第76話
アイアちゃんとレダちゃんを連れて朝市へ行く。
俺は異世界の事はあまり知らない。
何を食べれば良いか二人に聞くのが一番間違いがない。
俺が食べる物を決めると二人に不味い物を食べさせてしまう。
「二人とも何食べれば良いか教えてくれない?。
俺、異世界の朝ごはんよく知らないんだ。」かどの立たない素晴らしい質問だ。
「やっぱりこちらの代表的な『朝ごはん』と言えば『スピニングチョーク』じゃないですかね?。」とアイアちゃん。
「『朝市』の料理と言えば『ヘッドシザース』だと思うさ。」とレダちゃん。
ギャルゲだったらどちらの意見を聞くかで選択肢が出てるところだぜ?。
しかし『金持ち喧嘩せず』(誤用)
「よし!両方食べよう!。金ならいくらでもある!。」と俺。
金があるという事は素晴らしい。
小豆相場で大失敗したじいちゃんを見てるから、ばあちゃんは「いいか、金がないって事は首がないって事と同じ事だからね」とガキだった俺に繰り返し言ってた。
因みに『スピニングチョーク』がホットドッグ、『ヘッドシザース』はフレンチトーストみたいな料理だった。
不味くはないが、こちらの料理は全体的に薄味だ。
塩と砂糖が高級品らしいからしょうがないが。
食事をした後、街の北の湖畔に向かう。
湖畔には先に盗賊達が来ていた。
組み手の時間だ。
アイアちゃんの前に立って構える。
ブーーーーーーーーーーーーーン!!!
ちょっと待て!。
アイアちゃんが如何にも『小手調べ』という蹴りを放つ。
だが、恐ろしい威力だ。
よく考えたら昨日は三人での訓練後、いつもやっている『おいてけぼりにされないための一人での特訓』をしていない。
色々あったからしょうがない。
俺もまだこのくらいの威力ならついていける。
でもこの世界の性差と成長型の差を考えると、30分もついていけないだろう。
完全にやらかした。
しょうがない。
俺は予定より早いが『補助魔法』を使った。
『身の守りアップ』と『素早さアップ』だ。
世界が止まる。
いや、世界が止まっているんじゃない。
世界が俺の素早い動きについて来れないんだ。
今まで『素早さアップ』を使っても優秀な盗賊であるアイアちゃんは多少動きが遅く感じる程度だった。
なのに今日はアイアちゃんの動きは止まる寸前に感じる。
魔力が上がっているんだ。
『補助魔法』の威力が上がっているんだ。
他の格闘家の闘い方は知らない。
ただ、『俺の格闘家としての闘い方』が見えてきた。




