第91話
トレーニングが終わり下宿に戻る。
レンちゃんは広島の家に帰った。
明日は土曜日、大学は休みだ。
予定ではレダちゃんとレンちゃんとでダンジョンに潜るつもりだった。
だが、レンちゃんの能力がまだ海の物とも山の物ともわからないうちに行動に移すべきだろうか?。
今夜自主練は中止。
今後の計画を練ろう。
だめだ。
良い案が浮かばない。
俺が頭を抱えている時、レダちゃんはマンガを開いていた。
文字は読めなくても絵はわかるしな。
日本語勉強するには良いかも知れない。
「何を読んでいるの?。」
「これさ」
「ドラゴンボールか。
どう思った?」
「『!』が多いさ。」
「それが『ドラゴンボール』だからね。」
「あとは浮いてる人が多いさ。」
「格闘家はみんな空飛ぶ世界観だからね。」
「格闘家じゃなくても飛んでるさ。」
「え?誰の話?」
「この人さ。」
「あぁ、占いおばばね。
たまに格闘家じゃなくても浮いてる人出てくるんだよ。」
「あぁ、占い師ね。
それでか。」
「いや、占い師が浮くのは変でしょ?。」
「変じゃないさ。」
話が噛み合わない。
話していると感じる。
「占い師と超能力者の区別がない。」
ハッと気付く。
中世以前、『占いと予言』の線引きが曖昧だったと聞く。
『魏史倭人伝』によると卑弥呼は鬼道により政治を行っていたという。
『占い、呪い』がオカルトではなかった時代の人間にとっては『占い』と『超能力』は同じ物なのだ。
これは試す価値がある。
超能力の訓練をすれば、レンちゃんの魔力は上がるんじゃないだろうか?。
つまりレンちゃんは『超能力者』かも知れない。
・・・で、何で超能力の訓練をするのか?。
それは『ESPカード』だ。
「『帰れ』って言ったり『来い』って言ったり、あんまりじゃない?。」レンちゃんが不機嫌に言う。
次の日に試しても良かったんだけど、どうしても今夜中に試したかった。
ダメなら次の策を練らなきゃいけないし。
テーブルに向かい合わせで俺はレンちゃんと座る。
テーブルには裏向きで『ESPカード』が束ねて置いてある。
『ESPカード』の使い方はネットで覚えた。
俺は置いてある『ESPカード』をシャッフルする。
そして俺に見えるよう、レンちゃんに見えないように一枚カードを引く。
俺はカードの柄が見える。
柄は『☆』だ。
「何の柄だかわかる?。」俺はレンちゃんに聞く。
「そんなのわかる訳ないじゃない!。」とレンちゃん。
「ハズレても良いから、思い付いた答えを言って!。」と俺。
「・・・たく、何なのよ。じゃぁ『☆』」とレンちゃん。
俺はもう一枚カードを引く。
今度の柄は『○』だ。
「この柄はわかる?。」と俺。
「何なのよ!?。『○』かしら?」とレンちゃん。
レンちゃんがイライラしている。
本人は気付いていないが、レンちゃんのテーブルの前に置いてある消しゴムがさっきからパタン、パタンと苛立たしげに立ったり寝たり裏返ったりしている。
レンちゃん自身はまだ、自分が超能力に目覚めているのに気付いてない。
結果レンちゃんは『15』の魔力値を手に入れた。




