第81話
「じゃあ明日の朝、5:30頃、迎えに来るから」と俺。
「え、どこに?。」
「ここにだよ。広島に迎えに来るって言ってるの。
身体動かすからね。
身軽な格好していてね。」
「よくわかんないけど、了解!。
明日、詳しく説明してよね!。」とレンちゃん。
昔から「わからないことは置いといて、別の事に取り組む」という柔軟な思考の持ち主だった。
対して俺はわからない事があると、そこで思考停止してしまう。
多分、今、レンちゃんの頭の中はわからないことだらけだ。
でも「まずはわかることから整理しよう」というのがレンちゃんの考え方だ。
まだ日が沈んではいない。
久しぶりに見る実家だ。
俺が河原で拾ってきた子犬も立派な成犬になっている。
テメー一年くらい会わなかっただけで、恩人に吠えるのかよ!。
どうやらレンちゃんに一番なついていて、レンちゃんと一緒にいる俺がライバル認定されたらしい。
「あれ?吉男かい?。」
俺は人に『吉男』とは呼ばせない。
ソウルネームの『アムロ』もしくは名字の『吉岡』と呼ばせていた。
『吉岡吉男』というニックネームで呼ばれていた苦い思い出があるからだ。
しかし、俺の事を『吉男』と呼ぶ忌まわしき輩も存在する。
それが『吉岡和乃』、俺の母親だ。
『三十六計逃げるに如かず』母親は俺の天敵だ。
「吉男?吉男だよね?
吉男?吉男ってば!」母親は吉男を連呼する。
「お母様、ご機嫌麗しゅう・・・」少しだけ、堅苦しい挨拶になっちゃったかな?。
「アンタ、全然戻って来ないと思ったら、突然戻って来て・・・そうだ、ウチで晩御飯食べて行きなさい!。
今日はアンタの好きなハンバーグよ。」と母親。
「なんと心踊るお誘い・・・。
しかし、家ではお腹をすかせて待っている同居人がいます。
なので今日は遠慮いたします。」完璧な返しだ、かども立たない。
「何アホな事言ってるよのよ!。
今から東京に帰っても、夕御飯の時間には間に合わないでしょ。
それよりアンタ、同棲してるお嬢さんがいるの?。
夕飯の時に詳しく聞かせてもらうからね!。」と母親。
そうだった。
常識で考えれば、今から夕飯までに東京に帰れる訳がない。
俺がゲップしながら下宿に戻った時、レダちゃんに「もし恨みとか憎しみで人が殺せるなら、テムさんは25回は死んでいるさ。」と言われた。
異世界にレダちゃんを食事に連れていった。
初めて目を開いた状態でレダちゃんは異世界に転移した。




