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まだ使える!~可哀想は可愛いをモットーに、転生魔王はダークな異世界をリサイクル能力で蹂躙する~  作者: あけちともあき
かくして世界は、人魔の時代へ

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第111話 かくして滅びる大魔王

『波動砲展開! ゼクウをイン!』


「ぬうーっ! この辺に何やらすごいパワーが集まってくるぞ!!」


『中身を擬似的な歪曲空間にしてある。存分に加速して最大威力で飛び出せ!』


「だが、それをマロングラーセは許すまい」


『俺が時間稼ぎをしよう』


 とか言っているが、俺は既に時間稼ぎを開始している!

 周囲の残った宇宙船の素材を次々にリビルドし、盾としてマロングラーセにぶつける。

 奴の槍は全てを破壊してしまうが、宇宙船の構造材だけは破壊しきれないのだ。


 なので、このアトランティック大陸な船が残っている限りは時間稼ぎが可能だ!

 いやあ、一つの大陸規模のものを丸ごと削って、時を経たせることしかできないとは。

 実に圧巻だな、この大魔王。


 俺一人では絶対に勝てなかった。

 嵐のように降り注ぐ、輝く槍。

 これを次々に受け止めては砕け散っていく、盾の数々。


 既に魔人も人間もここを離れ、遠巻きに戦いを見つめている。

 俺とゼクウが敗れれば、世界が文字通り、マロングラーセの手の中に落ちる。


「リョウ様!」


『大丈夫大丈夫。来るなよ。これはフリじゃない。絶対に来るな』


 俺の後ろで、波動砲が唸りをあげている。

 俺は全身で波動砲を庇いながら、ゼクウの加速が十分に終わるのを待っているわけだ。


 あいつの力はロケットカラテ。

 ロケットによって十分な加速を得たカラテは、魔王すらもぶち抜くだろう。

 では大魔王ならどうだ?

 それならば、波動砲の射出と十分な加速の組み合わせでぶち抜けばいい。


 そのための時間稼ぎだ。

 作り出す時間は、およそ一分。


『いや、無限のように長い一分だ! こりゃ、今まで散々好き勝手やって来たバチが当たったか? いやいや、神なんぞクソくらえだ!』


 宇宙船の部品を引き寄せ、手当たり次第にリビルドしていく。

 マロングラーセの猛攻は止まらない。

 こいつ、エネルギーが無限に続くのか?

 いやあ、冗談みたいなやつだ。

 これが欠片?

 それこそ冗談だろ?


 だがしかし、こいつが欠片だとしたら、本当に助かった。

 こいつの本体を押し付けられたどこかの世界はご愁傷さまだが……。


 次の瞬間、宇宙船最後の欠片が破壊された。

 たった一分間で、アトランティック大陸は完全に消滅したことになる。


 マロングラーセは無表情に俺を睨みつけた。


『想定より時間が掛かったが、これで終了だ。私はこれより、世界全てを私の魔力へ変換する。そうして世界を渡り、本体と合流する。最終処理、開始』


 俺を目掛けて、槍の雨が降り注ぐ。

 防ぐものは何もない。

 俺の体があるだけだ。


 今まであらゆる攻撃を受けても無傷だった俺だが、流石にこいつは受けきれる自信がない。

 だったらどうするか?


 そりゃあもう。

 ブラックホールみたいなもんである、俺の中心で受け止める!


『あ、よいしょおーっ!!』


 俺は目玉を包み込む腕を大きく展開させた。

 眼球のような形をした、俺の中にある虚無が大きく展開する。

 それが、マロングラーセの攻撃を受け止めた。


『疑似ブラックホール……! だが、私の攻撃を食い止められても、長時間展開することでこの世界そのものをお前は飲み込んでしまうことになる』


『そうなりそうね!』


 実際、周囲の水が俺の目玉へと猛烈な勢いで集まってくる。

 攻撃を防ぐことはできる。

 だが、それは同時に、この世界を不可逆的に破壊してしまうことでもあるのだ。


『私はこの世界が破壊されたなら、また別の世界へと移動しよう。そして力を蓄え、本体を……』


『その時間はもう無いなあ。なぜなら一分経過したからだ』


『?』


 マロングラーセが俺の言葉に、小さく首を傾げた。

 こいつにも、不思議だと思う感情があったんだな。


 俺の目玉の真後ろに、波動砲があった。

 それが展開し、輝き始めている。


『行け、ゼクウ!』


「行くぞ!! ツアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」


 次の瞬間、俺の背後から眼球を貫き、ゼクウが飛翔した。

 輝く巨大な矢となったゼクウは、飛来する全ての槍を叩き折り、その速度を一切緩めることなくマロングラーセへと到達。


『カッ!?』


 その白い胴体を、粉砕、貫通する!


『ウグワーッ!! 私が……私が消滅する……!! 本体よ! 我が本体よ! おお、届かぬ! 私は届かぬ……!!』


 それが大魔王の最後の言葉だった。

 奴の全身が白く輝き、幾条もの光が周辺に放たれる。


『離れろーっ!! リビルド! オーシャン・クレーター!!』


 俺は海そのものをリビルドした。

 とは言っても、これだけの量で、しかも流れ続けるものを恒久的に作り変えることなどできない。


 マロングラーセの爆発から皆を遠ざけて守るならば……水がこの爆心地から思い切り遠ざかればいいだけの話だ。


 結果、アトランティック大陸があった場所が、一時的に水の無い半径百キロに及ぶクレーターになった。

 水は猛スピードで周辺へと引いていっている。

 海底にゆっくりと落ちながら、マロングラーセは爆発した。


 アホみたいな規模の爆発だ。

 だが、あの槍ほどの威力ではない。

 拡散してるから全然マシだ。


 続いて衝撃波が走り、地殻をぶち抜いて地中のマグマを剥き出しにさせた。

 ここら一帯が丸ごと海底火山になったみたいなものだ。


 そして……水が戻ってきた。

 猛烈な勢いだが、人間たちは無事かな?

 うちの連中は大丈夫だろう。


『うーむ……! やった! やり遂げた! いやしかし……流石の俺もくたびれたなあ……』


 俺は水の中に沈んでいく。

 岩石のようなものでできた肉体は水には浮かないらしい。


 水面で揺れる光を眺めながら、俺は呟いた。


『ちょっと一休みしたら、戻るとするか。力を回復して必ず帰るからな。だから少しだけ待っていてくれ』


 俺の頭の中に、仲間たちの顔が浮かんでくる。

 そして、俺は久しぶりに眠りにつくのだった。


 ……と思ったのだが……。

 なんか、ゴボゴボという泡の音が聞こえてくる。


 何か大きなものと、それに掴まった誰かが俺に向かって手を伸ばし、名前を呼んでいる気がする……。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
1/10とはいえ、あのマロングラーセを倒し切ったか。 欠片でさえかなりの戦闘力を見せつけた大魔王に多少の犠牲やダメージがあったとはいえ大金星をつけたリョウ&ゼクウ人魔連合の実力は評価に値する……ととも…
>こいつの本体を押し付けられたどこかの世界はご愁傷さまだが……。 皮肉なのか。それともナカバヤシ撃破から栗登場までの間にこの世界に来たのか。 きら星はづきは強かったみたいな回想があったから配信見てなさ…
更新お疲れ様です。  栗魔王撃破! しかしこの終わり方は…皆が頑張って引っ張り上げてくれたと信じたいですね。待て次回! それでは今日はこの辺りで失礼致します。
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