幸福への軌跡
私は千花と付き合うことになった。
ぽっかり空いた空白を埋めるような突拍子のない話ではない。
私たちは高校の頃から相思相愛で今もなおお互いのことを気にかけていたというだけの話だ。
高校時代、私たちは家族にも誰にも言えなかったが友情では説明のつかない熱を帯びた体で結び合う関係だった。初めて誰かを愛し、求め合うことをお互い知った。
しかしお互いの進路が分岐点となり、離れざる得なくなった。
立派な大学を出てキャリアを目指す私と、自分のやりたいことを見つけられず焦っていた千花。
お互いを想う気持ちが強すぎた故に将来という不確定なものに解を見つけられず疎遠となってしまった。
実家に帰省した時に偶然に千花と会った時に、千花が婚活パーティに誘ったのは単なる数合わせではなかった。「理紗にもう一度会いたかったから」後になって千花は照れ臭そうにそう白状した。
お互いに別の誰かを探すフリをして、実は一番失いたくなかった過去をもう一度取り戻そうと、やり直そうとしていたのだ。
そしてパーティが終わった後に二人でカフェに行ったり、自然公園歩き周ったり、高級なレストランに行くうちに私たちはあの頃の新鮮な気持ちを取り戻して行ったのだった。
「ねぇ、理紗。今度はもう離れないよね」
ソファで隣り合い、千花が私の肩に頭を預けてくる。彼女の体温は心地よく、私はその細い指に手を重ねる。
「…うん、未来のことはわからないけど、少なくとも今は千花と一緒にいる選択肢しかない」
高校の頃があり、私は自信を持って言えなかったが、その不器用な愛の言葉に千花は満足そうに幸せそうに笑みを浮かべた。
ふと、ニュースの音声が耳に飛び込んできた。同性間で互いの遺伝子を受け継ぐ子を持つという医療が実用化され、保険適用になる見込みのようだ。




