第101話 呉越同舟!
「いざ、オリュンポッサ海賊王国へ!!」
俺は元気に宣言をし、アンゴルモアを水に浮かべてスイーっと移動させる。
横を、人間たちの船団が、常にこちらへ矢を向けながら移動していく。
うんうん、分かる、分かるぞ。
完全にこっちは脅威にしか見えないもんな。
そもそも、俺達と海賊王の軍勢の見分けもつくまい。
あっちのほうがより魔人っぽいからな。
俺の軍勢はまんま人間に見えるやつか、人間からめちゃくちゃかけ離れたやつしかいないのだ。
なんかローデスとテシウスが物言いたげなので、向こうを訪れることにした。
アニタを連れて行くぞ。
あっ、ファルメラまでついてきた。
「わっ、こっち来たぞ」
「物言いたげだったので聞きに来たよ」
俺が向こうの甲板にふわりと降り立つと、周囲がざわついた。
警戒されている。
まあ、警戒したって無駄なんだが。
「あの、オルトさん。僕はずっと聞きたかったのですが」
テシウスの発言だ。
「はいはい、なんだい? 何でも答えるぞ」
「この人、嘘偽りなく本当に何でも素直に答えますから、気を悪くなさらないでくださいね」
ファルメラがフォローした。
なお、アニタは物珍しそうに船の中をキョロキョロしていた。
そしてアザレアを見つけて、ぱたぱた駆け寄っていく。
「ぎゃーっ、こっち来た!」
「ローデスと仲良しの女の子でしょ? 色々お話聞かせてー!」
ってことで、俺とテシウスのお喋りだ。
「僕が出会ったオルトさんは、偽物だったんですか? あなたは何を目的にしているんでしょうか。僕には分かりません。まるで刹那的に、その瞬間瞬間でやりたいことだけをやっているようで……。寺院でも、あなたは結局行きずりでしか殺さず、何も奪わずにいなくなってしまったから」
このことにはローデスも興味津々なようだ。
「そうだ! リョウは何を考えてるんだ? 俺はそれが知りたい! あんたは敵なのか……いや、敵なのは間違いないけど……」
「よし、順を追って答えよう。まず、テシウスの、俺が刹那的に好き勝手やってるって見立て、それは正解だ。俺はやりたいことを持っていない。目的も目標もないんだ。圧倒的な力と、その使い方だけが俺の中にはある」
俺の説明に、テシウスが目を丸くした。
「恐らく俺のもとであったオルトファースには、目的があったんだろう。その目的のために戦い、奴は倒された。で、俺はあいつの肉体を得て、あいつよりもずっと上手くその力を使いこなしている自負はある。むしろパワーアップしてると思う。だが、力があることと目的があることは全く別の話なんだ」
「リョウ様は言うなれば……悪趣味。己の悪趣味嗜好を満たすためだけに活動していますわ。魔人たちを統率して魔王となったのも、そのための拠点を作るのも、人間たちを殺すのも、全てその副産物。現にリョウ様は、話ができる人間を殺しませんもの」
ファルメラが補足してくれた。
「そういうこと! なので、俺は敵でも味方でもない。意味の分からない災害みたいなものだと思って欲しい! もちろん、交渉ができるなら一定期間は危害を加えないぞ。気が変わると加えるかも知れない……」
「な……なんてたちが悪いんだ。でもその割には、アイハムの事は気に入ってたんだな」
「あいつは最後まで誰かを守る事を俺に願いながら死んだからな。死んだらもうそこで印象変わらないだろ。だからあいつは今でも、俺にとっては友達だぞ」
とか喋っていたら、向こうでカレンがアニタにバンバン弓を射ているところだった。
アニタはこれを斧を回転させて防いでいる。
「あはははは! たのしーい! あなた強いねー! 今度はこっちから行っていい?」
「化け物めーっ!!」
「アニタやめなさーい! カレンもやめような」
「お前が! お前が私の名を呼ぶな! この魔王め!!」
矢が飛んできた。
俺は白刃取り!
「オトハ将軍も元気にやってるぞ。悪食王をボッコボコにぶん殴ってたからな。生き生きとキョンシー軍団を率いて戦ってる」
「姉さんが!? お前は……姉さんを化け物に変えて……!!」
「やっぱり邪悪なのねこの男……! ここで仕留めなくちゃ……! いや、でも、私たちの力ではこの男どころか、こっちのうざい女も倒せない……!」
ギフトの力に磨きをかけて、世代を重ねたりしてパワーアップしてくれ!
「リョウさんに言われたから勝負は無しだね……。残念……!」
「じゃあ撤収~」
「今回は大人しかったですわね。騒ぎが起きなくて何よりですわ」
「俺、常に血を求めてるわけじゃないからね? 今はマロングラーセを滅ぼすのが最優先だし、その後はしばらく国造りでしょ」
魔王の土地を作るには、何年も何年も掛かりそうだし。
なお、ゼクウがこの人間模様を見て実に嬉しそうなのだった。
こいつ、やっぱり関係性フェチでもあるじゃないか。
この変態めえ。
「お前もなー」
俺の心を読んだ!?
なんて気持ちの悪い男だ。
アンゴルモアの上に戻ると、カグツチが坐禅を組んで精神集中していた。
水は大敵だから、ここなら精神修養ができるのかも知れない。
そしてラッシュとヘッドレスは釣りなどしている。
「その釣り竿どうしたんだ?」
『船の人間からもらったのですぞ!』
「いつの間にコミュニケーションしたんだ!!」
ラッシュのコミュ力、凄く高いのではないか……?
そんな緩やかな時間を過ごしつつ、呉越同舟船団の先に見えてきました。
オリュンポッサが!
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




