第87話
「おお!すごい!」レベルが上がってステータスが上がったのか握った石を砕いてレンちゃんがはしゃいでいた。
今日の朝練は終了だ。
レンちゃんは朝練終了間際に聞いてきた。
「お兄ちゃんはどうなりたいの?。」と。
「と言うと?。」
「強くなりたいの?。
勝ちたいの?。
試合に出たいの?。」とレンちゃん。
「いや、この方法で鍛えたからには空手の競技にはもう出ないし、出れない。
禁止薬物を投与したのと似ている。」と俺。
「ズルをしたと?。」とレンちゃん。
「ううん、ズルはしてないけど空手の鍛え方ではないと思ってる。
一度異世界に行くようになってから、空手道場に顔を出した。
異世界じゃ『役立たず』って言われた俺のパンチ力に同門だった先輩はビックリしてた。
もう、どこまで自分を鍛えられるかにしか興味はない。」と俺。
「お兄ちゃんは禁止薬物肯定派?。」とレンちゃん。
「それで強くなれるなら、その強さが一時的なものでないなら、もう空手に関わらないのであれば良いと思う。」と俺。
「そうなんだ。」
「でも空手に未練はあったよ。
大山先生は素手で大牛を倒した。
『俺は強くなったら素手で巨大な竜を倒せるのか』とかね。」と俺。
「諦めたの?。」
「空手家としてはね。
『素手で巨大な竜を倒す』という夢はまだ諦めてないよ。」
「小さな竜なら倒してるじゃない!」とアイアちゃんが口を挟む。
「『アーンイヤーン』だっけ?。」と俺。
「ワイバーンです。
相変わらず物の名前を覚えるのが苦手ですね。」と笑いながらアイアちゃんが言う。
(何よ、あの女!。兄妹の会話に割り込んで!。)
その日の朝練は終了した。・・・ほんの少しの火種を残して。
レンちゃんとレダちゃんを連れて日本に転移する。
レンちゃんはおんぶしてもらう気満々だったが「走れるところまでは走ってもらうよ」と少し走ってもらう。
レンちゃんは文句をいいつつも箱根までは走った。
レベルアップで鍛えられる身体能力恐るべし。
そこからはおぶって広島まで連れて行った。
「明日の朝、また迎えに来るから」そう言い残して、川崎の下宿へ戻る。
丁度レダちゃんがシャワーから戻ったところだった。
裸でウロつく事はなくなったが、相変わらず下着でサービスシーンを惜しげもなく披露している。
最初は注意したが、あまり言い過ぎるのも良くない。
今は凝視・・・いや、注視している。
今日はレダちゃんを大学に連れて行く。
オープンカレッジだから大学生以外を連れて行っても特に問題ないはずだ。
逆に16歳の女の子を部屋に閉じ込めておく方が色々と問題があるはずだ。




