第105話 巨大海賊船が内海を抜けるぞー!
穴の空いたところから、人間たちがわいわいと這い上がってきた。
ちょうど崩れたところが坂道のようになってるんだな。
勇者パーティの面々も上がってきた。
めちゃくちゃになっている甲板に驚いているようだな。
「さっき、ゼクウがすげえ勢いで飛んでったと思ったら、頭上の甲板がまとめて焼け落ちたんだ。何があったんだ……!?」
ローデスが来たので、俺はピューッと戻って来て説明することにした。
「実はな、大魔王マロングラーセが来たんだ」
「げっ、リョウ! ……ていうか、マロングラーセが!? そいつがさっきまでいたのか!? なんで!?」
「悪食王と海賊王の裏に、マロングラーセがいたんだ。最近の魔人が跳梁跋扈したりしてたのも、世界の治安が最悪なのも、大本はマロングラーセが悪いんだぞ。なお、残ってるのはほんの一部だそうなんで、多分1割くらいのパワーになっていると思われる……」
「それで、この一角を焼き払ったのかよ!?」
そうなる。
俺がハンマーで破壊した領域を、丸ごと焼き尽くした。
甲板どころか大地まで破壊して、船底とここを直結にしてしまったというわけだ。
なお、そこにアザレアやテシウス、カレンも上がってくる。
横では普通に、ラッシュとヘッドレスが人間たちに手を貸して引っ張り上げてるな。
「ありがとうラッシュさん! ヘッドレスさん!」「魔人にもあんたみたいないい人がいるんだなあ」「ラッシュさんたちとなら友達になれるよ」
『はっはっは! 利害が反したとしても、わしらには言葉がありますからな!』
「ウボアウボア!」
なんでこの二人、人と魔人の未来の形みたいなのを垣間見せてるんだ!?
うーん、未来の可能性を感じる……。
よし、ラッシュ、人間相手は任せた。
こんな異常に気さくな魔人、他にいないからな。
「おっ、関係性見たさにゼクウも来たぞ。せっかくだから今後の対策を話そうじゃないか。みんなこっちに来い」
「命令すんな!」
「そうよ!」
「許されるなら射殺したい!!」
「みんな、穏便に、穏便に……! オルトさんは今は敵じゃないんだから……!」
崩れ落ちた甲板から少し行ったところで、めいめい適当なところに腰掛けて話すことになった。
しかしこの船、でかいなー。
見渡す限りどこまでも続く甲板。
甲板が山になった部分があるだけで、基本的に全て甲板なのだ。
そして島そのものが海賊船になったということは、恐ろしく広い船室なんかがこの地下に広がっているということだ。
甲板では畑作もできるっぽいし、生活するには十分であろう。
これだけでかければ、大きな波が来ても大して揺れないだろうし。
俺が地べたに座ると、ローデスがすぐ目の前に。
アザレアがその隣に座り、アニタも近くに座った。
「あなたねえー! ずっとそうやってローデスの近くに来て!」
「えー!? リョウさんのお話を聞くならここが一番良くない?」
「そ、それはそうだけど! なんでローデスを挟んで座るの!」
「お、俺は大丈夫だから、アザレア」
「私が良くないんです!!」
おお、遠目にこれを見つめるゼクウがツヤツヤしていくではないか。
キモいなー。
「リョウ様も人のこと言えないと思いますわよ」
「そうなの!?」
ショック!
でもファルメラが言うんならそうなんだろうなあ。
「じゃあ話を始める。おーいカレン、弓矢を構えても俺は戦わないからな。そしてやられないからな」
まず、崩れた甲板をリビルドして作り上げるのは、地球儀だ。
ざっと分かる限りのこの世界の姿を、その表面に描き出す。
「俺達がいる大陸はここだ。とにかくでかい。そして向かう先はこの大陸の西端。太陽帝国だな。そこが面しており、俺達が今進む内海を抜けた先が……太陽の大海だ。そこに、大魔王マロングラーセの欠片がいる」
「マロングラーセの欠片……!! 欠片なんですか?」
「そうだぞテシウス。オリジナルがどんだけ恐ろしかったのかは想像もつかないが、なんかとんでもなくでかいドラゴンが三匹でやっと追い払ったんだろう? オリジナルが出てきたら俺等なんぞ終わりだ」
「……リョウにしてはずいぶん慎重な考え方をしてんだな」
ローデス、無謀は若さの特権だぞ。
俺は正直、ヒリヒリするようなバトルには全く興味がない。
一方的に趣味を押し付けて、俺だけ気持ちよくなりたいのだ。
この世界は、いわば俺にとっての遊び場なのだが、それがマロングラーセの存在によって邪魔をされてしまう。
それは困る!
俺はまだまだこの世界で遊びたいのだ。
何せ、やることと言えばこの世界で遊ぶことしかないからね。
いつか滅ぼされるその日まで、この世界を遊べる状態に維持すること。
それが俺の目標となるのだ!
「ということで、大魔王マロングラーセを倒した後、しばらく俺は魔人の王国を強化する。そうなると人間の世界はしばらく平和になるので、ここで数を増やしてもらって。戦い方を洗練してもらって魔人と戦えるようになってもらって……という皮算用をしている」
「なるほど……。オルトさんは人間の敵……というわけではなく、世界の管理者でもあると……。僕らにあなたを倒すチャンスをわざわざくれるということは、本当に何もかも全てをゲームだと思っているんだね。僕らはそれを利用することができると……」
「そう、その通り! テシウスは賢いな……。とか話をしていたら、そろそろ内海を抜けるぞ。マロングラーセがいる太陽の大海だ!」
内海も広かったのだが、ここからは果てしなく広がる大洋となる。
どこにマロングラーセがいるのか……。
それを確かめなければな、と思いつつ、太陽の帝国側に目を向けた俺だ。
「あれっ!? 太陽の帝国にあたるところがまるごと削り取られてるじゃん!!」
大陸の一部がごっそり削られ、無くなっていたのだ!
あれがマロングラーセの力かあ!
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