第27話 偵察報告を待ちながらボドゲをする
「ボードゲーム! ボードゲームをやらせるんだ」
「あっ、これはこれは、我らが上に立った新たなる主」「グレートバルログをも一蹴したのを見たぞ」「そんなん、おばけじゃん」
俺の登場に、バルログたちが盛り上がる。
お前たちだっておばけだろう。
「その主が何しに来たんですか」「ゲームさせろって言ってたぞ」「もしかしてインドア派の主? 前のグレートバルログとは大違いだ」
どうやらカグツチは、ダンス至上主義者だったらしい。
陽キャってやつだな。
で、ボードゲーマーのバルログと虫バトルしてるバルログは陰のもの。
今まで、陽キャが実権を握っていて肩身が狭かったらしい。
「俺はどっちかというとインドア派なので安心するがいい。さあボードゲームを教えるんだ」
「最高の主だぞ」「接待プレイだ」「どうぞどうぞ我らが主よ」
すっごい笑顔で迎えられてしまった。
で、俺の隣にはファルメラがいるのだが……。
「女の子までいるぞ」「ヒャア、女の子とボードゲームするの初めてだ」「ドキドキするな」
「凄く陰の者っぽい奴らだなあ」
こんなんでも、通常のバルログではトップクラスの実力者である三人なのだ。
こいつら三人で、カグツチの向こうを張ってインドア組をやってたらしい。
虫バトルチームはこいつらの手下なんだとか。
「よ、よろしくお願いしますわ。なんだかバルログの方々がいやに紳士的で戸惑いを感じます」
「俺等だってね、ちゃんと強い女子には敬意を払うの」「弱いと恋愛対象になんないもんな」「つまり俺達は恋愛対象になる女の子が来たから緊張してるってわけ」
面白い奴らだなー。
そして彼らが開発したという、ボードゲームを見せてもらった。
ほうほう、これはボルカノ山を中心とし、周囲に運河を巡らせて交易をするゲームか。
様々な地域に船を出し、開拓し、それぞれの箇所で採れる資材を使って生産を行う。
足りない資材は他のプレイヤーと交換するわけだ。
カ◯ンの開拓者の船を使って島々を渡るバージョンだなこれ。
周辺地域を偵察したこいつらが、正確な地形情報をもとにして三十年掛けて作ったんだそうだ。
「ボルカノ山からスタートして、各地の魔人と交易するのですわね。こんな風に皆さん、他の魔人と仲良しだったりしますの?」
「まさか! 基本、魔人同士は反目し合ってるんだよ」「西の人間どももかなり強いしな。魔人クラスのがゴロゴロいる」「まあ、人間は会った瞬間に殺し合いだけど、魔人は下っ端同士が会話するくらいはあるもんな」
「ほー。じゃあ魔人の上層部が敵対してるってわけか」
ゲームをしながら、この辺りの状況を教えてもらったりした。
マロングラーセなる、最初にこの世界を滅ぼした大魔王がいる。
で、この地に満ちた魔人たちは、ほぼ全てがマロングラーセが作り出した眷属。
そのマロングラーセなる者は、三柱のでかい竜によって別世界へと放逐された。
だが、それで竜の一つが力を使い果たし、残る魔人たちを駆逐できなかったわけだ。
そして魔人たちは次なる時代の王を目指して覇を争い始めた……。
「ところがなんですよ。そこにこの間、新しい魔王が降りてきた。若いのに強力な魔王だったんですが、オルトファースと言うやつで」
「ふんふん」
「魔人たちの半分を力で掌握し、人間たちをも手懐けたんですけどね。そこで勇者ってやつが出てきた」
「勇者! そんなんいたの!」
俺はびっくりだ。
「いたんですよ。勇者はオルトファースに従った魔人たちを次々滅ぼし、力を付け、ついにはオルトファースと激突したそうです。戦いは一晩中続き、明け方、勇者がオルトファースの魂を砕いたことで決着したんですよ」
「ほー、大スペクタクルだ。勇者はまだいるの?」
「いないんですよ。人間どもはバカでしてねー。魔王を倒した勇者の力を恐れて、軍を率いて勇者を殺そうとしたんですよ。まあ、勇者のほうが強いんですけどね。で、勇者は逃げて、そのまま行方がわからなくなった。人間どもは強すぎる勇者が消えたから安心したのかもですが、自分から自分たちの守りを追っ払ったんですからね」
「あー、魔人たちが出てきちゃって、人間は今の有様に」
「なりましたねー」「ね、バカでしょ?」「強かろうと同族なんだから、上手くやってく努力をすればよかったんですよ」
バルログ理性的だなー。
なお、その勇者が残した様々な奇跡みたいなのがあり、これを取り入れて強くなったのが砂漠の国やステップのドラゴンライダーたち、山脈にある寺院とかなんだそうだ。
「ちなみに俺等バルログは、その時の頭がオルトファースに速攻でボコられたんで、慌てて全員マグマの中に隠れて百年やり過ごしてたんですけどね!」「わはは! 俺等だっせえ!」「だって部下を使い捨てとしか思ってない奴の下につくのやだろ」
この話に、俺もわははと大いに笑った。
なるほどなー。
オルトファースがなんか嫌われてるのは、性格がドブだったからなんだな。
「ファルメラ様、俺はこのオルトファースとか言う社不(社会不適合者)を他山の石とし、面白おかしくて愉快な世界を作ってくことを誓いますよ」
「あ、うん、はい。素晴らしいと思います」
(こう言う時どういう反応したらいいんですの!? どの面で言ってますのーって突っ込めばいいんですの!?)
「あれー? もしかして主、こっちの女の子とー?」「あららー。主も隅におけないなー」「女連れ相手に接待はやめだ! 潰しちゃる!!」
「おいお前らやめろ! 一応俺は主なんだぞ! うおおー!!」
なお、この三人の名前はベス、ベラン、カイと名付けた。
マレーシアの妖怪で、三位一体なやつから名前を取ったぞ。
名称 :ベス
種族名:エルダーバルログ
階梯 :第八
能力 :怪力 物理攻撃無効 飛行能力 炎の魔法 炎と熱量への耐性 炎を使ったワープ能力 闇視
弱点 :氷属性の武器や魔法
名称 :ベラン
種族名:エルダーバルログ
階梯 :第八
能力 :怪力 物理攻撃無効 飛行能力 炎の魔法 炎と熱量への耐性 発火の魔眼 闇視
弱点 :氷属性の武器や魔法
名称 :カイ
種族名:エルダーバルログ
階梯 :第八
能力 :怪力 物理攻撃無効 飛行能力 炎の魔法 炎と熱量への耐性 炎を実体化させて装備とする 闇視
弱点 :氷属性の武器や魔法
「だんだん要領が分かってきた。ラッシュが戻ってくるまで三日くらいボドゲするぞ」
「わ、わたくしもやるのですか!?」
もちろん!
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