第88話
忘れてた・・・『民族学』課題が出てたんだった。
一般教養の課題なんて大した事はない。
ノート提出って言ったって、出席票代わりみたいなモンだ。
でもバカには出来ない。
三回ノート提出すれば、テストが0点でも単位が取れる。
逆にいくらテストが良い点でも、ノート提出を一回でもサボれば『A』はもう望めない。
なのでノートを友達に借りて、授業前に必死で写している。
必死でノートを写している俺をレダちゃんが覗き込んでいる。
しまった、この子どこかに置いておかなきゃいけなかった。
レダちゃんが俺が写したノートを読む。
「山田レイラ」と。
「ごめんね、俺今レダちゃんと話してる時間ねーんだわ・・・ってちよっと待って!。レダちゃん日本語読めるの?。」と俺。
「ほとんど読めないさ。
でも教えてもらったから私の名前とばあちゃんの名前は読めるさ。
だからばあちゃんの名前は読めるさ・・・『山田レイラ』って。」とレダちゃん。
教科書を読む。
山田レイラ民族学博士・・・中南米に詳しく『アステカ文明』の権威。
武術にも詳しく『日本カポエラ協会』元副会長。著名な論文に『太陽神アステカと鏡~光の通り道~』がある。今より20年前に助手の息子と共に消息を断つ。
マジか。
キ~ン~コ~ン~カ~ン~コ~ン
衝撃の真実が発覚した瞬間、俺の民族学の単位がB以下に決まった。
傷心の俺を放って友人達が騒いでいる。
友人が女の子を連れて大学へ来たら、女日照りの男共はこんなものだろう。
「可愛いね、君なんて言うの?。」お調子者の成瀬が言う。
別に狙うは「レダちゃんの友達」な訳で、俺がレダちゃんの彼氏かどうかなんてどうでも良い。
「ブサイクだね~、名前聞く時は自分から名乗らなきゃ!。
因みにこの子は山田レダちゃん。
16歳です。
この子と話す時は俺を通してくれないと。」と俺。
「16歳か~。
奇遇だね、僕も一昨年まで16歳だったんだ~。」と成瀬。
当たり前だろ。俺もそうだったし。
「こう見えてこの子は武術の達人なんだよ?。
ホラ、カピバラだっけ?。」と俺。
「カピバラ・・・色々動物を模した武術はある、蛇拳とか蟷螂拳とか。
しかし、カピバラか。
闘ってる姿が想像出来ない。」と成瀬。
「アルパカだったかな?いや、タピオカだったわ、ごめんごめん」と俺。
「謎の武術『タピオカ』の使い手の少女。
これは俺の手に余るかも知れない。」と成瀬。
実際はそんな事思ってないだろう?。面倒臭くなっただけだろう?。




