第100話 勇者たちと合流で報告会
ギロチノス王国を再生させるのだが、何せこの国は広い。
俺達が攻め込んで悪食王と戦ったのはこの国の首都だが、この他にも地方都市みたいなのがわんさかあり、人間たちに下げ渡す予定の南部は農業が盛んだったりするのだ。
ここは内海からは遠く離れているから、海の戦いの様子は見えないなー……なんて思いつつ、数日かけて王国の形を大体再現した。
そして悪食王の部下をリサイクルして俺の手下にし、
「ここを守るように! いいな!」
と言い聞かせた。
うちの軍勢もまあまあ疲弊してきたので、しばらくはギロチノス王国にてお休みすることとする。
決戦は、ダイコウカ太陽帝国。
そこに行くために万全の準備を整えねばならない。
「てことで、勇者と合流するぞ。誰がついてくる?」
「ではわたくしと」
「あたしと」
『わしと!』
「ウボアー!」
「我が参りましょうか」
カグツチを加えた、いつものメンツね!
「じゃあこっちのギロチノスは、オトハ将軍とヘルガーディアンとクローバーで統治しておいて」
「分かりました、師父! おまかせを!」
『ギロチノス王国の文化を発掘し、記録しておきましょう』
「可愛い女の子とかいないんです? いないの? がっかりだなあ」
てことで彼らに任せて、俺達は南下。
ひたすらに南下するのだ!
全員でドラゴンゾンビの背中に乗っているので、速い速い。
「そう言えば、ドラゴンゾンビに名付けるんだったな……。どうしようかな。空を飛んでくる死そのものみたいなやつなので、アンゴルモアと名付けておこう」
『ギャオーン!』
名付けられてご満悦のドラゴンゾンビ、もといアンゴルモアなのだった。
あれ?
名前をつけたら灰褐色だった肌色が、青く変わってきてない?
パワーアップしたの?
「リョウ様はホイホイ名付けないのが一番ですわよ? とんでもないことになるんですから」
「分かってますよ分かってますよ。おっ、三時間飛行しただけで内海が見えてきた」
「アンゴルモア速いねー!!」
『わしが飛ぶよりずっと速い!!』
「ウボアー!」
「我も飛ぶのは苦手ですからな」
「よしみんなちょっと待ってろ。シンカイに呼びかけて、勇者パーティと合流するから。シンカイ、シンカイ、聞こえるか……」
『聞こえております!』
俺の脳内にシンカイの声が聞こえた。
どこかなどこかなー。
あいつも俺の存在を目印に、近い沖にやって来ていると思うのだが。
「人間どもの船が来ていますな」
「ほんとだ。あのへんかなー。アンゴルモア、着地! 着地ー!」
『ギャオオオオンッ!』
一声吠えると、ゆっくり降下していくアンゴルモア。
船団が戦闘準備を始めたが、その前にドカーンとシンカイが出てきて、
『我が主は戦う意思はありません!!』
と大声で宣言した。
そうしたら戦う準備をストップする船団なのだ。
シンカイ、すっかり人間に信頼されているなあ。
あいつは俺の命令が無い限り、他の存在に危害を加えたりしない紳士だからな。
ということで、アンゴルモアが陸地に降りた。
そこから俺達も降りて、海辺にて待機。
船団からは幾艘もの小舟が出てきて、その上に勇者パーティが乗っているのだ。
「来たな、リョウ!」
「ああ。こっちでは悪食王を一時的に倒したぞ」
「こちらは海賊王の部下である大船長三名を撃破した! これから、海賊王との決戦だ!」
ゼクウが出てきて、報告会をするのだ。
なるほどなるほど。
海上だけあって、ゆったり進んでいる感じか。
確か、海賊王が拠点にしているのがオリュンポッサ海賊王国だから……。
「よし、俺達も同行して、海賊王を速攻で片付けよう。こっちは大魔王マロングラーセが出たんだ」
「なんだと!?」
「やはり奴は悪食王を利用して復活していた。海賊王も同類だから、倒すとマロングラーセが出るぞ。俺達がいて、戦力が強いほうが犠牲は少なくなるぞ。どうだ」
「俺はいいと思う」
特に敵味方とかにこだわらないゼクウなのだ。
なお、勇者パーティの少年少女たちはなんかわだかまりがあるのである。
「アニタ!」
「あっ、ローデス久しぶりー! 背、伸びたねー!」
「アニタは変わらないな……」
おっ、少年少女が再会した!
ゼクウもハッとしてそっちを見る。
「リョウ、これはどういうことだ。こっちにもボーイミーツガールがあったって言うのか」
「実はそうだぞ。ローデスを挟んで、アニタとアザレアの三角関係だ」
「むおおーっ!!」
ゼクウが興奮した。
こいつ、関係性オタクでもあったか。
アザレアはアニタを睨みつけている。
「ローデス! この女、人間じゃないわ。気をつけて。恐ろしい……強大な魔力を感じる……」
「はじめまして! アニタだよー。あなたは何ていうお名前なの?」
「恐るべき魔人相手に名乗るものですか!」
ローデスが二人の間でオロオロしている。
ゼクウがこれを見てツヤツヤしている。
「リョウ、ぜひとも俺達と一緒に来てくれ! 俺の精神衛生にとてもいい……。こんな、こんな関係性を拝めるなんて思ってもいなかった……。あ、カレンがお前を狙っているから気をつけてな」
「なんだって」
シュバッと放たれてくる光の矢なのである。
だが、これはカグツチが真横から掴み取った。
「主に攻撃を加えるとは、人間のくせに身の程知らずが!」
「カグツチ、どうどう。あっちは俺を狙う正当な理由があるからね……。いよーう、テシウス! ちょっとカレンを抑えておいてくれ! 俺を狙うのは、海賊王と、その後ろにいるマロングラーセを下した後でもいいからな!」
「あ、うん! ……オルトが凄くフレンドリーに接してくるなあ……。調子が狂うよ」
「あいつは魔王だ! 倒さなきゃいけない存在なんだ! あいつのせいで、姉さんが……!」
オトハ将軍ならうちで楽しく魔人将をやってるぞ。
この辺の話も、カレンには教えてあげたいところだな。
こうして海賊王を目指す行軍が始まる。
まさしくこれは呉越同舟なのだ。
お読みいただきありがとうございます。
面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。




