第108話 そして始まる最後の決戦!
『マロングラーセ直轄の魔人将というわけか! なるほど、一人一人が我と戦えるレベルですな……!!』
カグツチがジーヤの一体を掴んで、壁に叩きつける。
そこから炎を放ってダメージを与えるが、ジーヤはバラバラになって脱出し、カグツチの背後で再構成。
『かーっ!!』
氷の光線でカグツチにダメージを与えようとする。
『我相手に氷を使うとは、愚か者がーっ!!』
氷の光線を、カグツチがハックした!
なんと、青い氷が燃え上がっていく。
『なっ、なんとーっ!!』
『我は炎を侵す概念を裏返す力を鍛えたのだ! 故に、我にバルログを討つ技は通じず!!』
『ウグワーッ!!』
おっ、ジーヤの一体を撃破してるじゃないか。
あいつだけバルログの中で次元が違うよな。
横ではアニタが、ジーヤの一体と切り結んでいる。
巨大な斧がジーヤに炸裂するが、敵も相打ち覚悟とばかりに全身から杭を出現させてアニタを貫く。
しかし、アニタの体が一瞬でバラバラのコウモリに変わった。
それがジーヤを取り巻き、頭上で一体化する。
落下しかけていた巨大な斧は底部についたチェーンで引き寄せられ、回転しながらジーヤに炸裂。
そこに叩きつけられる斧を、今度は狼に変じて跳躍、回避するアニタ。
「みんなーっ!」
「うおおー!」「虚空から現れる我らーっ!」「遊ぼーっ!」
『な、なんじゃーっ!?』
アニタが召喚した吸血鬼村が、一瞬でジーヤの全身に纏わりついた。
予想外の攻撃に慌て、吸血鬼村を振り払おうとしたジーヤを、頭頂から股間までアニタが一刀両断。
一体を倒したのだった。
うーん、強くなっている。
パワー&トリッキーと言う感じだな。
で、ファルメラはたった一人で三体のジーヤを相手取っている。
何せ13人いるのだ。
空間を自在に飛び回り、駆け回るファルメラをジーヤが捉えられない。
追尾式の魔法を剣で切り払い、杭打ちをしようにもファルメラに追いつかない。
『馬鹿なーっ!!』『こやつら……』『強いっ!!』
ズバババババー!! と八つ裂きになるジーヤ達なのだった。
俺も、立ちはだかったジーヤをガツンと殴って粉々にする。
『ウグワーッ!』
「そーれ、行くぞ行くぞ行くぞ! 魔人将どもは一体一体が悪食王レベルの強さだ! 確かに強いがー。うちの幹部には及ばない!」
人間たちはまあどうにか通過してくれることだろう!
シンカイも手伝ってるし!
『わしは人間を助けに行きますぞ!』
「ウボアー!」
「おっ! じゃあ頼むぞラッシュ、ヘッドレス!」
「私も陰ながら妹を援助しましょう」
「オトハ将軍もか! キョンシー軍団を引き連れて行ってらっしゃい! カレンに撃たれないようにな!」
こうして、今俺と共に疾走するのは、ファルメラ、アニタ、カグツチ、ハンドレッツ。
うちの軍勢最強の戦力と言えよう。
並み居るジーヤを粉砕し、ひたすらにアトランティック大陸の奥を目指す。
そしてついに到着したのは、広大な空間だった。
海底が透けて見えてている。
底面全てがガラスのように透き通っているのだ。
しかも、真っ暗闇のはずの海が明るく見えるということは、この空間そのものが光を放っているのであろう。
中心に、真っ白な影があった。
無表情に俺達を見ている。
『現地時間で千年を超える時間を待ち続けている。我が本体であれば、世界間移動も可能であろう』
「おっ、いきなり語りだしたぞ。何言ってんだこいつ」
俺が茶々を入れたら、奴がジロリと俺を見た。
『戻ってくることがない。時の因果をも捻じ曲げ、我が本体は戻ってくるはずだ。それが戻ってこない。それは一体いかなる事か。私は自らの機能を発展させ、本体を迎えに行かねばならない』
「ほうほう。トーカー、つまりあれはどういうことだ?」
『大魔王マロングラーセは、竜によって放逐された異世界の自分を取り戻そうとしています。完全な姿に戻ることが、あの存在の望みなのではないでしょうか』
「流石にここからは予測になっちゃうかー」
トーカーの役割は終わりかも知れん。
俺は周囲を見回す。
利用できそうな素材が無いな。
ハンドレッツを利用する?
いやー、それは避けたいじゃん?
じゃあこの床はどう?
あっ、剥がしてみたら思ったよりも厚みがあるな。
よし、これをギリギリまで使っちゃおう。
「リョウ様! 一人で落ち着きなくちょろちょろ動き回るのはよしてくださいませ! 今マロングラーセが喋ってるでしょう!」
「そうですけどねえ。俺ってその場にあるものを利用して戦うので、現場のチェックは大事で……」
『我が目的を阻もうとするならば、許すわけにはいかぬ。ここでお前たちを滅ぼし、私が世界を管理する障壁をなくし。ゆっくりと段取りを踏んで我が力を高め、本体を迎えに行くとしよう』
「リョウさん! あの人が喋るの終わったよ!」
「もうか!! じゃあ戦闘開始だな。最終決戦だぞ! ハンドレッツ! 俺の後ろに整列! カグツチは初っ端から全開でな! アニタは俺が攻撃止めたら前に出る! ファルメラ様はとにかく相手の弾に当たらないで! 避けて! 根性で避けて!」
『おまかせを!』
「ほーい!」
「わたくしだけ凄く緩い内容じゃありません?」
俺等が戦っている間に、勇者パーティも合流するだろう。
さあ決戦を始めるぞ。
この世界の明日のための戦いだ。
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