第102話 島が丸ごと海賊船に!
俺達が近づいたオリュンポッサだが、いきなり島全体が揺れ始めた。
なんだこれはーっ!
目の前で、島が持ち上がっていくではないか。
島って言っても、九州くらいある島だぞ?
それが持ち上がったのだ。
これは……島そのものを船に改造しているのではないか。
あるいは、マロングラーセから受け取った力がこれなのではないだろうか。
うーん、流石に俺もびっくりのスケールだ。
『驚かれましたか』
「驚いた。シンカイがいつまでも海賊王にトドメを刺さない理由が分かった。こんなでかい船にいたんじゃ、乗り込めないもんな」
『はい。端から破壊することはできても、流石に規模が大きすぎて我の手が届きません』
「シンカイは水中専用だもんなー」
人間たちもワイワイ騒いでいる。
動揺しているんだろう。
だが、これは人間サイドが得意だと思うぞ。
「おーい! こんなにでかいなら乗り込み放題だぞ! やっちまえ人間ども!」
「なんだとー!! いや、だが言われてみれば」
人間側でもそんな反応があった。
船は次々、オリュンポッサが変化した海賊船に取り付いていく。
もうこっちを全く視認できないレベルのデカさなので、取り付き放題なのだ。
なんで船にしちまったんだろうなあ……。
ロマンだからだろうなあ……。
『神様ーっ! こやつ、移動を開始していますぞ!』
「なぁにぃー!? どこにだ?」
『ひたすら西に西に移動していますな! これは……太陽王国に向かっているのではないですかな?』
「なーるほど。こいつ、悪食王と合流するつもりなのか!」
ラッシュの報告で完全に納得した。
この広い船の中を徘徊して海賊王を探すのもいいが、奴が悪食王に合流したら自動的に出てくるではないか。
「よーし、俺達は船の上の方……つまり、島に上陸して歩き回ろう」
「おーっ! 陸だー!」
「参りましょうか」
「我も流石にこれは驚きましたな」
ということで、アンゴルモアを羽ばたかせて巨大海賊船の上へ。
すると、海賊王の軍勢がワーッと出てきた。
というかやっと船べりにたどり付いた感じだ。
みんなちょっと疲れてる。
この船、広すぎるもんなあ。
「だが、俺達は同情もしないし手加減もしないぞ。やっておしまい」
「いっくぞー!!」
アニタが突っ込んでいった。
と思ったら、吸血鬼村が全員出てきた。
いきなり向こうの軍勢に拮抗できる人数になったなあ!
しかも質はこっちが圧倒的に上だ。
アニタ率いる吸血鬼村が、一瞬で向こうの軍勢を圧倒、粉砕する。
「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」……
断末魔が響き、とりあえず駆けつけた敵は全滅した。
「いきなり大所帯になってしまった。アニタ、すぐに吸血鬼村のみんなを呼んだらだめだろー」
「えー、だって、みんなそろそろ退屈してるかなーって」
「わしらはアニタが呼んでくれたら駆けつけるからの!」「アニタ姉ちゃんを守るぞー!」「気がついたら、アニタが俺達のリーダーみたいになってたなあ」「あのアニタちゃんがねえ、びっくりよねえ」「あれ? ギリアのやつがいないぞ」
ギリアって、あの手癖が悪いおばさんか!
ピッキングが得意というおばさんが下手に吸血鬼化したので、手癖が悪くて強いおばさんが誕生してしまったんだよな。
「海賊王の島だって言うから、金目の物を探しているのかも知れない。よーし、みんなでギリアを追いかけるぞー!」
「おーっ!」
アニタと吸血鬼村の面々と、ラッシュとヘッドレスが唱和した。
ファルメラは呆れて物も言えないっぽい。
カグツチは人間の情動はよく分からんということで、流れに身を任せるつもりのようだ。
さあ、奥へ向かおう。
アンゴルモアも徒歩でついてくるぞ。
途中、敵軍が現れると……。
「主よ。今回は我が」
「どうぞどうぞ」
『かーっ!!』
「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」「ウグワーッ!」……
カグツチが炎で薙ぎ払ったり。
「次はわたくしですわね。トゥエルブ・ブレスに魔力を投影できることが分かりましたのよ」
「どういうことなんです?」
「わたくしの分身が十二人出現します」
ファルメラが十三人になった!
な、なんだってー!!
「行きます! はあーっ!!」
目にも止まらぬ速さで疾走するファルメラ×13!!
敵軍があっという間にみじん切りになり、「ウグワーッ!」の断末魔があちこちで響き渡った。
最後に、十二の分身が本体の元へ集まると、光の玉になってブレスレットへと戻るのだった。
「派手~!!」
みんな成長しているなあ。
俺はしみじみした。
なお、敵が多いのでラッシュとヘッドレスは応援役だぞ。
お前たちはそのままでいいからな……。
ワイワイ追跡していたら、とうとうギリアを発見した。
明らかに金持ちっぽい屋敷に潜り込み、金庫をカチャカチャやっているところを確保したのだ。
このおばさん、人間の時も犯罪みたいなことしてたんじゃないのか……?
「いいじゃないかい! 海賊なんて盗人と一緒だろ? 海賊から盗んだって構わないさね!」
「そりゃあそうなんだが、せっかくならこんなチンケなところじゃなくてだな。おばさんの犯罪センスを活かしてだな」
「人聞きが悪い!」
いや、まんまだろあんた。
「海賊王の館を探してくれよ。そこに盗みに行こう!」
ハッとするギリアおばさんなのだった。
いや、ハッとするなよ。
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