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まだ使える!~可哀想は可愛いをモットーに、転生魔王はダークな異世界をリサイクル能力で蹂躙する~  作者: あけちともあき


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第2話 復活村娘ちゃん、俺を神様と呼ぶ

 パッと女の子の目が開いた。

 彼女はしばらくパチパチと瞬きすると、自分の体を見て、首を傾げた。


「服が戻ってる……。それにどこも痛くない……。あれ……? 夢だったのかしら……」


「おはようございます」


「あ、おはようございます……きゃーっ」


 飛び上がる村娘さんなのだった。

 突然、俺がしゃがみこんで挨拶してきたから驚いたのだろう。


 彼女は壁際までザザザっと下がると、


「や、や、やっぱり夢じゃなかった! 私は村の人達の身代わりになって、魔王教団の生贄に……ってあなた、教団の人じゃないわよね?」


 おお、冷静になってくれた。

 俺の姿をじーっと見ている。


 カジュアルなジャケットに黒いシャツ、そしてスラックス。足はサンダル。

 革靴は窮屈で好きじゃなくてな……。


 顔立ちは俺が知ってるイケメンの特撮俳優だから、結構かっこいいんじゃないか?

 ゾンビになった人のパーツを成形したから、本物の皮膚だし。


「君が倒れてたので、俺が助けたんだ。ああ、俺は実は特別な力があって、傷ついたり壊れたりしたものを元通りにしたり、捨てられたものを綺麗な状態にして再利用する事ができる」


 まだ検証してないけど、リサイクルってそういうことだよな。


「そうだったんだ! じゃあ、私の体はあなたが治してくれたの? 服も直ってるし……。不思議……! すごい……! あれ? ところであなたの後ろにいる、虚ろな目をした集団は……。ひいっ、魔王教団!?」


 また村娘さんが真っ青になる。

 俺はこれについて解説した。


「彼らは俺が来た時には死んでいたんだ。俺は彼らをリサイクルしたつもりはなかったんだが、君を蘇らせていたらそのオマケで彼らも中途半端に蘇った。言うなれば動く死体の状態だね。自由意志のない、俺の子分みたいなものだよ。安心、安全だ」


 俺がにっこり微笑むと、村娘ちゃんがぽーっとなった。

 イケメンの顔って便利だなあ!


「証拠を見せよう。よし、お前たち、そこで全員、三回回ってウボアーと鳴け!」


 五人ほどのゾンビたちは、よたよたと回ってから「ウボアー」とうめき声を出した。

 よし。


「ほらね」


「凄い! あの、もしかしてあなたは……。私を助けてくれたり、服を直してくれたり、悪い魔王教団に言うことを聞かせてしまったり……。あなたって、神様なの……!?」


「おおむねそんな感じ」


 俺は即座に肯定した。

 彼女に安心してもらうためである!

 それに、人知を超えた能力があるんだから、まあ神様みたいなものだろう。


 視界の端にある、魔王スキルという一覧を見ながら俺は頷く。

 うん、神様だ。


「でも、神様だって言うのは君と俺だけの秘密にしておいてくれ。だって、神様が外を歩いていたらみんなびっくりするだろ?」


 それに、男たちに神様だと思われても全然旨味を感じない。

 俺が知る叡智ゲーム的なものは、男はみんな目が描かれてなかったり、あるいは髪の毛すら描かれてないモブなのだ。

 そんなものに崇められて何が楽しいだろうか。


「分かったよ、神様! じゃあ、あの、神様って呼べないなら名前を教えてほしいな。あ、私はアニタ!」


「アニタか! いい名前だね。俺は……」


 一瞬本名を名乗りそうになって、踏みとどまった。

 ここは異世界だぞ。

 日本人の名前なんか興ざめじゃないか。


 世界に入れ込んで、雰囲気を味わうなら現地に合わせた名前がいい。

 そうだなあ。

 俺の趣味のリョナラー……リョウ……リョウ・ナラ……。


 これだ!


「リョウだ。リョウ・ナラ」


「リョウだね! よろしくねリョウ! でも、二人きりの時は神様って呼ぶからね。だって私の神様だもん」


「ああ、それでいい」


 よく考えたらツッコミどころ満載なんだが、全ては俺のイケメンフェイスが誤魔化してしまうようだ。

 いやあ、便利過ぎる!


 そして、こんな閉鎖空間で会話してても仕方ないだろということになり、外へ向かう俺達。

 振り返って気づく。

 そこは天然の洞窟だった。


 入口には、人間の皮を被る前の俺によく似た像が飾られている。

 魔王教団……?

 これが魔王……?

 ハハハ、まっさかあ。


「お前ら、なんか知ってる?」


「ウボアー」


「ダメだ。ゾンビになって知性も記憶も失ってる。誰がこんなひどいことを……」


「神様がやったんじゃないの?」


「それはそう」


 案外冷静だなアニタ。


「それで、これからどこへ? 俺は右も左も分からないんだ。異世界転生したばかりだからな。やりたいことと言えば、この世界にあるであろうヒロピンやリョナを見てそこからリサイクルでヒロインを救いたい」


「神様の言葉は難しいなあ……。私、あんまり物を知らないから。あのね、一応村に戻ろうかと思うの。でも、ちょっと気乗りしないな。私ね、故郷の街が戦場になって、ガンボ村に逃げてきたの。でもそしたら、魔王教団の生贄に差し出されて……」


「ふんふん、余所者であるアニタを差し出して、身の安全を図ったんだね? 村人の気持ちは理解できる! だけどヒロインの目から見ると、それは外道だよね! アニタはどうしたい? リベンジするかい? 破壊するかい?」


「それはちょっと……。神様のお陰で私、助かったわけだし。一応、魔王教団は心配ないよって伝えて、私は神様と一緒に旅をしちゃおうかな」


「了解! あとアニタ、さっき君は戦場って言ったけど……、もしかして姫騎士とな女将軍とかいない……?」


「姫騎士ファルメラ様のこと? 帝国にも勇猛な女将軍がいるって聞いたけど……」


「ほんと!? よし、アニタ! 君の故郷を奪還しに行こう! 俺はとってもモチベーションが湧いてきたよ!」


 俺の言葉に、アニタも笑顔になった。


「ほんと!? 神様の力で、私の故郷を取り戻してくれるの!? やった! やったー! 私、神様のことたくさん手伝っちゃう! 何でも言ってね!!」


 キャッキャと喜ぶ俺とアニタ。

 そしてウボアーとあとに続くゾンビたち。


 そんな俺たちの前に、村の姿が見えてきたのだった。

 入口に、粗末な槍を持った村人が立っている。


 彼はこちらに気付き、驚いたようだ。

 慌てて村の中に戻っていく。


「大変だ! 大変だーっ! アニタが魔王教団の連中を連れて戻ってきた! 裏切りやがったーっ!!」


 おっと、これは村人たちが敵対してきそうだぞ……!


 

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
アニタちゃんの理解が早い さてはこのゾンビども、儀式の前に我々の目的は〜とか崇高なる理想が〜とか語りまくったな?
そりゃゾンビ率いてりゃそうなるw 魔王だから間違ってはいないがどう見ても悪の陣営にしか見えないw
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