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第94話

 暗い。

 松明が一切ない。

 これが示している事実は『ここは未踏破階層だ』という事だ。

 一度でも冒険者が足を踏み入れたなら、松明が燃え尽きた跡があるだろう。

 「本当にこの扉の先に進んで良いの?。」普段であればそこまで慎重にならない俺だが、レンちゃんを連れているという事でアイアちゃんに何度も問い返す。

 アイアちゃんはこういう時、ブレーキになってくれる。

 ・・・普段であれば。

 「話題についていけない」というだけだはなく「恋愛において、出し抜かれた」という思いが強いのだ。

 『恋は盲目』・・・危機管理意識が今のアイアちゃんからは飛んでいる。

 「『ライト』」俺は部屋を明るくする。

 どうやら見渡す空間にモンスターはいないようだ。

 だが、アイアちゃんがモンスターの気配を察した。

 「こちらの通路の先に一匹、モンスターがいます。

 相手もこちらに気付いたようです。

 こちらに来ます。

 どうしますか?。」とアイアちゃん。

 どうするもこうするもないよ。

 「とりあえずレンちゃんは闘わないで。

 防御を最優先で考えて。

 レダちゃんはレンちゃんを守りながら闘って。

 俺とアイアちゃんはモンスターをとにかく殲滅するよ。」と俺。

 「「「了解です。」」」皆が口々に言う。


 レンちゃんの前で、レンちゃんをブロックするようにタロットカードが空中で並ぶ。

 こういう使い方も出来るのか、タロットカードマジかっけー。

 敵モンスターがだんだん近くなってくる。

 敵モンスターの足音が近くなる。

 足音が近くなってみるとわかる。

 この足音は、この振動は、敵モンスターは巨体だ。

 ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン、ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン

 モンスターの足音が振動となって伝わる。

 おい、おい、ちょっとこの足音は大きすぎやしないか?。

 「少し見てきます」アイアちゃんが偵察として先行する。

 しばらくするとアイアちゃんが走って戻ってくる。

 アイアちゃんの走るスピードは新宿~箱根の間を数分で何往復も出来るほどのスピードだ。

 「逃げて下さい!」アイアちゃんはモンスターに追われている。

 しかもそのモンスターはアイアちゃんを追い詰めるほどだ。

 無茶苦茶素早い、何者なんだ!?。

 「無理だ。」レンちゃんを背負って逃げれる相手じゃない。

 「レダちゃん、迎え撃つよ。

 レンちゃんを護るのが、最優先ね。」と俺。

 初めてのパーティとしての死闘が始まる。

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