第96話
竜は驚く。
その昔『竜を倒すための武器』『ドラゴンスレイヤー』で攻撃をしてきた人間がいた。
その武器で攻撃されると自分が"人間ごとき"の攻撃でかすり傷を負わされるのだ。
しかし、それはあくまでかすり傷。
人間ごときに自分の進撃を止める事は出来ない・・・そう思っていた。
だが、目の前に立ちふさがる二人の人間は明らかに違う。
竜は進撃の足を止めた。
一人は素手で攻撃してくる男だ。
素手の攻撃なのにきちんとダメージが通る。
もう一人は小刀を持った女だ。
その女の攻撃もダメージが通る。
だが、そのダメージ量はいずれも常に発生しているダメージの回復量より少ない。
ただ竜の攻撃も二人には全く効いているようにはみえない。
竜対俺とアイアちゃんは今の所互角だ。
長引いても不利にはならない。
どちらかと言えば、燃費の悪い竜の方が不利になるだろう。
だが、互角だとして『どちらに足を引っ張る要素があるか』と言われたら間違いなく、こちら側だ。
こちらにはレダちゃんとレンちゃんがいて、俺らは二人を庇いながら闘わなければならない。
レダちゃんがどの程度出来るかは未知数だが、レンちゃんはおそらく竜の本気の一撃に耐えられない。
俺が竜を挑発する。
レンちゃんが竜の攻撃の標的にならないように。
アイアちゃんにもそのおれの思惑は伝わっているようだ。
出来るだけレンちゃんやレダちゃんと離れて闘おうとしている。
そんな二人の思惑は、知能の高い古代種の竜には伝わらない訳がない。
(アイツらに攻撃すれば良いのか!)
竜は反転するとレダちゃんに突っ込んだ。
しまった!。
レンちゃんにばかり気を取られていた。
逆をつかれた。
もう間に合わない。
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「いいかい?。カポエラは奴隷が支配者に噛み付くために産み出されたモノなんだ。
『力がない者が力がある者を倒す』、それがカポエラなんだよ。
ばあちゃんは異世界へ来て、素手でドラゴンを倒すくらい技を磨いたんだよ!。それが『ドラゴンダンス』だ!」
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レダちゃんはまるで竜を翻弄するように踊った。
そしてレダちゃんは竜に下顎蹴を放った。
綺麗な蹴りだ。
しかし威力もスピードも足りない・・・はずだった。
竜は痙攣し、動きを止めている。
「あそこら辺にコイツの弱点があるさ」とレダちゃん。
「占うからちょっと待って!」とレンちゃん。
レダちゃんが『あそこら辺がコイツの弱点だ』と言った当たりに『鋼鉄のタロットカード』が飛んで行く。
タロットカードは竜の喉付近に当たり弾かれて下に落ちた。
いや、下に落ちる寸前にレンちゃんの手元に戻っていく。
「ホラ、一枚だけ竜の喉元にタロットカードが刺さっています。
そこが竜の弱点よ!。」とレンちゃん。
よく見ると竜の喉元に『死者』のタロットカードだけが刺さって残っている。
「逆鱗か!」俺がハッとして叫ぶ。
逆鱗とは竜の鱗が唯一逆さまにはえている箇所で、顎のしたあたりにある。
竜の弱点で触られただけで凄く痛いらしい。
竜は一つの種類ではない。
蛇タイプ、トカゲタイプ、鳥タイプなどがいる。
ただ一つ共通点を挙げるなら『逆鱗が弱点』という一点だ。
アイアちゃんが逆鱗のあたりにナイフを深く刺す。
古代種の竜はズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンと振動を立て、そして動かなくなった。




