第106話 合流、リョウ&フレンズ軍
ゴリッとえぐれた太陽帝国。
本土に当たる部分が全部無くなっている。
俺が思うに、ここでマロングラーセが復活したんだろうな。
で、奴の余波で太陽帝国が消滅した。
そこで気に入られて生き残ったと言うか、作り変えられたのが悪食王と海賊王というわけだ。
「なんとも恐ろしいものですな……。我らバルログもこのようなことはできません」
「そりゃあそうだ。だって相手は俺よりもヤバい大魔王だぞ? 二回遭遇したが、あれがほんの一部に過ぎない欠片だなんて信じたくもない。本物はどれだけヤバかったんだ」
俺は今まで、勝てる戦いしかしてこなかったし、危なそうなのは上手く避けてきたからな。
だが、今回は本格的にぶち当たらねばならない。
勝てる戦いをしたいなあ!
「リョウさーん! あっち! あっちにみんながいる!」
「なんだってー!」
大変高いところまで飛び上がっていたアニタが、遠くを指差した。
そちらを見てみると、崩れ落ちた太陽帝国の跡地に、リョウ&フレンズ軍が集まっているではないか。
「なんだお前ら、こっちまで駆けつけていたのか! おーい! おーい! よし、アンゴルモア、迎えに行くぞ!」
『ゴアアアアーッ!!』
俺はアンゴルモアに飛び乗り、ふわりと舞い上がった。
人間たちがこれを、呆然と眺めている。
「迎えに行くったって……。戦うのは海の上だろ」「あんな数、どうやって海に出すつもりだ?」「この船まで何回も往復して運ぶとか?」「冗談だろ、とんでもない数だぞ!」
全く、その通り。
この数をどうしたらいいかと言うとだ。
「崩れ落ちた太陽帝国が海底に沈んでいるということは……それだけの素材があるということだ! では……認識する。海底にある無数の資材。そして意識の手を伸ばし……リビルド! 超巨大軍船!」
水中から無数の資材が浮かび上がってくる。
というか、打ち上がってくる。
こいつを、俺がイメージする形へと組み替えていく……。
具体的には、超時空な感じの移民宇宙船みたいな。
空を飛ばすにはこう、俺の力が足りないな。
海に浮かべるものとする……!
出現、全長1200mの軍船!
それが太陽帝国跡地に接舷したので、うちの軍勢がワーッと乗り込んできた。
戦闘はオトハ将軍だ。
「待ちかねましたよ師父!! ついに決戦ですね! ……師父? 何を微妙な顔をされているのですか」
「いやな、ゼクウがめちゃくちゃいい笑顔になりそうなのを察知してな。だが、俺もちょっと愉悦ができそうなので揺れている……」
「何を仰っているのですか、師父!」
「具体的にはカレンが向こうの船にいる」
「ああ、なるほど……。全てを察しました。私は妹と会わぬ方がいいでしょう。魔人としての生を受け、あり方が変わった私を、妹は受け入れられますまい。カレンが魔人となり、私が人であっても同じだったことでしょう」
「オトハ将軍はしっかりしているなー」
俺は感心してしまった。
とかやっていたら、水上を走ってファルメラがやって来た。
あなた水の上を走れるのね!?
「右足が沈む前に左足を出せばいいのですわよ?」
忍者みたいなことをいう人だ。
「これから、この船を大海賊船と並走させて戦地を目指すのでしょう? あちらの指揮は人間たちが行うでしょう。こちらはリョウ様。ということは、わたくしもこちらにいなければならないでしょう」
「俺の近くにいたいわけですね」
「んもう。放って置くと何をするか分かりませんもの!」
とかなんだかんだ言って、ずっと一緒にいるんだよなこの人。
なんとも言えぬ嬉しみを感じる。
人間であった頃には一度も感じたことが無かった感情だなあ。
食も睡眠も、人間として持つ欲のほとんどを失って化物になった俺だが、まあ今を楽しくやれているのは、この人のお陰という気もしてくる。
ようーし、それじゃあ一つ、頑張るとするかね!
ぐんぐんと軍船が突き進む。
海賊船がそれに並走してくる。
海賊船はやたらとデカいのだが、デカすぎるがゆえに人が集まるのは舳先の部分になる。
それ以外だと、船が動いていることを認識もできないし。戦いが始まっても駆けつけられないからね。
とりあえず。人間たちは舳先にキャンプを作ってそこで寝泊まりすることに決めたようだ。
舳先と言えど、北九州市くらいの広さを持っている。
いちいちこういうローカルに俺が例えるのは生前はその辺に住んでいたからである。
こうして、太陽帝国跡を横目に、あるいは尻目に大海を探索する。
何年掛かっても、虱潰しにやっていく予定だった。
だが、向こうからやって来たのである。
それは、陸地だった。
平坦な、平坦な陸地が存在していた。
太陽の大海の、太陽帝国から真っ直ぐの場所。
そこに、遠目には分からない陸地があった。
ラッシュを上空に飛ばして初めて発見できたやつだ。
『神様ーっ! あそこだけ、波が寄り付きませんぞ! というか、海の中にぽっかり隙間が空いているような……』
「なんだって」
俺も飛び上がってみて確認した。
なるほど。
明らかに海面よりもちょっと低い陸地が、どこまでも広がっている。
これは、高い所から確認せねば見つからなかった。
「これは明らかに異常でしょ。ということはマロングラーセのしでかした現象であると認定します!」
俺は宣言した。
「リョウ&フレンズ軍、一斉上陸! いけいけいけいけいけー!」
恐らくは最終決戦!
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