第69話
「よくも私の可愛い部下達を・・・。」どうやらこの霊魂は喋れるようだ。
しかしこの甲高い耳につく声・・・いかにも『ドドリアさん、ザーボンさん、やっておしまいなさい』とでも言いそうな声だ。
「一人で寂しいかもしれないけど、それも一瞬だ。
すぐに仲間達の元に送ってやるからな。」俺はいかにも主役が言いそうな事を言ったつもりだ。
アレ?。
これって悪役の台詞だっけ?。
「如何にも自信がありそうじゃないか。」と敵。
「自信がありそうじゃなくて『自信がある』んだよ。
名付けて『金持ち中富君戦法』だ。」と俺。
「中富君?。
誰だ?。それは?。」と敵。
「小学校の時、裏山を一つ持ってて、そこでコリーってデカい犬を飼ってた同級生だ。
俺は中富君から『金持ちには金持ちの戦い方がある』と学んだんだ。
そして『貧乏人は金持ちに本質的に敵わない』」と俺。
「夢も希望もない話だな。
それを私に聞かせてどうしようと言うのか?。」と敵。
「俺はお前より遥かに金持ちだ。
だからお前は俺に勝てない。」と俺。
「では、実際に私が貴様に勝てないかどうか、答え合わせをしようじゃないか。」と言うや否や敵は暗闇に消えた。
素早く動いているなら俺に見えない訳がない。
本当に見えないという事は本当に消えているのだ。
消えたままという事はあるまい。
攻撃を仕掛けてくる瞬間、敵は必ず姿を現すはずだ。
敵が空中に現れる。
遅い。
現れた敵に塩の集中放火を食らわす。
アイアちゃんもレダちゃんも俺に倣って、敵に塩の集中放火を食らわせる。
景気よく塩を撒きすぎた。
もう塩がなくなる・・・というところで塩を敵に振りかけた時の火花が散らなくなった。
アレ?と思っていると「どうした?。
もう塩は私には効かないぞ?。
私は『塩』という弱点を克服したのだ!。」と偉そうに敵が宣言した。
耐性菌みたいなヤローだ。
耐性菌っていうのは抗生物質が効かない菌の事だ。
あんまりにも効かない抗生物質が増えると、その菌を治療する手段がなくなってしまうらしい。
「聞いての通りだ。じゃあアイアちゃん、レダちゃん、コイツにおもいっきり餅米ぶつけてあげて。」と俺。
「ちょっと待って!。
ごめんなさい!ごめんなさい!痛い!痛い!痛い!痛い!。」
スパパラララララララララ・・・
コイツは愉快痛快ってヤツだ。
コイツに餅米をぶつける度に爆竹が破裂するみたいだ。
敵に餅米をぶつけるというより、すでに半分敵が餅米に埋まっている。
暫くすると爆竹が破裂するような音が一切しなくなった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、どうだ?、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、俺は、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ
、ついに、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、餅米を、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、克服したぞ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、俺は、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、無敵だ!、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」と敵。
「無敵なわりには今にも死にそうじゃねーか!。
つーか『はぁ、はぁ』うるせー!。
お前は犬か!。
アイアちゃん、レダちゃん、聞いての通り、餅米はもう効かないらしい。
じゃあ遠慮なく聖水かけてあげなさい。」と俺。
二人が指示通り聖水をかける。
「お前らは人間じゃねええええええええええええ!。
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!。
溶けるっ!溶けるっ!溶けるっ!溶けるっ!溶けるっ!溶けるっ!。」と敵。
「人間じゃねーのはお前だ。」と俺。
こうして敵の断末魔を聞きながら聖水をかける・・・という単純作業を繰り返していた。
突然、敵の断末魔が聞こえなくなった。
「私はついに聖水を克服した。
これからが地獄だ!。
お前らが除霊のために用意したものの悉くは私には効かないのだ!。
泣け!。
叫べ!。
我を崇めよ!。」
敵が高らかに勝利宣言する。
「そうかよ。
良かったな。
『キュア』」と俺。
聖なる光が敵を包む。
「召される!。
召される!。
聞いてないぞ!。
まだ除霊の手段があるなんて!。」と敵。
「言ってねーもん。
ってか何だよ『召される!』って。
もうお前うるさい。
いい加減召されろ。
『キュア』『キュア』『キュア』『キュア』『キュア』」と俺。
「・・・あぁ、時が見える・・・」と言いつつ敵は消えていった。
お前はララァか。
つーか、敵の名前、最後までわからなかったな。




