第26話 どこ行こう?
外に出て、アニタとパパールも呼び寄せた。
パパールはたっぷり葉っぱを食べたらしく、満足げだ。
「象ってめちゃくちゃ食べるんだなあ。あれっ!? 主よ、どうして小型行動体に変化して客人の横に?」
アニタとパパールを担当していたバルログが目を丸くした。
かくかくしかじか、説明することになった。
「なんとー」
「神様さすがー。でも肌色が変になっちゃったね」
「うむ、これはオーバーロードというやつの体を再利用したやつだからな。叡智ゲームの隠しボスでも出てきたな、オーバーロード。こっちの世界だともう死んでるのか」
それを確認する手段はない。
この世界に、俺と同じ様な転生者はいないからだ。
うーん孤独感。
「でもとりあえず肌の色は戻しておこう。体の組成が人間と違うから、ナチュラルだと青い肌なんだよなー。おりゃ、組成をいじって肌色だ」
「元の神様になった!」
「サラリととんでもないことをしますわね……」
俺達がわちゃわちゃしているのを、しばらく待っていたカグツチ。
落ち着いたところで口を開いた。
「さて、では目的地を決めましょう」
話の方向性を保ち、司会進行をしてくれる!
助かる。
こういう知的なやつが欲しかったんだ。
「砂漠か、ステップか、寺院か……。どれも難物ですがどうなさいますか?」
「よし、砂漠にしよう」
「ほう!? 魔と人が相争う、最も混沌とした場所になりますな。双方と争う事態にも容易に発展するでしょう。なぜそこをお選びに?」
「俺とファルメラとアニタなら、人間の中に混ざれるだろ。人間のふりをして、彼らから情報を収集する。どことどこが争ってて、今どういう状況かーとか、人間が持ってる隠し玉なんかも分かるんじゃない?」
「なるほど……!! 人間どもを侮らず、彼奴らを利用しながら己の糧となる情報を集める……!! リョウ様、流石です……!! 感服致しました」
なんか感心されているぞ!
魂が人間なので、自然に人間に混じって情報収集とかそういうアイデアが湧いてきただけなのだが?
というか、今までは真っ向から入り込もうとして失敗し続けていたのだ。
堂々と正門からやって来る、ゾンビを従えた軍団など信用できるわけがない。
ドラク王国はファルメラのお陰で自然に入国できたしなあ……。
つまり……その国にはその国の、怪しまれずに入国する方法があるということなのだ。
『わしは留守番ですか……』
「ラッシュとヘッドレスは一番怪しまれる外見だからな。それにパパールは砂漠だと食べるものが無くて無理だろ」
「パオ」
早速、パパールも留守番担当になってしまったのだった。
さて、俺とファルメラとアニタ。
この三人でどうやって怪しまれずに砂漠の国に入り込むのか……?
「その前に。まずはラッシュ、お前の出番だ。砂漠をグイーッと飛んでいって、昼と夜の砂漠、そして砂漠の国を上空から偵察してくれ。空を飛べるお前にしかできない! これはほんとに」
『むおおーっ!! わししかできぬ重要な任務!! 喜んで拝命いたしますぞーっ!!』
「だがラッシュよ、今のお前はとても打たれ弱い……。普通に強いとは思うんだが、ちょっと足りない。なのでここでちょっと力を注ぎ込んでパワーアップさせる。アパラチャノモゲータ!!」
「うおっ!! 喋りながらいきなり謎の力を使い始めるとは! リョウ様は行動が早い」
即断即決即実行だからな。
とりあえず、第六階梯くらいまで強くしたい。
カグツチから回収した炎の力がまだあるし、これをラッシュと融合させることで……!
『ふおおおー!! 力が湧いてきますぞー!!』
「ウボボアー!」
「あっ、オマケでヘッドレスまでパワーアップした!! こいつら一心同体なんだなあ……」
名称 :ラッシュ
種族名:ファイヤースケルトンヘッド
階梯 :第六
能力 :飛行能力 物理攻撃への高い耐性 精神攻撃耐性 状態異常耐性 闇視 目からビーム 炎と熱量への耐性 不眠 炎と熱量を吸収しての再生
弱点 :氷属性の武器や魔法
性質が変わった。
光が効かなくなった代わりに、氷に弱くなったな。
向かうところが寺院になったら、またリメイクしてやるからな。
そして特に意図してなかったヘッドレス。
名称 :ヘッドレス
種族名:バーニングレブナント
階梯 :第六
能力 :ファイヤースケルトンヘッドとの合体による超パワーアップ 怪力 再生能力 闇視 不眠 肉体状態異常耐性 炎と熱量への耐性
弱点 :氷属性の武器や魔法
超パワーアップが気になる……。
だが、それを確かめる前に……。
『うおおーっ! ではわし、行ってきますぞー!!』
ラッシュが飛び立ってしまった。
ヘッドレスが手を振って見送っている。
「頑張ってねラッシュ~!!」
「心配ですわねえ……。無事に帰ってくるでしょうか……」
「そのために強化したんだ。かなり強いことになってると思う」
「パオ」
ラッシュを見送る俺達と、ふむふむ頷くカグツチ。
「何ゆえ、リョウ様はあのような弱兵を連れているのかと思っておりましたが……なるほど。戦いとは力だけではない……。かのスケルトンは頭部のみ故に、小さく、昼間は発見することが困難だ。夜は目立ちそうですが」
「あの炎は自在に出したり引っ込めたりできる」
「なんと! 完璧……。彼奴が偵察を担当し、収集された情報を用いて行動に移すというわけなのですね。我らバルログには無かった発想です」
「バルログ、基本的に強いもんな。肉体が強すぎるのと、人間を舐め腐ってるがために搦め手が思いつかないんだ。俺はどれだけ強かろうが、めちゃくちゃ搦め手を使う……」
「油断せぬ心根のあり方……! 流石です」
また褒めてくるじゃん。
さあ、ラッシュが戻ってくるまで、ボルカノバーグでのんびりしよう。
さっきバルログたちがやってたボードゲーム、気になってたんだよな。
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