな。
『神様~! あっ! 姫様と一緒に謎のゲームをしている!』
「ラッシュ、ご苦労さまです。怪我などしていませんか?」
『おお~! 姫様、なんというありがたいお心遣い!』
「ウボウボ」
ヘッドレスが後から走ってきて、ラッシュをキャッチ。
頭にガシャーンと接続させた。
『うおーっ、力が戻ってきますぞー!』
「なんか元気っぽくて何より。いい感じで偵察できた?」
『できましたぞ! お伝えして参りましょう』
「我も聞かせてもらいましょう」
「うわっ、カグツチが来たぞ」「来なくていいのに」「うぜー」
カグツチとバルログ三人組まで揃い、なんか俺の組織の幹部会みたいになってしまったな。
アニタは外でパパールとお昼寝中だ。
『まず、アンドロスコルピオやアルケニーたち、虫型魔人ですが、こやつらは地下に集落を作っておりますな。女王と将軍と呼ばれる存在がそやつらを統括しており、この女王が次なる魔王を目指す魔人……魔人将だと思われますぞ』
「魔人将!! ラッシュがかっこいい言葉を話し始めた」
『砂漠の国で、いずれ生まれるであろう魔人を統率する存在をそう呼んでましてな! 夜間は街中に入り込み、この体の小ささを活かして酒場などにも潜入し、世間話などを聞いてきましたぞ』
「なるほど。つまり、魔人たちに接触するのではなく、人間たちの都市に入り込んでの情報収集を中心にしたわけか」
『そうですぞ! 人間の数は多いですし、それに砂漠の国……エルミジャッドというのですが、そこには各地の人里を周回する武装キャラバンがおりましてな。各国の情報も集まってくるのですぞ。どうしてもわしはこの姿ゆえ、表で情報収集はできまでせんでしたが……。このキャラバン、利用できるとは思いませんかな!』
「できるな!」
「主よ、何を考えておいでですか?」
カグツチに問われて、俺は頷いた。
「キャラバンが来るルートで、魔人をおびき寄せて戦うんだ。そしていい感じで合流すればいい。俺達はキャラバンと協力して魔人を倒し、ちょっと信頼されるから向こうの口も軽くなる……。やはりこういうのは正面から行ってはいかんのだ!」
おおーっとどよめくバルログたちなのだった。
この人達、そもそも人間の中に入り込むという発想が存在しないので、何を言っても驚いてくれる。
気持ちいいなあ!
「じゃあラッシュ、ヘッドレス、ようやく戻ってきたところ悪いけどアニタ呼んできて」
『はっ!』
「ウボ!」
二人はバタバタと外に出ていった。
そしてすぐに、アニタがパタパタと翼を羽ばたかせてやってくる。
「神様~」
「コウモリの翼じゃん」
「なんかね、羽だけじゃなくて、大きなコウモリとか狼とかにも変身できるようになったの」
「いよいよヴァンパイア力が上がってきたなあ。そういうわけで、三日ばかりここでのんびりしていたが、いよいよ旅立ちの時だぞ」
「おー、どこ行くの? みんなで行くの?」
「俺とアニタとファルメラの三人で、砂漠にある国のナントカってとこに行く」
「エルミジャッドですわよ!」
「そう、それ。なんなら向こうについたら、シエスタの仲間を呼んでみんなで夜の街を練り歩いてもいい……」
「素敵! 行く行く!」
ということで、アニタもこれからの作戦を快諾するのだった。
キャラバンの予定はラッシュが把握している。
そのタイミングに合わせて、彼らのルート上で魔人たちと戦おうという算段である。
「そうなると……神様の技は使えなくない?」
「あっ、ほんとだ!」
「リョウ様の魔法は明らかに人智を超えていますもの。人前で使ってはいけませんわね。自らの力で身を守れます? 心配はしていませんけど」
「いけるいける」
カグツチとの戦いで確認したが、俺の本体はとにかくめちゃくちゃに打たれ強いようだ。
グレートバルログの強力な一撃を喰らってなおノーダメージだったのだ。
まあなんとかなるでしょう……。
「デカい盾とまあまあ長い槍を使って、戦士ですよって顔をするか……」
ボルカノ山の適当な鉱石をリメイクして、巨大な盾を作る。
うんうん、キラキラ輝いて綺麗じゃないか。
地面に置くと、堅い岩がみしみし言うくらい重いな。
「アダマンタイトで盾を!?」
「俺等の炎ですら少しも柔らかくならなかった金属だろ」「この世界から去った神が撃ち込んだ杭だって言うぜ」「それを盾にした……? なんでできるんだ!?」
「俺は何かしちゃったのかね……?」
なんか凄いものらしいな。
そんな凄いものがなんでボルカノ山の適当なところに置いてあるんだよ!
そして、槍はバルログが武器として使用している、炎を形成して作られたものを使わせてもらう。
「おっ、こっちはかるーい。何も持ってないみたいだ」
「炎ですからな」
「神様熱くないの?」
「俺は熱とかでダメージを受けないっぽいんで……」
あと、アホみたいな重さの盾も軽々振り回せるっぽい。
意外!!
今まで他力本願な戦いをしすぎて、自分本来のスペックが全く分かっていなかった。
「では、俺はこの異常に重い盾と炎の槍で一般的な戦士を装う」
「私はおっきな斧を使って戦士だね!」
「わたくしはいつもの剣を使って戦士ですわね」
「戦士しかいないのではないですかな?」
カグツチが突っ込むのだが、俺達は何も答えずに微笑むだけなのだった。
うち、魔法使えるやつが少ないんだよなあ。
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