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ダブルデート?

「えっ、あのパーティで同席だったあの女と二人でカフェに行ったって、何かの勧誘じゃないの?」

幼馴染の千花(ちか)に先日のカフェの経緯を通話で話すと身もふたもない言葉が返ってきた。

呆れたような感じで私も苦笑いするしかない。

「そういう人じゃないよ。育ちのいいお嬢様みたいで庶民の友達を作ってみたいって感じかな。」

「うわー…なんか無自覚に上から来そうで嫌だなぁ。理紗、騙されてない?」

「天然系でいい人だと思うけどね。私は」

「ふーん。まあ理紗がそこまでいうなら放っては置けないけどさ。で、私も一緒でいいの?」

千花は疑念があるようだが、結局は付き合ってくれるようだった。

深月の付き人である伊織も含めた四人での外出。

今の関係性からはタブルデートのような甘い感じにはならないと察せられた。


そしてお出かけの日の当日。深月とカフェで出会った日の次の週の土曜日に私たちは深月と伊織が滞在しているホテルで合流し、深月の希望で近郊の自然公園に向かった。

運動と気分転換を兼ねて歩きたい、というのが彼女のリクエストだった。

千花は内心の警戒心を表に出さず、持ち前の人当たりの良さで自然に振る舞っている。

一方の伊織は付き人という立場に徹しているのか、静かに私たちの後方に控えていた。


「わぁ…この公園、すごく広くて緑も深くてずっと来たかったんだ」

初夏の風に長い髪をなびかせ、深月が子どものように無邪気な笑顔を見せる。

その輝きはとうに私から失われた強い想い思い出させるようだった。かわいい。


「私は少し離れて歩きますね。」

園内に入ってしばらくすると伊織が短くそう告げて3人から不自然にならない程度の距離を置き始めた。


「いいの?あの人離れちゃって」

気になって深月に確認するが、彼女は気にする様子もなく、楽しげに歩を進める。

「いいの、いいの。今日は三人でたくさんお話ししたいから」

女三人よればかしましい、という言葉を彼なりに配慮した結果なのだろう、そう思うことにする。


「理紗さんと千花さんは昔から仲良いんですか?」

歩調を緩めた深月がふとした様子で私たちに問いかける。

「高校まではよく一緒に遊んでたかな。卒業してからはお互い別の道に進んでしばらく連絡とってなかったけど、最近地元で再開してからまた連絡取るようになった感じ。」

「そうなんですね。二人は…長く仲の良い幼馴染なんですね。」

「どうだろう。もはや腐れ縁に近いかもしれない。」

私が腐れ縁というのが千花の気に障ったようでムッとした表情を浮かべた。

「ちょっと、理紗、腐れ縁はひどくない?地元で会った時も私が勇気を出してこっちでも一緒に会おうと行ったのに。」

「勇気っていうか単なる数合わせだったような記憶が。まあそういう気兼ねのなさが良くも悪くも幼馴染ってことなんだろうけど。」

私が肩をすくめると深月はどこか遠くを見るような愛しむような瞳で私たちを見つめた。


「ふふっ。そんなことないですよ。お二人はとてもお似合いに見えます」

「お似合い?それっ何かバカにしてる?」

千花はさらに眉をひそめて言い返した。彼女にとって私とお似合いと言われることは気恥ずかしさと同時に今の微妙な距離感を逆撫でされるような響きがあったのかもしれない。

「バカになんてしてません。ただお二人の関係、とても素敵だなって。羨ましく思うくらいです。」

深月はバカにするどころから心底眩しそうな顔をした。その表情があまりに純粋だったため、千花もそれ以上毒づくことはできず、気まずそうに視線を逸らした。


表情の豊かさ、ふとした瞬間の仕草や物言いを見ていると深月と千花は全く別の世界に住んでいるようで、案外似たもの同士なのではないか、だからこの二人は相容れないところがありそうだった。


「理紗さん、あっちに綺麗な花が咲いてますよ、行ってみませんか?」

唐突に深月に袖を引かれた。会話は深月と私の間で話は進む。

千花は二人の間に入り込めず面白くなさそうだ。表情がさらりむっつりして足取りも重い。


「千花?どうしたの?早くおいでよ。」

私の呼びかけに彼女は「…別に」と短く答えるだけだった。

千花が寂しさと言いようのない孤独感を感じているだろうことは想像ついたが、私はそれでも深月との会話を止めることはできなかった。

それだけ、深月と話すことは楽しく、心から喜びを感じられたからだ。

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